映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「彼女がその名を知らない鳥たち」蒼井優&阿部サダヲ

2017-11-03 18:35:49 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「彼女がその名を知らない鳥たち」を映画館で観てきました。

共感度ゼロのイヤな奴ばかりが出ているという宣伝フレーズが気になる。着々と実績を重ねている蒼井優、阿部サダヲ2人の新作は見逃せない。ストーリーの大枠を確認せずに観た。映画を見始めると、雑然とした部屋の中でクレーマーぽい電話をかけている蒼井優と彼女のご機嫌とりに躍起になっている阿部サダヲがクローズアップされている。ともにいつも通りの好演、それに竹之内豊と松坂桃李が加わる。

白石和彌監督「凶悪」「日本で一番悪い男」で男をあげた。確かに両作ともいい出来である。勢いに乗って日活ポルノ「牝猫たち」をつくったが、低予算ということもあるけど、これはもう一歩かな?でもそこで培ったノウハウで、蒼井優に今まで以上に大胆なベッドシーンを演じさせる。よくやるな!と自分にも思わせるけど、バストトップが見えそうで見えないのが残念。


15歳年上の男・陣治(阿部サダヲ)と暮らしながらも、8年前に別れた男・黒崎(竹之内豊)のことが忘れられずにいる女・十和子(蒼井優)。不潔で下品な陣治に嫌悪感を抱きながらも、彼の少ない稼ぎに頼って働きもせずに怠惰な毎日を過ごしていた。ある日、十和子が出会ったのは、どこか黒崎の面影がある妻子持ちの男・水島(松坂桃李)。彼との情事に溺れる十和子は、刑事から黒崎が行方不明だと告げられる。


どれほど罵倒されても「十和子のためだったら何でもできる」と言い続ける陣治が執拗に自分を付け回していることを知った彼女は、黒崎の失踪に陣治が関わっていると疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯えはじめる。(作品情報より)


2人の二枚目もここでは確かにイヤな奴だ。蒼井優はその昔竹之内豊のことが好きだった。しかし、この男は商才がない。借財もあるようだ。金の無尽だけでなく、借金のカタにスポンサーと寝てくれというくらいの男だ。とんでもない。松坂桃李蒼井優がクレームをつけたデパートの時計売り場の社員、いい男なんで、女性も態度を変える。そして、松坂桃李には妻がいるにもかかわらず、蒼井優に近づいていく。でもそれは単なる性欲処理にすぎない。2人とのベッドシーンはたびたび訪れる。


ストーカーに近い相手のことが気になって仕方ない男ってたまにいる。阿部サダヲ扮するこの男はかなり執着心が強い。15歳も違うと、可愛いさ余ってかわいがるということもある。でも、生活費は男が持っているにもかかわらず、蒼井優扮する同居人は全然男を相手にしない。それでも、女性に性欲がある時には、指で愛撫していかせてあげる。そんな関係だ。男ができたと阿部サダヲにわかった時は2人のデートを尾行するのだ。マシな人は誰もいないと言うが、自分から見たら阿部サダヲ扮する主人公はまともな方だ。今回は阿部サダヲのしつこさが見ものである。


最初はミステリーの要素があるように思えなかったが、ある時から行方不明になった竹之内豊が本当は殺されたんじゃないか?と観客に感じさせる匂いを持たせる。それも阿部サダヲに。それくらい交際相手に執着する姿にヤバさを覚える。そう観客に感じさせるように思いっきり引っ張り、方向性を変える。意外な展開にそう持ってきたのねと感じさせるのはうまい。

この脚本は「ラブジェネレーション」などのラブコメの脚本で名高い浅野妙子である。最後に向けてはちょっと甘すぎかな?

凶悪
白石監督のクライムサスペンスもの
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映画「ブレードランナー2049」ハリソン・フォード&ライアン・ゴズリング

2017-11-03 08:56:51 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ブレードランナー2049」を映画館で観てきました。


もともと未来ものは苦手である。子供のころからSF小説は読まない。飛躍がありすぎると、本当にそうなるのか?と思ってしまう。逆に歴史好きだったせいもあるのか、むしろ過去にあった事実を探る方が好き。それもノンフィクションのほうがいい。それでも、予告編に映るハリソン・フォードの姿を見ると、好奇心をそそられる。

結果的に言えば、つまらなかった。映像表現が素晴らしいという声が聞こえてくるので、大画面スクリーンの映画館で前方に座って見た。確かに見ごたえはある。「ダンケルク」の時も素晴らしいと思ったが、緊張感を持たせるハンス・ジマーの音楽はいい。デイヴィッド・リンチ監督の作品を思わせるようなずっしりくる音楽がジーンと響きわたる。でも話にまったくなじめない。これは好みなので仕方ない。

前作では日本びいきのリドリー・スコットらしい日本の夜の繁華街らしき映像が目立った。新宿のしょんべん横丁や歌舞伎町の街を意識している。今回も同様に登場するが、一度は荒廃しきったという前提でこういう感じが残るのか?疑問が残った。


2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、人間社会と危うい共存関係を保っていた。危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。LA市警のブレードランナー“K”(ライアン・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。


彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、30年間行方不明になっていた男、デッカード(ハリソン・フォード)だった。いったい彼は何を知ってしまったのか?(作品情報より)

ドゥニ・ビルヌーブ監督には「灼熱の魂」であっと言わされた。ものすごい傑作である。その後も作品を追いかけている。出演者には自分の好きな俳優がそろっている。ハリソン・フォード「刑事フック」「逃亡者」といったサスペンスものや「インディージョーンズ」シリーズを通じてずっとファンである。近年出番の増えたライアンゴズリング「ドライブ」「ラ・ラ・ランド」で一層好きになる。

2人ともここでの演技は全く悪くない。荒廃しきったラスベガスと思しき建物で2人が出会うシーンは個人的には感動的だ。むしろ助演の女優群が個性的な役柄を見事にこなす。美人ぞろいの人造人間を欲するアキバ的ボーイが増えそうな予感。


手塚治虫の漫画に出てくる世界を思い浮かべた。「火の鳥」にはロボットと共生する社会が出てくる。そして、人間の形をした気まぐれな人造人間が出てくる。ある意味、今から40年以上前に書かれたこの漫画にこの映画のストーリーに類似した点が多々見受けられる。


クローン人間というわけではないが、AIの進歩は加速度的に著しい。ロボットも普通の歩行ができるだろう。近未来にはそういう人造人間がでてくるとなれば、そういう社会を予言したような気がする。でも、映画の中にある退廃と進歩の混在に矛盾を感じる。空飛ぶ車が走る一方でごみダメみたいな世界がある。人類はそこまでバランスを崩すように思えないが、私の希望的観測が強すぎるのか?

最後に向けて雪の中映し出されるライアンゴズリングとハリソン・フォードの姿は美しい。大画面の手前で観ると、はたして30年後にライアンゴズリングがもう一回「ブレードランナー」をやるのか?そう考えてしまう。あと2年でどう変わるかわからないが、前回の「ブレードランナー」で想像した世界には今はなっていない。あと30年後にこの映画のつじつまが合うか見ものだ。

ブレードランナー ファイナル・カット
歌舞伎町と思しき街角の映像が懐かしい
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