映画とライフデザイン

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映画「ある殺し屋」 市川雷蔵

2014-01-26 07:51:19 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「ある殺し屋」は市川雷蔵が現代の殺し屋を演じる1967年の大映映画だ。

市川雷蔵は若くしてがんに倒れこの2年後早すぎる死を遂げる。大映映画の看板スターだった雷蔵と言えば「眠狂四郎」「大菩薩峠」といった時代劇である。ドーラン化粧をして出てくる彼の姿はまさに妖気にあふれ、冷酷そのもののニヒルな剣豪である。その彼が化粧を落とし素の顔で演じる。この映画は彼にとっては珍しい現代劇である。名キャメラマン宮川一夫の撮影で、森一夫がメガホンをとる。脚本は珍しく増村保造監督によるものだ。
殺し屋としてはちょっと無理があるなあ?というディテイルはあるが、無口に演じる雷蔵はここでもいい。

小料理屋を女中と2人静かに営む塩沢(市川雷蔵)はプロの殺し屋だった。暴力団木村組組長(小池朝雄)から敵対する暴力団組長の大和田(松下達夫)の殺人を2千万円で請け負い、日本舞踊の師匠のふりをして、パーティに忍びこみ難なく針一本で大和田を始末する。塩沢の腕に惚れた木村組幹部の前田(成田三樹夫)が弟分にしてくれないかと現れるが断られる。ひょんなことから塩沢の男っぷりに惚れて、押しかけ女房のように小料理屋に潜り込んできた圭子(野川由美子)という女が加わる。3人で麻薬取引に絡んだ2億円の大仕事を計画する。その一方で前田と恵子の二人は塩沢を裏切ろうとするが。。。

殺し屋と言えば、ゴルゴ31や必殺仕事人を想像してしまう。雷蔵が演じる塩沢は独身、女中と2人小さな小料理屋を営んでいる。殺し屋としての影はない。部屋の中には戦争中の航空隊にいた写真が置いている。暴力団組長の殺しでは「必殺仕事人」のように静かに針で急所を刺す。鮮やかな捌きだ。


ただ本当の殺し屋って「ゴルゴ31」のように単独行動かつ秘密主義で誰かと組むことはありえない気もする。
ここでは、映画として地味になりすぎるのを恐れたのであろうか?野川由美子、成田三樹夫の2人が仲間に加わる。野川は若く美しい。一番いい頃だ。

こういう華もいないと成り立たないということなんだろうが、普通殺し屋だったら、こんな女と組むだろうか?と思ってしまうけど。。。成田三樹夫はいつもながらのいい味を出す。
最初出てきた女中を見て、化粧はしていないが声は同じ。もしかして歌手の小林幸子の若い時?と思ったらまさにそうだった。これは貴重な映像だ。自分が小学生のころは青春もののドラマに出ていた記憶が強い。それよりもウブな映像だ。あばずれ女の野川由美子に追いだされる役だ。

映画は簡潔にまとめられ、おそらくは2ないしは3本だての1本としてつくられた作品だろう。
自分が小学校高学年のころ、五反田に大映の映画館があった。子供のころから親に連れられて、かなり見に行った。勝新太郎は不気味な感じがして、二枚目の市川雷蔵が演じる映画の方が好きだった。特に「忍びの者」が大好きで、彼が死んだ時は死亡を知らせる記事を一日中見ていた。そして間もなく大映は倒産する。その流れもあり、今でも市川雷蔵の映画は好んで見ている。今生きていれば82歳で老人になってもいい役者だったんだろうなあと思うが、寿命だったのであろう。
当時の日本映画としては、かなりスタイリッシュな色合いが強い。


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