映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ウェイトレス ケリーラッセル

2012-05-02 20:48:29 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「ウェイトレス」は2007年制作のパイづくりの達人のウェイトレス物語だ。



食欲を増進させる映画ってあると思う。この映画はまさにそれ!
いきなり映像に映るカラフルな色をしたパイは食べるのがもったいないくらいきれいで、目を楽しませる。
傲慢な亭主との間に間違って妊娠してしまった彼女が産科医と恋をしたり、店の店員や店の常連とかわす厚情を描いたほのぼのコメディだ。


アメリカの地方都市のダイナーでウェイトレスとして働く主人公(ケリーラッセル)はパイ作りの名人だ。小うるさい店主のいる小さなダイナーで働きながら将来店を開こうとお金をシコシコ貯めている。店には他に2人のウェイトレスがいた。ある日自分の体調の変調に気付いた主人公はサニタリールームで2人のウェイトレスとともに妊娠検査薬を試した。どうも陽性らしい。
しかし、亭主は傲慢な男、自分のわがままが通らないと暴力的になるダメ男だ。困ったなあと思いながら、それでも生む決意をした。診断をしてもらおうと自分を産んでもらった女性産科医のところへパイをお土産につくって行く。ところが、その産科医はすでにそこに居ず、出てきたのは若い男性産科医だった。その産科医は彼女に関心を持ったようだった。
その後、軽い出血をして産科医に電話をすると、朝7時に来てくださいと言われて主人公は訪ねて行った。しかし、何も診てくれない。大丈夫だというだけで何も処置しない。まして何かを話そうとおじおじする産科医だ。腹立てて帰ろうとするが、バッグを忘れたことに気づき戻ろうとしたら彼が来る。主人公は思わず彼に対して吸いつく様な強烈なキスをしてしまうのであるが。。。。


基調はダメ亭主との妊娠が発覚しながらも、産科医と不倫をする妻の話である。それはあくまで基調であって、さまざまな個性ある登場人物を活躍させる。

まずは今回の脚本兼監督兼出演をこなすメガネのウェイトレス(エイドリアン・シェリー)の恋愛話をサブに添える。もともともてない系の彼女がブラインドデートに間違ってきてしまった男に惚れられてしまってオロオロする。まさにもてない系の典型のような男がしつこく付きまとう。
あとはいつも怒ってばかりいるダイナーの店主、うんちくばっかりうるさいダイナーの常連のおじいさん、妻子持ちなのになんかおじおじしている医師、彼女の妊娠がわかっても自分のことを優先して愛せよと子供のようにごねたり、日夜彼女に夜のお勤めを強引に求める傲慢な亭主などなど。。。
それぞれのセリフに個性をのぞかせる。脚本作りがうまい。

ラストに向かってのどんでん返しも絶妙な味わいだ。

この企画を通したメガネの女性脚本家兼監督エイドリアン・シェリーの才能には恐れ入る。単なるラブコメに終わらせない才覚を感じる。映像の色彩設計や編集もうまい。しかし、残念ながら若くして彼女はこの世にいない。殺人事件にあってしまったというのだ。本当にもったいないというのはこのことだ。

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