映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

39 刑法第39条  鈴木京香

2010-08-11 22:39:16 | 映画(日本 1989年以降)
鈴木京香、堤真一主演の99年の森田芳光監督作品。犯行時に心身喪失状態であった時には責任能力がなく、心神耗弱時には極刑が免れるという刑法39条にスポットを当てる。殺人を犯した堤真一と精神鑑定の助手であった鈴木京香を中心に犯行時の責任能力の問題に疑問を投げかける。
バランスが取れた映画である。いきなり殺人事件で犯人がわかる場面からスタートするにもかかわらず、最後まで目が離せない傑作である。

団地で身重の女性とその夫が殺される場面からスタートする。女性の持った演劇のチケットから劇団員である堤真一が逮捕される。警察の尋問に対して大筋で罪の事実を認めた。国選弁護人として樹木 希林がつき、公判がはじまる。検察官は江守徹だ。起訴文を検察官が読み上げたあと、裁判官が本人に内容を確認したところ、堤は訳のわからない言葉を発する。弁護人はただちに精神鑑定を依頼した。精神鑑定には精神科医杉浦直樹と助手として心理を学んだ鈴木京香があたる。鑑定を実施したところ、本人には奇怪な言動、行動がみられた。そして犯行時に心身喪失であった旨杉浦医師より報告された。しかし、鑑定を手伝った鈴木京香は堤が詐病を装っていると主張するのであるが。。。。。



単純な殺人の審判を追うだけの法廷劇ではなかった。殺人事件の背景に大きな真実が隠されていた。脚本のうまさを感じる。それをゆったりと映像が追っていく。芸達者が多く、配役の妙もあり最後まで飽きさせない。主人公の二人だけでなく、現在脳の病気で病気療養中の江守徹、杉浦直樹の両ベテランのうまさも光る。岸部一徳の刑事役は天下一品だ。テレビの「不毛地帯」の里見役もうまかったが、嫌味っぽい役が実にうまい。

法律については私は何とも言えない。被害者の立場で考えると、辛いものがあるだろう。問題提起したことでも意義のある映画といえよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする