田沢温泉は長野県青木村にあり、3軒の宿と共同浴場1ヶ所しかない、山あいの静かな小さい温泉地だが、飛鳥時代からあるらしく、「子宝の湯」としても知られている。
その中の1軒の「富士屋」に泊まってみた。
宿の前を小川が流れ、広い敷地に少し古い建物だった。
中に入ると、掃除は行き届き、廊下はきれいに磨かれていた。
増改築してあったので、館内がちょっと複雑になっていて、迷ってしまいそうな感じだった。
通された部屋が一番奥の広々とした角部屋で、良く手入れされた庭が見えていた。
この宿を選んだ理由は料理が美味しいと評判だったから。
そして楽しみな食事の時間。
期待通りの料理だった。
センスの良い器に工夫された料理が丁寧に盛り付けされていて、どれを食べても美味しかった。
お風呂は小さめな内湯と岩でできた露天風呂があり、両方ともぬるめのお湯、透明だがほんのりと硫黄臭がする温泉だった。
[内湯]
[露天の岩風呂]
近くにある共同浴場は「有乳湯(うちゆ)」。
これは、金太郎(坂田金時)の母がここのお湯に入り、乳の出が良くなったという言い伝えから名付けられたらしい。
ここのお湯もほんのりと香る硫黄臭、それに加え、全身を覆い尽くすほどの泡付きの良い温泉だった。
青木村には「国宝大法寺三重塔」があると聞いて、寄ってみた。
この塔は、鎌倉時代から南北朝時代に造られたもの。
下の段が大きくなっているのが特徴で、この塔と同じ工法は奈良の興福寺三重塔だけしかないらしい。
思いがけず素晴らしいものを見ることができた。