栃木県、塩原の温泉街から車で10分ほど、日塩有料道路を上っていったところに数軒の宿が並んでいる。
塩原温泉郷の中で一番高所にある、奥塩原温泉の「新湯(あらゆ)」は塩原で唯一硫黄泉が湧き出ているところ。
塩原温泉街からたった5、6kmしか離れていないのに山肌にはモクモクと煙が立ちこめ、硫黄の臭いが鼻をついて来る。
下藤屋は道路沿いにあった。
「にごり湯と美食」が宿の自慢だが、まさにその通りの宿だった。
玄関先に乗り付けた車の移動、チェックイン後のロビーでのお抹茶のサービスなど、すべてが丁寧だった。
また、この時期のため、体温チェック、手指の消毒、チェックイン時の時間差などコロナ対策も完全に行っていた。
「新湯」にはその昔、猟師に追われて傷ついたムジナが傷を癒やしたとされる「むじなの湯」など3ヶ所の共同浴場がある。
「新湯」の宿に泊まると共同浴場は無料で入れることになっていた。
早い時間にチェックインしたので、「むじなの湯」に入ってみた。
宿の前の階段を100段くらい降りたところにあった「むじなの湯」は簡単な建物になっていて、中に入ると脱衣所と湯船が1つ、2~3人入るといっぱいになるような小さな湯船だったが、足下から温泉が湧出していた。
ちょっと熱めのとても気持ちの良い温泉だった。
他の共同浴場2つも同じ泉質らしいが、1ヶ所は混浴、1ヶ所は男女別になっているらしかった。
外湯は「むじなの湯」だけにして、次はそのまま宿の露天風呂に行ってみた。
宿のすぐ隣の林の中にあり、小さな岩風呂で、こちらのお湯は無色透明、塩原温泉から引いているらしかった。
そして、このお風呂は夜には貸し切りとなっていた。
この露天風呂、雰囲気はとても良かったのだが、せっかく硫黄泉の「新湯」に来たのだから、やっぱり白濁したお風呂に入りたいので、わざわざ宿の外に作らなくとも良かったのじゃないかと思った。
宿の内湯は評判通りのお風呂だった。
硫黄の臭いがする、白濁したお風呂で温度もちょうど良く、のんびりと入った。
湯上がりの肌はすべすべになっていた。
食事のこと。
食事処は座敷にテーブルで、広い場所を衝立で区切ってあった。
料理はどれも美味しく、特に岩魚のお造りとしゃぶしゃぶ時の薄く伸したお餅は珍しくて良かった。
次の料理が出てくるタイミングもちょうど良く、スタッフの気配りが感じられた。
[夕食の一部]
温泉がとても良く、随所に気遣いが感じられる、落ち着いた雰囲気の宿だった。