映画とライフデザイン

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映画「辰巳」 遠藤雄弥

2024-05-16 18:19:01 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「辰巳」 を映画館で観てきました。


映画「辰巳」裏社会に生きる若者の仲間割れを描く現代のヤクザ映画。「ONODA 」小野田少尉を演じた遠藤雄弥が主演の辰巳を演じる。小路紘史監督の作品は初めて、監督自らのオリジナル脚本である。遠藤雄弥とちょい役で出る足立智充以外は知らない俳優ばかりだ。公開して久しいが、ずっと気にはなっていた。低予算の自主映画で感じる陳腐さを心配したが、その懸念は吹き飛んだ。

裏稼業で働く孤独な辰巳(遠藤雄弥)は、ある日元恋人・京子(龜田七海)の殺害現場に遭遇する。一緒にいた京子の妹・葵(森田想)を連れて、命からがら逃げる辰巳。片や、最愛の家族を失い、復讐を誓う葵は、京子殺害の犯人を追う。生意気な葵と反目し合いながらも復讐の旅に同行することになった辰巳は、彼女に協力するうち、ある感情が芽生えていく(作品情報引用)


序盤戦から電圧が体に響くレベルの高い作品となっている。よかった。
で生きるヤクザ集団の話だ。といっても、規模の大きなヤクザ集団の抗争をとり上げるわけではない。傘下組織レベルの男たちが仲間割れして殺しあうのだ。主人公辰巳は殺人があった後の始末が主な仕事だ。

取引する麻薬の数の辻褄が合わず、誰が犯人かと疑心暗鬼になり、巻き添いをくって女性が殺される。一方で殺した男の兄弟が殺された女の妹に殺される。徐々に殺し合いで入り乱れていくのだ。ある意味、辰巳も双方の争いに割をくった形だ。


理屈で動いているような連中ではない。ヤクザではない女も一緒だ。やっていることが全てハチャメチャでまともじゃない。瞬間湯沸かし器のように怒って暴れるアナーキーな連中ばかりだ。その連中を手持ちカメラで追う。臨場感がすごい。

あまり知られていない俳優が揃って低予算だと、軽い映画になって物足りないことが多い。ここではそうならない。俳優にもカネを使っていない上、ロケ地は廃車工場とか、セメント工場とか波止場で、高級車をつぶしたり海外ロケが多い韓国アクション映画のような予算取りではない。

それでもヤクザ役の俳優たちの熱気がすごく、パワー全開である。不自然さを感じさせない演技力で昇華する。演技力小路紘史監督の演出力も効いているのだろう。今回1番の悪役倉本朋幸「仁義なき戦い 広島死闘編」での千葉真一のように凶暴で猛獣性を兼ね備えていた。各俳優にこれをきっかけにメジャーになろうとする上昇志向を感じた。


最後に向けて,新宿歌舞伎町の風林会館近く裏手のごちゃごちゃした路地が映し出されるのに気がついた。あやしいエリアだ。自分も何度か行っている「上海小吃」という中華料理屋がある。気の利いた人が接待をしてくれたこともある店だ。店内がバトルの場面で使われているので驚いた。エンディングロールで「上海小吃」の名前が出てきて間違いないと確信した。よくロケさせてくれたなあ。そのおかげでこの映画の詰めが一層よく見えた
コメント
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