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映画「ザリガニの鳴くところ」デイジー・エドガー=ジョーンズ

2022-11-26 20:02:21 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ザリガニの鳴くところ」を映画館で観てきました。


映画「ザリガニの鳴くところ」は動物学者ディーリア・オーエンズの書いたベストセラー小説をオリビアニューマン監督で映画化した作品である。当然原作は未読。リース・ウィザーススプーンが原作を読んで感激して、プロデューサーをかって出たという。予告編で若い女性の冤罪物語だと推測した。著名な出演者は出ていないが、舞台となる湿地帯を映し出す景色がきれいでオーソドックスなアメリカ映画という印象をもつ。

ミステリー仕立てのラブストーリーである。
予想よりおもしろかった。2時間以上映像に目が釘付けになる。飽きない。背景となる水辺の景色が美的感覚に優れ、音楽のセンスも抜群だ。カイアという野生の少女に焦点をあてたストーリーだが、法廷劇の要素ももつ。この映画は予備知識なしで観たい。

ノースカロライナ州の湿地帯で、若い男性チェイス(ハリス・ディキンソン)が死体で発見される。水辺の小屋に1人住むカイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)が殺人犯として逮捕された。少女時代のカイアはDVの父親に耐えかね母親や兄が家を飛び出したにも関わらず、父親と2人暮らしていた。学校にも行かず文盲で、雑貨屋の黒人夫婦だけがカイアの味方だった。そのうち、父親も飛び出して小屋で1人で暮らしていた。


エビ漁師の息子テイト(テイラー・ジョン・スミス)がカイアに好意を持ち、字も読めないカイアにABCから勉強を教えた。結局のところ、大学進学することになったテイトは町を出て行くが、湿地帯の生物を観察してスケッチブックにまとめたものは編集者にウケて金になるよと教える。その後、町の有力者の息子チェイスと知り合う。チェイスはデートに誘い、徐々に孤独な少女に近づいていったのだ。

そんなチェイスが死体で発見されて、カイアが関係しているとされる証拠品などで、犯人と特定された。もはや無期刑か死刑かという崖っぷちになった時に、老弁護士がカイアの弁護に立つ。

⒈学校に行かない野生の少女
町からは離れた湿地帯の水辺の小屋に、両親や兄姉と住んでいた。父親が面白くないとすぐ暴力を振るう。母親をはじめとしてみんな嫌気がさして家を出て行くのにカイアはとどまる。父親から学校には行くなと言われるが、町の人の勧めで授業を受けると、クラスメイトからバカにされて1日で登校拒否だ。字も読めないし、買い物をしてもおつりの計算もできない。そんな中、父親まで家を出て行く。

1人になったカイアは貝を獲り、それを町の雑貨屋で売って生計をたてる。町の福祉課は1人暮らしのカイアをグループホームに入れようとするが、ひたすら逃げ回るのだ。そんなカイアを見るに見かねて、テイトという青年が勉強を教えると同時に、カイアが湿地帯の生態系をよく観察しているのに注目して、その能力を伸ばそうとする。2人の間に恋が芽生えて行く。


孤独な野生の少女の成長と恋の物語でもある。人嫌いの少女が心を許しても、うまくいかない。そんなストーリーを織り交ぜる。そのストーリーのバックには美しい湿地帯の景色が映し出されて目の保養になる。ロケ地はニューオリンズだという。映画を観ながら、ハンフリーボガードの「アフリカの女王」を連想する。ロケハンに成功していると言えよう。


⒉ミステリー要素と法廷劇
死体が発見されたのは、カイアの家の近くの物見櫓(やぐら)のそばだ。そこからは指紋は発見されていない。近くに足跡もない。物見櫓の屋上からチェイスが落ちたとも推定できる。検察側の追及とそれをかわそうとする弁護側の対決は、一級の法廷劇を観ているようでおもしろい。

必ずしも被告側に有利になる証言が多いわけではない。当日、カイアが書いた生態系に関する本の編集者に会うためバスで街を離れていたアリバイもある。でも、その気になれば、とんぼ返りで戻れば殺人を犯すこともできるという検察側の指摘もあるのだ。最後まで目が離せない。


そんなおもしろい展開が続いた結果は言わぬが花だろう。でも、最後の最後にアレ?と驚かせるシーンには一瞬これってどういうことかと思わせる。さすがベストセラーだけのことはあると感じる。

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