映画とライフデザイン

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映画「新宿インシデント」 ジャッキーチェン

2013-10-07 21:24:27 | 映画(アジア)
映画「新宿インシデント」はジャッキーチェン主演の2009年の作品だ。


日本でロケを行った作品。先入観なしで見たが割と面白い。
ジャッキーチェンがいつものようなアクションを新宿で全開させる映画と思っていたが、少し違う。
不法に日本に移住した中国人が、新宿の闇の中でのし上がっていく姿を描く。そもそも貧しい中国人労働者がのし上がっていく構図なんてありえなさそうだが、このストーリーの流れは不自然には感じない。
日本で製作されたら、こうは脚本の展開はならないだろうというのがいい感じだ。


中国人を多数乗せた密入国船が若狭湾に到着するシーンから始まる。その中には鉄頭(ジャッキー・チェン)がいた。同郷の阿傑(ダニエル・ウー)を頼って新宿歌舞伎町に向かう。そこで同じような中国人たちと寝床をともにした。そして仲間とともに生活のために日雇いの仕事をはじめる。
日本では外国からの不法移住者が急増していた。ある日、彼の仕事場に警察の手入れが入る。逃げ出した鉄頭は刑事の北野(竹中直人)に追われるが、追っている北野が下水道に転落。溺れかけた彼を助けたのは鉄頭だった。北野は鉄頭を見逃す。
やがて鉄頭はナイトクラブの厨房で働くようになる。消息を絶った恋人シュシュ(シュー・ジンレイ)を発見。だが、彼女は既に新宿を仕切るヤクザ、三和会幹部の江口(加藤雅也)の妻となっていた。2人は視線を合わせたが、それ以上のことはなかった。

その後鉄頭は犯罪に手を染めていく。盗品や偽造カードの売買といった裏仕事をこなしながら生計を立てていく。警察沙汰と背中あわせの裏仕事を積み重ねていき、鉄頭らの寄合は次第に歌舞伎町の中で勢力を拡大していく。鉄頭もクラブで働く麗麗(リリー)という美しい女性と恋仲になり、全てが順風満帆に進み始めた。

ある日、阿傑は寄合のみんなから天津甘栗の屋台をプレゼントされる。その阿傑がパチンコ店で打っていた際に、パチンコ台に細工をしたとして台湾マフィアの幹部の逆鱗に触れる。中国系ヤクザから仕返しに拷問を受けるという事件が起きてしまう。
その仕返しに向かった先で偶然、鉄頭は殺されかけた江口を救う。江口の自宅で鉄頭はついにシュシュと再会。江口は向こう見ずな鉄頭を自分の野心のために利用しようとする。跡目相続で揺れる三和会。その後継者候補(峰岸徹)を暗殺して自分がのし上がろうというのだ。そして、対立派閥の2人は鉄頭により暗殺され、江口が三和会会長の座に着く。

こうして、表では東華商事という堅気の商売をしつつも、鉄頭はいつの間にか外国人ヤクザ組織のトップに立っていた。だが、彼とは反対にギャングの襲撃で片手を失った阿傑は人柄が豹変。柔和だった性格は凶暴になり、麻薬取引にも手を出す始末であるが。。。

中国人目線での新宿を描いているところがいい。
意外にこういう視線になる映画はすくない。中国人不法侵入者がいかにして、日本国内で生きていくのかを詳細に描く。日雇い人夫として、ごみ処理や下水道工事など人がやらない仕事で金を稼ぐ。その仕事にしては決して賃金は高くないが、仕方ない。それなので、犯罪そのものと言える盗品や偽造カード販売に手を出す。ひと頃、よく外国人の窃盗団のことが話題になった。そのものだ。この映画でも、店頭のものを次々と拝借して、盗品を買い取るブローカーに持ちこむ。良品であれば市価の20%で買い取る。それ自体を東南アジアから買い取りに来るやつがいるなんてセリフもあった。映画の中に「高島屋で盗んだ」なんて固有名詞まで出てくるのは御愛嬌。


相手の傷つけ方がいかにも香港マフィア映画流だ。顔面に強烈な傷をつけるだけでなく。相手の手首をもぎとってしまう。
このむごさは日本映画ではあまりない。
しかも死ぬときには内臓まであぶり出す。えげつない。

この映画では、不法侵入の中国人と刑事が友情を持つ。こういう映画の構図は日本では少ない。その昔菅原文太の刑事と松方弘樹のヤクザが友情で結ばれている「県警対組織暴力」というムチャクチャ面白い笠原和夫脚本深作欣二監督の名コンビによる傑作があった。監督は香港人だがきっとこの映画を見ているだろう。そういう関係を意識しているテイストをどことなく感じさせる。

(参考作品)
新宿インシデント
新宿で大暴れのジャッキーチェン

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