映画とライフデザイン

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座頭市地獄旅  勝新太郎

2012-05-03 06:53:32 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「座頭市地獄旅」は昭和40年の座頭市シリーズ12作目である。

12作目となると、当初本当のやくざみたいで殺気じみていた勝新太郎の表情に柔らかさが見える。この映画でキーとなるのが「将棋」だ。盲目の市が将棋をするということ自体、ありえるのかいといった感じだが、「3四歩」とか盤の記号を言い続けて指してしまう。さすが「天才」市だ。

ゲストは成田三樹夫である。将棋好きの浪人を演じる。当時30歳でまだ俳優としての格は高くはない。しかし、「仁義なき戦い」やテレビの「探偵物語」で見せた独特のにがみ味は片りんを見せている。


下総館山が映し出される。ある時5人の剣使いに襲われた座頭市(勝新太郎)が華麗な剣を見せ、5人を返り打ちにするシーンからスタートする。市は船に乗り江の島を目指す。船に乗る前に足を滑らせて、危うく海に転落するのを一人の浪人(成田三樹夫)が助けた。船で市はいかさまじみたさいころ賭博で金をさらっていた。やられた連中が恨んで、市を手篭めにしようとして返り打ちを食らっていた。そんなところを横で一瞥しながら、浪人は将棋をしていた。市もメクラながら将棋に付き合っていた。

江の島に行ったあともやられた連中は市を追いかけていた。市の宿を襲うがまた返り打ちにあう。その時市の剣に2階の窓から表に放り出されてしまった男が外を歩いていた母子の子供の足にぶつかってしまう。子供(藤山直子)が倒れているのを感じた市は2人を助ける。2人は市たちと一緒の船に乗っていた。子供は高熱を出す。地元の医者に診てもらったら「破傷風」だという。これを直すには南蛮渡来の薬が必要になる。しかも薬の値段は高い。途方に暮れる母であったが、なんとかそれを市が用立てようとする。
市は鉄火場でさいころバクチで稼ごうとする。また得意のいかさまをしようとしたら失敗。こんなこと今までなかったのにとグチっているところに浪人ナリミキがいいアイディアがあるとタネ銭の稼ぎ方を教えるが。。。。

座頭市の第1作はのちに10chで渋い味を出していた天地茂との対決であった。旅に出た市が剣の腕が立つ浪人と知り合う。おたがい釣りが好きということで意気投合するが、相手は自分と相対する一味に雇われていて、やがて二人は対決することに。。。。なんてストーリーは時代劇ではよくある話だ。
この作品もその流れを外さない。今回は将棋で友情を深めるたあと、一つの因縁で対決することになる。
これだけワンパターンのストーリーでも、みんな見てしまうところが時代劇の吸引力なのであろう。

それにしても市のいかさまバクチも腹を立てられてもおかしくない。市がさいころの壺を振る。床を叩くとさいころが2つ飛び出している。2つの目がわかっているので、まわりはひっそりと大笑い。メクラの市もバカをしたなとばかりに当然その目に賭ける。ところが、壺を開けようとすると、市が「あれ、間違ってさいころが袖から飛び出してしまったよ」とばかり、袖に戻して壺の中の2つのさいころを出す。それが飛び出した2つの目の反対となり市が総取りという構図だ。いくらなんでもこれこそいかさまだ。これで腹を立てない方がおかしい。やられた連中が市に復讐しようとするのも無理はない。でもこんなインチキで脚本をつくってしまうんだから、当時の映画量産体制がよくわかる。

勝新とナリミキがメインだが、渋い俳優が脇役で出ている。その一人が藤岡琢也だ。
完全な脇役である。さいころ賭博をやって、市に金をさらわれるみじめな役だ。その後仕返しをしようとしてもことごとく返り討ちにあう構図だ。彼が人気出たのはもう少し後だったと思う。後年は「渡る世間は鬼ばかり」など死ぬまでやった人気俳優になったが、まだまだ大部屋を一歩出たくらいだった。
山本学が親の仇を果たそうとする侍を演じる。山本3兄弟というと、昭和40年代から50年代にかけてはドラマには欠かせない男たちだった。今でも健在だ。叔父さんが山本薩夫監督だけにどちらかというと「アカ」系インテリの色彩が強く、医者役もうまいが反体制映画によく出ている印象が強い。
娘役のクレジットが藤山直子となっている。DVDなのでもう一度見返してみたが、たぶん藤山寛美の娘の藤山直美の幼い頃であろう。顔に若干面影がある。

座頭市としては普通、温泉場のセットなど美術がうまく、闇夜の撮影に強い大映らしい映画だ。

(参考作品)
座頭市地獄旅
盲目の市が将棋を指す


座頭市物語
記念すべき第1作、天地茂が強い

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