映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ペイル・ライダー  クリントイーストウッド

2010-08-15 17:47:12 | クリントイーストウッド
村上春樹がエッセイで絶賛したクリントイーストウッドの西部劇がある。
オスカー作品賞「許されざる者」より7年前につくられた85年の西部劇「ペイルライダー」である。基本的な流れはイーストウッドが圧倒的に強い「牧師」を演じ、攻め入られている集落を助ける話である。よくできた映画だと思う。



ゴールドラッシュのころのアメリカ西部、一攫千金を狙って金採掘をする集落に、他の集落の人間が攻め入る場面から映画はスタートする。15歳の少女ミーガンと母のサラは、サラを求婚するハルやその仲間とともにこの集落に暮らしていた。この日も山を支配する鉱山会社のラフッド社のいやがらせに遭ったのだ。その後、ハルが町に行き、買い出しに行ったところラフッド社の人間からまたいじめを受けていた。そこを通りかかったのがクリントイーストウッドだ。棒と素手で6人ほどいたメンバーたちをコテンパンにやっつけてハルを助けた。ハルはお礼にイーストウッドを集落に誘った。そこには恋人のサラと娘が待っていた。嫌がらせをする人間を撃退した話を聞いたので、暴力的な男と思った恋人のサラだったが、イーストウッドが牧師だということがわかり彼を歓待する。
その後コテンパンにやられた鉱山会社の御曹司がアンドレ・ザ・ジャイアント風の力の強い男をつれてお礼参りに来るが。。。。。

西部劇の名作「シェーン」を思わせるところもある。この映画では最初から拳銃のドンパチが続くという訳ではない。あわてずじっくりとストーリーを作っていく。85年の作品だが、70年代前半の作品と比較して現代的なスマートさを感じる。25年たった今と大きく変わらない。

なんせイーストウッドがかっこいいし、強い!
余計なセリフは排除して短い言葉で簡潔に話す。それがまた味がある。
「神と金両方には仕えられないぜ」「女の決心を待っていたら時間がかかるぞ」など
メモに書いておきたいくらいだ。

自分の記憶に薄いイーストウッド作品をちょいとまた追いかけるか
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

異人たちとの夏  大林宣彦

2010-08-15 09:43:49 | 映画(自分好みベスト100)
実に泣ける映画である。心が温まりたまらなくなって泣ける。
大林宣彦監督による昭和の最後63年の作品である。原作は山田太一である。「岸辺のアルバム」「想い出づくり」などのテレビドラマの脚本で当時ナンバーワンの売れっ子だった。風間杜夫が主人公で、名取裕子、片岡鶴太郎、秋吉久美子が脇を固める。離婚後一人暮らしになった風間杜夫の周りに奇妙な事象が次から次へと起きていく。映画の技巧が今ひとつと思わせる部分もいくつかあるが、話の展開がひたすら泣かせる。

テレビの脚本の仕事をしている風間杜夫は、離婚して今は一人暮らしである。その部屋を同じマンションに住む名取裕子が突然訪れる。不意の訪問に風間は身構える。辛いことがあったのか?少し酔っており部屋で一緒に飲みたいという。美女の訪問だが、風間はドアを閉めた。その翌日から彼にとって奇妙なことが起きる。
気分転換に浅草に行った。浅草は主人公にとって12歳まで育った懐かしいところだ。ぶらぶらしたあと、六区の演芸場にはいった。そこで落語を楽しんだ。ある落語家の小噺のとき、客席の男性から声がかかった。その声には聞きおぼえがあった。席を前にうつしてみた。似ていると思った。座が終わると、その男こと片岡鶴太郎がうちに遊びに来いよと誘ってきた。風間は下町の裏通りを歩きながらついていって部屋に入った。そこには秋吉久美子がいて、歓待してビールを注いでくれた。片岡と秋吉は28年前に亡くなった風間の父と母にそっくりだったのである。帰りがけに名前を聞いたら「なんで親の名前を聞くんだと言われた」間違いない自分の親だと確信するが。。。。



このあと話は奇妙な方向に進んでいく。
小さいころに別れた父と母との再会を何度も楽しむのである。しかし、彼はだんだんとやつれていく。それは同じマンションの名取裕子にも指摘される。。。

ゴースト映画の色彩もある。しかし、根底に流れるのは父母と子供との厚い愛情である。それを思わせる言葉を聞きながらそこはかとなく涙が出てきた。こんなに泣けるのは久しぶりだ。そして一昨年連続して亡くなった自分の父と母のことを思った。何もしてあげられなかった無念さを心に思いながら泣けてきた。

昭和の最後である。東京の土地が史上空前の上昇をした直後だ。実勢地価のピークは国土法届け出の通達が出た直後の62年の冬だろう。その色彩を浅草の下町情緒と対比させながら穏やかに映画ができている。傑作というにはちょっと違う。何とも言えないハートフルな気持ちにさせる映画だ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする