映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「モスル あるSWAT部隊の戦い」

2021-12-27 20:57:57 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「モスル あるSWAT部隊の戦い」を映画館で観てきました。


「モスル あるSWAT部隊の戦い」はイラクのSWAT特殊部隊がISIS(イスラム過激組織)とイラク第2の都市モスルで戦う姿を描いている。正直イラクの内戦についての知識はあまりない。非常に緊迫感のある映画という情報があったが、半端じゃない高圧の電流が流れて心臓をパクパクさせるすごい作品である。近年観た戦争映画ではピカイチの迫力ではないか。

主演級に自分の知らない俳優が多いので、もともとアラブ諸国のどこかで製作した作品だと思っていた。しかし、米国資本でお金はかかっているので質的には高い。「アベンジャーシリーズ」他の製作者ルッソ兄弟がプロデュースにあたり、監督は最近は「21ブリッジ」の脚本を書いたマシュー・マイケル・カーナハンがはじめてメガホンを持つ。

映画の流れの本流に流れるのは、SWATに入隊した21歳の警察官の成長である。でも、そんなたやすいものではない。欠点を克服するとか、主人公に逆風を吹かせるといったよくある成長物語ではない。SWAT内部のメンバー同士の葛藤もあるが、少し間違えたら死んでしまうのである。この危機感の設定に、今の日本で育った運の良さを強く感じる。

長引く紛争で今ではすっかり荒廃したイラク第2の都市モスル。この地で働く21歳の新人警察官カーワ(アダム・ベッサ)は、ISIS(イスラム過激派組織)に襲われたところを、あるSWAT部隊に救われる。部隊を率いるジャーセム少佐(スヘール・ダッバーシ)は、カーワをその場でSWATの一員に徴兵する。彼がISISに身内を殺されたという、入隊条件を満たしていたからだ。彼らは10数名の元警察官で編成された特殊部隊で、本部からの命令を無視して独自の戦闘を行っていた。


彼らを繋ぐ使命は秘密で、カーワにも明かされない。やがて手段を選ばない激烈な戦闘で仲間を失っていく中、絶望的な状況に直面する。それでも部隊は、ISISの要塞へと向かう決断をするのだが。(作品情報より)

⒈アラビア語の映画
出演者にアラビア系の出演者を揃えて、アラビア語で映画を構成するだけでちがう。オーディションを重ねてアラブ系俳優を用意しただけある。本年もソ連やドイツでの出来事なのに、英語で主要セリフを整えた映画をいくつか観た。いい映画なんだけど、物足りなさを感じてしまう。

それに加えて、SWATを構成するメンバーの顔つきがちがう。比較するのもどうかと思うが、日本の俳優も戦争をリアルで体験した世代の顔つきと今の俳優がその時代の人間になりきろうとする顔つきでは弱い。SWATの隊長を演じたスヘール・ダッバーシに戦前の日本軍下士官の匂いを感じた。虫ケラのように身近な人が亡くなっている国の俳優の動きすべてに凄みがある。


⒉戦闘シーンのリアル
いきなり敵か味方かよくわからない銃撃戦が繰り広げられる。なんじゃこれというスタートである。爆弾も至るところで爆発する。わずかな休憩時間も安心していられない。いきなりドローンで撮影したと思われるビルのコンクリートが崩れ落ちる荒廃したモスルの街を映し出した。その後もガレキの山での戦闘が続き、イラクってこんなところばかりなのかと観ながら思っていた。あとで、監督インタビューでモロッコでのロケで大規模なセットだったと確認して驚いた。


⒊超越したカメラワーク
何よりカメラが激しい銃撃戦を身近で捉えている。「トレーニングデイ」や「イコライザー」といったアクション映画の名作で撮影担当だっただけでなく、「アバター」アカデミー賞撮影賞を受賞しているマウロ・フィオーレの腕前には感服である。深作欣二の「仁義なき戦い」では、狭い空間でのヤクザ同士の立ち回りを手持ちカメラで捉えているシーンはスピード感があって好きだが、その高揚感をもっと激しくしたような凄みを感じる。なめるように戦闘集団を追う手持ちカメラは緊迫感を強める。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「偶然と想像」 濱口竜介 | トップ | ドキュメンタリー映画「GUNDA... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(洋画:2019年以降主演男性)」カテゴリの最新記事