映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ピクニック キム・ノヴァク

2010-05-23 13:37:12 | 映画(洋画 69年以前)
アルフレッドヒッチコック監督の作品で「めまい」が再評価されているようだ。1958年の色鮮やかなカラー作品で、美しいサンフランシスコの街を舞台にして一人の美人の人妻を尾行するジェームス・スチュアート主演の作品だ。

この作品で妖艶な演技を見せるのがキムノヴァクだ。思わずドキッとさせられる美しさに圧倒させられる。その彼女が「めまい」の3年前に撮った名作が「ピクニック」である。22歳のキムの清純な美しさが際立ち、ウィリアム・ホールデンがいかにも彼らしいチャランポラン男を演じる。彼にとってはボガード、ヘップバーン共演「麗しのサブリナ」と香港を舞台にした「慕情」の映画史上に残る2大名作の間に作られた絶頂期の作品である。

9月の初旬、貨物列車に乗ってウィリアム・ホールデンがカンザスにやってきた。大学時代の同窓だった金持ちの息子を訪ねてきた。街を歩いていて、無一文の彼は老人の女性が一人住む家で庭掃除をさせてくれと頼む。彼の身なりを見かねた老婆は飯を食べさせてあげる。その隣の家にいるのがキムノヴァクである。母親と妹、居候の独身の女教師の3人と一緒に住む。昔の同級生はどうも彼女に求愛をしているらしい。キムに聞いた昔の同窓の居所を訪ねていき、ウィリアムは歓待された。そして町で恒例の集団ピクニックにキムの家族や同窓生と一緒に参加することになるが。。。

私が思うピクニックという言葉の響きは、家族や仲間と一緒に郊外へ弁当を持って散策にでる響きである。基本的には同じニュアンスであるが、この映画でのピクニックは集団ピクニックと夏祭りを併せ持った町のお祭りである。そのセレモニーの様子をじっくり映画で描いていく。朝鮮戦争以降、ベトナム戦争前の平和だったアメリカの地方都市の祝い事の様子がわかる。貴重な映像だ。

ウィリアム・ホールデンとキム・ノヴァクが名曲「ムーングロー」で踊るダンスは名シーンである。奇妙に頭に残る。



うまいダンスではない。キムのしぐさには男をメロメロにする強いオーラがある。でもその恋愛に焦点を合わせるだけでない。キムの家族の性格、心理描写に奥深く入る。美人の姉に引け目を感じて勉強に精を出す男っぽい妹役と中年独身の居候女教師のふるまいが映画に味付けする。

よき時代のアメリカの姿をよくあらわした映画らしい映画を観て良かった。
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バッドアス

2010-05-23 07:45:36 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
黒人映画制作者のはしりの誕生をテーマにする。メルヴィン・ヴァン・ピープルズは白人に牛耳られていた映画界に「スウィートスウィートバック」でブラック旋風を巻き込んだ。息子マリオン・ヴァン・ピープルズが監督兼主演で親父のオマージュをおこなう。
70年代のソウルミュージックを彷彿させる音楽をバックに流し続けながら、彼ら黒人製作者の苦労を映し出す。

ハリウッドの映画制作者の主人公メルヴィン・ヴァン・ピープルズは、黒人だけでブラックパワーを示す映画をつくろうとする。すでに「ウォーターメロンマン」をヒットさせていた。
自薦他薦でスタッフは集まるが、制作費がない。スポンサーを頼ってまわるが、断られつづける。
出演俳優も俳優組合から圧力がかかったりうまく行かない。そんな中映画撮影を強行していく



努力して何かを成し遂げるといったムードが強いわけではない。主人公は比較的のんきだ。次から次へとでてくる困難をサッカーのドリブルのように避けるようにして映画をつくる。詐欺師的な要素も持っている。その雰囲気も映画では十分読み取れる。
それまで白人俳優の陰で、黒人俳優は使用人やコメディアン的な役しか与えられてはいなかった。シドニーポワチエはすでに活躍していたが、彼を起用するほどの金もない。そこで当時全盛だったポルノの匂いもむんむんさせながら映画をつくることを思いつくのだ。


最初に時代背景をドキュメンタリータッチで説明してわかりやすい。
このころすでに音楽界ではブラックパワーが爆発していた。モータウン全盛のころである。
ドリームガールズなんて映画はそのころを上手に描いている。
しかし、黒人スタッフのみでの映画制作には程遠かったようだ。
感動する映画ではない。徐々にムードを盛り上げていく。
監督それ自体の若いころが役柄で登場する。なんと12歳で童貞にさよならをするのだ。
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