映画とライフデザイン

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映画「パリブレスト」

2024-04-15 19:51:50 | 映画(フランス映画 )
映画「パリブレスト 夢をかなえたスイーツ」を映画館で観てきました。


映画「パリブレスト夢をかなえたスイーツ」はフランスの実在のパティシエであるヤシッドイシェムラエンの幼少期からの人生を描いた作品である。監督は本作が長編デビューのセバスチャン・テュラール。素敵なデザートの映像を観て気になっていた。グルメ映画の色彩は当然もつが、貧困家庭から這い上がろうとする少年の生き様を描く。デザートは美しいけど、話は泥くさい。

ヤシッド(リアド・ベライシュ)は育児放棄の実母と別れ、里親に預けられた。里親の家ではお菓子づくりに精を出していて、ヤシッドも関心をもつ。やがて,少年養護施設に預けられ周囲の不良たちの中に入って生活する。ちょっとした策略でパリの高級レストランに潜り込み見習いとして、働き始める。パティシエシェフとしての修行をする。


2013年ヤシッドはコートジボワールのレストランで副シェフとして働いていた。ヤシッドが作ったパリブレストが美食家の絶賛を浴び,さらに上のランクを目指そうとしていたが,同僚の嫉妬でクビになってしまう。路頭に迷うヤシッドを美食家であるホテル経営者が助ける。

グルメ映画というよりも,最悪の生活環境から這い上がって、パティシエになる少年の成長物語である。映画としては普通。

いきなり、ヤシッドがスーパーで万引きをするシーンが出てくる。実母は乳児を抱えて貧困を彷徨っている。ヤシッドを連れて役所に行き、里親を悪者にして金をせしめるとんでもない女だ。里親はやさしくしてくれるが、実母に振り回される。少年養護施設にもまともな奴はいない。そんな中、子供の頃からあこがれているパティシエシェフの元へ飛び込む。それも騙し騙しもぐり込むのだ。育ちの悪さを示すような逸話が続いていく。


成長物語につきものの主人公を窮地に落とし込む場面はこれでもかと続く。少年養護施設の周りは低層社会を象徴する札付きの不良だらけである。しかもパリにバイトに行って終電に乗り遅れると,駅で寝ざるを得ないバイト代を寮長に没収されることもある。せっかくコートジボワールのレストランで認められたのに,ライバルの副シェフに嫌がらせをされる。果物担当だったヤシッドのフルーツにカビの生えたものを入れ込まれるのだ。ムカついても遅し、クビになってしまうなどなど最悪だ。

そんなムードが続くけど、映像に映るデザートは実にきれいだ。きっとおいしいだろうなあと舌なめずりする。最初に修行についたシェフも,ともかく食べる前の目の刺激が大事だと強調する。そして食感の良さを訴える。3つを超える食材の組み合わせはダメとシェフは言っていた。


いくつかの関門があるが、ヤシッドはうまく乗り越えていく。実話を元にしているようだが、名パティシエになる素質はあったのであろう。そんなにデザートにはこだわりのない自分でも引き寄せられる美的センスはあった。


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