映画とライフデザイン

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ヒア・アフター  クリントイーストウッド

2011-10-12 17:09:27 | クリントイーストウッド
クリントイーストウッドの新作である。劇場で見ようとしていたが、東日本大震災の影響で急きょ上映中止となり見ることができなかった。その後名画座等でもやっていないようだったので、DVD化を待った。上映開始10分程度であるが、津波の描写がある。これはこれでよくできた表現であるが、現実としての津波映像を何度も何度もテレビなどで見せつけれたので、さすがに地震直後の状況では上映中断はやむを得なかったのかもしれない。


パリ、サンフランシスコ、ロンドンの3か所で繰り広げられるストーリーが並行して進んでいく。
パリで活躍するジャーナリストことセシル・ドゥ・フランスは、恋人と一緒に休暇で訪れていた東南アジアのリゾート地で、津波に遭遇する。波に飲まれて生死の境を彷徨ったものの、何とか一命を取り留める。しかし、帰国した後も、呼吸が停止した時に見た臨死体験を忘れることができず、TVキャスターの仕事がちぐはぐになってしまう。。。。
サンフランシスコでは、かつて霊能者として活躍したマット・デイモンが工場で働いていた。今でも彼のところには死者との出会いを求めて依頼者が絶えない。しかし、疲れ切った彼は引き受けようとしない。人生を変えようと通い始めた料理教室で知り合った女性に好意を寄せる。彼女の手を握るとそこには不思議な世界が見えてしまう。彼女はそれは何かと彼に問いただすのであるが。。。
ロンドン。ヘロイン中毒の母親が双子の少年と住んでいる。児童相談所にマークされている家庭である。双子の弟は、突然の交通事故で兄を亡くす。弟は母と別れ、里親に預けられたが、どうしてもなじめない。もう一度兄と話したいといろんな霊能者を訪ね歩くがいづれも胡散臭い。そんな時、ネットで霊媒者マットデイモンのHPを見つけるのであるが。。。。
3人の人生が交錯し、そして静かに接近していく。


スピルバーグが制作にかかわっているせいか、死後の世界の話となるが、いつものイーストウッド映画とは違うイメージを持つ。しかし、映画を流れる基調は今までとは変わらない。いつも通り音楽は静かに流れ、上品だ。ラフマニノフのピアノ協奏曲2番の2楽章を思わせるピアノの響きがいい。でも正直他のイーストウッド作品ほど感動することはなかった。
マットデイモンの役は東北の恐山の霊媒者のような存在である。こどもの時に病気になり、霊媒者の能力を持った。こんな人っているかもしれない。自分は霊媒者だと周囲にいいまわって、金を稼ごうとする人は多いが、この映画のマットデイモンは積極的にはやりたがらない。我々が知らない人で、爪を隠す鷹のごとく本当にこういう能力を持った人はいるかもしれない。
臨死体験というと、全身麻酔で手術をしたときのことを思い出す。夢の中に入っていく夢を見ながら、手術中たくさんの夢を見た。不思議な体験だった。麻酔から覚めしばらくたった時、激痛が走って大変だったが、麻酔中は何かが聞えている気もしたが穏やかだった。死に直面しさまよう女性のシーンを見ながらて自分の体験を思い起こした。死ぬときはぎりぎりのところでさまよいながら無になっていくのであろうか?母が死ぬ間際我々の声は聞こえていたのであろうか?
イーストウッドも80をすぎ、当然自分の死が近づいていると感じているのであろう。だから今までと違う異色の映画ができたのかもしれない。

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