この日は「エーゲ海3島クルーズ」の現地ツアーを申し込んであった。
地中海に面したギリシャは魅力的な島がたくさんあり、その数は3,000以上。
有名どころはクレタ島、サントリーニ島、ミコノス島だが、この3島巡りはイドラ島、ポロス島、エギナ島の3島だった。
アテネからの日帰りのツアーはほとんどがこの3島らしい。
「エーゲ海3島クルーズ」という謳い文句だったが、実際にはエーゲ海のほんの一部、「サロニコス湾のクルーズ」で、サロニコス湾に浮かぶ3島を巡るツアーだった。
いつも通りにホテルまで送迎バスが来てピレウス港まで送ってくれた。
ピレウス港からはフェリーで最初の島、一番遠い「イドラ島」へ。
イドラ島までは約3時間。
フェリーでは風が強い中、屋上で日光浴している人、くつろいでいる人、寝ている人などそれぞれが好きな様に過ごしていた。
しばらくしたら2階のフロアでバンドの生演奏が始まった。
観光客の国に合わせてその国の曲を演奏していた。
もちろん日本の曲もあった。
イドラ島に着いた。
かわいい島だった。
この島は車は乗り入れ禁止で、代わりの運搬手段はロバだった。
港にはカフェが並び、ロバもたくさん待機していたが、港の周辺だけを歩いたので、ロバは利用しなかった。
この島でのフリータイムは1時間半あったが、海沿いを「砲台」のあるところまで歩き、しばらく紺碧の海を眺めてから港に戻った。
街の中を少し歩いたが、結構急な階段が多く、ロバが大活躍していた。
後は時間まで土産物屋やカフェに入ってのんびりとしていた。
この島は「芸術家の島」とも呼ばれ、アーティストの卵が集まっているらしい。
そのためか、何となくおしゃれな雰囲気があった。
時間になると大勢の人がゾロゾロ船に戻っていくので、一緒になって歩いて行き、乗船した。
船は定刻に出港し、次はポロス島。
1時間ほどで着いた。
ポロス島の対岸には狭いポロス海峡をはさんでペロポネソス半島のガタラスの街がある。
ポロスの街はの岩の丘にへばりつくように家がびっしりと並んでいた。
他のエーゲ海沿いの街と同じように、白壁と屋根のオレンジのコントラストがきれいだった。
ポロス島の名所は時計台。
港から石段を数段登ると、白い時計台に到達することができ、ここからは対岸のペロポネソス半島の街が間近に見えた。
他には特に観光する場所もないので、港の周りを歩いた。
フェリーはポロス島を出て、次の島のエギナ島に向かった。
エギナ島に着いた時はもう夕方の4時を回っていた。
この島は大きくて、日本語のガイド付きでバスでの観光だった。
観光場所はアファイア神殿と聖ネクタリオス教会。
島の北にあるのメサグロの丘の上にはアファイア神殿があった。
これは女神アファイアの神殿で、ドーリア様式のなかではギリシャでもっとも美しい建築物のうちの1つと言われている。
保存状態が良く、元々は32本あったとされる柱のうちの24本が残っていた。
この神殿は、エギナ島の住民がアテネにその勢力を誇示するために造ったと言われていて、アテネのパルテノン神殿より前に建てられた神殿となっている。
柱の作り方に特徴があり、輪切りの石を積み重ねたものでなく、大きな石灰岩をそのまま柱として使ってあった。
海を見下ろす丘の上に紀元前から立ちすくんでいた神殿の柱は圧倒されるほど素晴らしいものだった。
柱の根元には花がたくさん咲いていた。
どういう訳か、ついついこういったところに目が行ってしまう。
バスはアファイア神殿の次に「聖ネクタリオス修道院」に回った。
色鮮やかな外観が印象的な「聖ネクタリオス修道院」は聖ネクタリオスを祀るために建てられた修道院で、遺骨を納めた銀の棺が安置されていて、それを触ると健康が維持されるという言い伝えがある場所だとガイドさんが説明してくれた。
また、その説明の中に、この島は「ピスタチオ」の産地として有名だという言葉があった。
そういえば港の回りにはピスタチオを売っている店がたくさんあった、と思い出した。
そのことばかりが気になってしまい、他の難しい説明が頭に入らなくなってしまった。
[聖ネクタリオス修道院]
[修道院の前庭に咲いていた花]
この島では2ヶ所だけを見学し、再び港に戻った。
その時にはもちろんすぐに「ピスタチオ」を買った。
これで3島巡りは終わり、アテネのホテルに戻った。