映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

イントゥ・ザ・ワイルド ショーン・ペン

2009-12-09 17:48:37 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
オスカー俳優ショーンペンがメガホンをとった昨年の作品。ロードムービーの色彩である。幅広くアメリカ国内をロケして、主人公の出会いを描いていく。風景をとらえる撮影がよく、ほのぼのとした気分にさせられる傑作だ。

主人公はアトランタの大学を優秀な成績で卒業したばかりである。別に暮らす父母と妹がいる。家族の関係は比較的複雑で、主人公はこれまで妹と一緒に父母の関係を悩んでいた。ハーバードの法科大学院にもいける成績だったが、学費を寄付して、一人車で放浪の旅に出る。ところが、鉄砲水を浴びてしまい車が立ち往生。彼は歩いて無一文のヒッチハイクの旅に出る。そこで出会うのは、夫婦関係が破綻に向かっていた夫婦や大平原で農家を営む男など。そういう出会いを繰り返しながら、アメリカ大陸を少しずつ移動していくが。。。。。

奇才デイヴィッド・リンチ監督に一つだけ異色のロードムービーがある。「ストレイト・ストーリー」である。兄が倒れた一報を聞き、500km以上はなれた場所にトラクターで向かう話である。全編に流れるのはほのぼのとしたムード。向かう間にいろんな出来事にあう。その映画を思い出した。

家庭環境が複雑なのは少しずつ説明していくが、何で一人で放浪するのかというのは正直分かりにくい。それでも、方々で出会う人たちとのやり取りはなかなかユニークだ。貨物列車にかくれ乗ったり、浮浪者向きの宿に入ったりするなど細かいエピソードもたくさん伝えている。その中でアメリカの美しい風景を映しつつ、心に残る出会いを描く。
これだけのロケ地の候補を探すだけでも、かなりたいへんだったのではないか?10年の構想というが、まずはカメラ映りの良い場所選びで相当時間がかかったと思われる。しかもそのショットが非常によい。撮影は誰かと思わず調べた。エリック・ゴーティエというフランス人である。わざわざ連れて来たのもショーン・ペンが評価したからであろう。なるほどチェ・ゲバラの若いときを描いたロードムービー「モーターサイクルダイアリー」の撮影担当だった。そう聞くと納得した。

ショーン・ペンというとシリアス物を想像してしまう。これもそうだが、ちょっとタッチが違う。心理的に考えさせられる所もある。でもこの映画に限ってはそういう鑑賞法は不要だと思う。難しく考えない方が良い。デイヴィッドリンチ同様、一回こういうロードムービーを作ってみたかったんだろう。これだけいろんな場所をまわって歩くのも楽しかったであろう。

予想以上の傑作であった。
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レナードの朝 ロバート・デニーロ

2009-12-09 16:55:01 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
医者と患者の友情、そして30年の眠りからさめるってどういうことなのかという話。患者デニーロがかなりの熱演、難しい役をベテランらしくこなした。

神経科の医師であるロビン・ウィリアムズがブロンクスにある神経科の病院に着任する。そこで脳障害で動きがまったく止まっている患者たちの中で診察することになる。その中の患者であるロバートデニーロは1939年のある日、脳障害で突然動きが止まり30年間植物人間的な生活をしている。その患者に対して、ロビン医師はアミノ酸混合物を使った化学反応で生き返らせようと試みる。その結果、まったく動きの止まったデニーロが動き出し、言葉を発するようになる。老いたデニーロの母も喜ぶ。同じように病院の患者たちが次から次へと深い眠りから覚めていくが。。。。

患者にとってはタイムマシンで未来に移動したような心境である。1930年代の服装で外界へ出ると、ニューロックがはやり始めの69年にスライドである。若者の頭は長髪が目立ち、ヒッピーのような人種もいる。でも30年も過ぎているのに言葉って出るものなのであろうか?不思議な気がする。脳の構造はよくわからない。言葉が発せられるといろんな感情が生まれてくる。誰かが好きだとかいう感情も生まれてくる。それが葛藤を招いてくる。

主演二人はいずれも器用な俳優である。ロビン・ウィリアムズは「グッドモーニングベトナム」の彼の顔とこの映画の顔はまったく違う。同じように演じられるのはすごい。巧者二人がそろうと映画が引き立つ。
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