映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ファイブブラッズ」スパイク・リー

2021-03-23 10:47:45 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「ファイブブラッズ」はスパイクリー監督によるNetflix映画

黒人人種差別に対するメッセージが強い監督だけにおおよそ内容が想像される。それでもメジャー監督作品なので、思わず観てしまう。ベトナム戦争の黒人帰還兵4人がサイゴン(ホーチミン市)に集合して、主戦場だった山奥のジャングルに向かい従軍中に見つけた金槐を取り出して一儲けしようとする顛末だ。


アメリカの黒人比率は11%なのに、ベトナム戦争に出征した軍隊の黒人比率は32%だったという台詞がある。黒人が最前線に行かされていたのは間違いない。自分が小学校の頃、最強のヘビー級チャンピオンであるカシアスクレイ(モハメド・アリ)が従軍拒否をしたのが子供心に記憶に残る。そんなシーンも出てくる。正直、何でアメリカがベトナム戦争に関わるのか我々日本の子供は誰も意味がわからず、大人になってからも納得させられる理由に出会っていない。

米軍が制空権を制して、爆撃を繰り返してもベトコンのゲリラ戦には米軍は難儀したものだ。ベトナム戦争に加わった米軍兵士も大義名分がなく、厭戦でやる気も失せるだろう。そんな戦争の途中で偶然金塊に出会った兵士たちのハンフリーボガードの映画「黄金」ばりの物語だ。スパイクリー監督だけに人種差別も含めた社会問題をかなり盛っている映画である。

アフリカ系アメリカ人のベトナム帰還兵、ポール(デルロイ・リンドー)、オーティス(クラーク・ピータース)、エディ(ノーム・ルイス)、メルヴィン(イザイア・ウィットロック・Jr)が、45年ぶりに久々サイゴンで再会する。現代のサイゴンは近代化している。

戦地で銃弾に倒れたノーマン隊長(チャドウィック・ボーズマン)の遺骨を回収するとともに、戦争中のどさくさで見つけて、終戦後に取りにこようと土の中に埋めた金塊を探し出すことだった。PTSDに苦しむポールを心配した息子のデイヴィッドも加わり、5人は戦地へと向かう。


川の上流に向かい、ラオスの山奥に入る。見覚えのある地形で遺骨を懸命に探そうとする。金塊の換金で裏社会のボス(ジャンレノ)に相談をしたこともあり、5人が金槐を探している情報が既に出回っていた。しかも、周囲は旧ベトコンが地雷をあちらこちらに埋め込んでいる。そんな危険なエリアにきて、地雷が爆発したり、お互いに疑心暗鬼となり仲違いしたり敵味方入り乱れていくのであるが。。。


⒈スパイクリー
スパイクリーの映画では完全に白人は敵だ。前作「ブラッククラウズマン」では白人至上主義の団体をオーバーに登場させたりしていた。ここでも、相変わらず過激な白人批判が飛び交う。ドキュメンタリー映像も黒人に都合の良い映像ばかりである。時代が70〜80年代くらいならわかるけど、キング牧師が亡くなってから半世紀以上経って状況は違うと思うんだけどね。でも、このくらい白黒ハッキリする方が映画の構造としてはメリハリがつくかもしれない。


正直途中でストーリーは訳が分からなくなる。4人のうちの1人ポールベトナム戦争で心に傷を負ったPTSDで、敵味方が入り乱れてからはアレ?どうだったけ?

⒉ソウルフルなムード
音楽のセンスは抜群だ。旧サイゴンでソウルフルな曲が流れるダンスフロアのあるディスコ(クラブ)に4人が連んで入るシーンがある。歳をとっていてもかっこいいよね。ボートに乗って戦地に向かうときには、「地獄の黙示録」で流れたワグナーだ。いざ出陣という勢いがつく。マービンゲイの曲『Inner City Blues』や『What’s Going On』が効果的に使われるのもいい感じだ。いつも何気なく聴いているけど、結構歌詞は凄いこと言っているんだよね。


⒊ホーチミン(サイゴン)
今から6年前にホーチミン市に行った。活気のある街だ。旧フランス領だったというのを偲ばせる洋風の建物が高層ビルが立ち並ぶ一角に建つ。この映画でも一部出てくる。その中を大量のバイクが滑走する。TVでよく見るこの光景も身近で見ると圧倒される。信号が割と少なくて、バイクが走る中横断するのに難儀した。

ベトナムの後にクアラルンプールとシンガポールに行ったけど、シンガポールは日本より物価は明らかに高くてホーチミンが物価は一番安かった。それでも、一昔前とは考えられないくらいに発展しているのを実感した。自分が大学生の頃は、東南アジアと対等な交易ができるように経済を発展させようと教授が話していた。今やどっちが上だかわからないくらいだ。

この映画では、その昔戦ったベトコン戦士と黒人退役兵たちがバーで出会うシーンがある。もうわだかまりがない。それは実感として感じるものがあった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「コロンバス」 | トップ | 映画「恋文」森雅之&久我美... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(洋画:2019年以降主演男性)」カテゴリの最新記事