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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

サベイランス  ジェニファー リンチ

2010-09-23 13:26:56 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
「サベイランス」直訳すると「監視」である。鬼才デイヴィッド・リンチ監督の娘であるジェニファー・リンチ監督がつくったサスペンス・スリラーということで目にとまった。個人的にリンチ監督作品は必ず観るようにしている。でも期待以上の作品だった。
最近観た映画では実によくできた低予算映画である。傑作というと語弊があるかもしれない。むごい映像の中に計算された凄味を感じる作品だ。



いきなり殺人事件のシーンが映し出される。覆面をかぶった犯人が残虐にモーテルで殺人を犯す映像である。その直後地元の警察に場面が移る。FBIの捜査官の男女が、殺人事件の現場に居合わせた少女、若い女性、警官の3人の目撃者から事情聴取を開始する。その事実を画像で追っていく。少女は自分の母が新たに結婚する夫とともにドライブに出ていた。若い女性はボーイフレンドとともに麻薬浸りのまま事件に出くわした。警官は自分の地位を利用して、一般人から金を巻き上げようとしていた。そんな3人が路上で出くわす時をそれぞれ回想させ、捜査官が地元警察の人間と聞き出そうとしていたが。。。。



「連続猟奇殺人事件を追う二人のFBI捜査官が、目撃者の証言に翻弄されながら真相に迫る姿を描く。」という内容とジャケットその他に書いてある。黒沢明の映画「羅生門」の展開を思わせるとも書いてある。でも観てみるとその解説はちょっと違うなあと感じた。だってあの映画には結論はあってないようなもの。意外な形でも真実があるこの映画とはまったく意味合いが違う訳だから。。。
映画を追うごとにくりかえしドキッとさせられる。観ている人間の予想を外させる。若干デイヴィッドリンチ監督の匂いもあるが、私はむしろコーエン兄弟の作品を連想した。簡潔ながら、脚本の巧みさに意表を突かれ、なかなか見応えがあった。デイヴィッドリンチのファンよりも、コーエン兄弟のファンの方がこの作品をいいと思うかもしれない。両方好きな自分は度肝を抜かれた。



この作品ばかりはこれ以上書かない方がいいかもしれない。
途中までの画像はいかにもアメリカの恥部を映し出すような映像だ。悪徳警官のふるまいや麻薬中毒の連中のふるまいは、アメリカの田舎には行きたくないと思わせる映像だ。いつも思うが、なんでアメリカ映画ではこんなに警察が悪者にされるのであろうか?

それにしても途中から見せるどんでん返しは脚本の巧みさを感じる。
やはり傑作と言いなおすべきであろう。
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ウディアレンの夢と犯罪  カサンドラズ・ドリーム

2010-09-20 16:37:33 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ウディアレン監督の日本での最新作。「マッチポイント」、「タロットカード殺人事件」に続くロンドンロケミステリーの三作目である。「それでも恋するバルセロナ」よりは前に出来た作品だ。ユアン・マクレガーとコリンファレルの人気男優を主演にしてウディタッチのミステリーを楽しんでみた。可もなく不可もなくといった感じだ。



ロンドンに暮らす長男ユアン・マクレガーは、父親が営むレストランで働きながら、カリフォルニアのホテル事業に投資する夢を描いていた。自動車修理工の弟コリン・ファレルは、カードやドックレースにのめりこむギャンブル好きだ。
この兄弟が、格安の6000ポンドで売りに出されていた小型クルーザーをローンで共同購入する。コリンがドッグレースで大穴を当てた犬の名にちなんで"カサンドラズ・ドリーム号"と名付けた。
ところがコリンがギャンブル好きが行き過ぎ、危険なポーカー勝負に手を出し、ヤミ金相手に9万ポンドもの借金をこしらえてしまったのだ。途方に暮れるコリンと話を聞いたユアンだった。そんな時、カリフォルニアや中国で事業を行っている伯父のトム・ウィルキンソンが、家族と会うためにやってきた。一族きっての成功者である伯父ならば、多額の借金もホテル投資話もたやすく肩代わりしてくれると兄弟は喜んだ。しかし、伯父と話すと、自分の事業に不利な証言をしようとする男がいて、その男を処理してほしいという依頼を受けるが。。。。



「マッチポイント」が意外な結末で終わったので、どういう展開になるのかは最後の10分前まで予想がつかなかった。おしゃべりなウディだけに、主演の二人にもたくさんのセリフを与えて、会話のキャッチボールをさせる。それがウディ映画の持ち味である。クールなコリンがこんなに話すのはめずらしいのではないか?
ウディが出ていない時に、その影を出演者にのり移させるのはいつものパターンだ。

老年の域に達して、ウディは美術、撮影、音楽といった映画の舞台装置にずいぶんとこだわっている気がする。「それでも恋するバルセロナ」でもスペインらしさを全面に出した美術がよかった。海に浮かぶクルーザーの鮮やかな映像に加えて、陸の上でも古いジャガーを快調に走らせる映像がいい。ニューヨークでのウディ作品に比べると、残り少なくなった映画人生をヨーロッパで色鮮やかに楽しんでいる印象だ。
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アバター  ジェームズ・キャメロン

2010-07-22 20:19:11 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
昨年一番の話題作、遅くなったがようやく観れた。CGを駆使している画像の美しさには驚いた。ストーリーを超越して楽しんだ。

近未来、人類は惑星パンドラで希少鉱物の採掘基地を開いていた。パンドラは密林に深く覆われた美しい星であり、ジャングルには恐竜を思わせる動物たちと、ナヴィという人間型の種族が暮らしていた。ナヴィは3メートルの身長、尻尾ときらめく青い皮膚を持ち、人間よりも高い身体能力を持っていた。彼らのテリトリーとする森の奥には希少鉱物の鉱床があり、人間との間で小競り合いが発生していた。

人間はパンドラの大気では呼吸できないため、原住民であるナヴィと意思を疎通し交渉するためにアバターと呼ばれる肉体が用いられた。アバターとは人間とナヴィの遺伝子を組み合わせ作りあげた、ナヴィの容姿をした遠隔操作用の肉体であり、オリジナルのDNAを提供した操縦者が意識レベルでリンクし、まさに自分の肉体であるかのように操縦する。


主人公ジェイクは、パンドラに派遣され、アバターの操縦者を務めることになった。元海兵隊員の彼は下半身不随になっていた。しかしパンドラでは、アバターのボディを借りている間だけ、歩ける体を取り戻す。ジェイクは採掘基地の傭兵隊長(大佐)と出会い、同じ軍関係者の縁もあり、ナヴィを偵察する密命を引き受けた。


ある日、ジェイクは仲間とはぐれ遭難し、ナヴィの女性ネイティリに助けられた。彼女は若くて美しく、そして勇敢な戦士であった。部族の長老はジェイクの元戦士という経歴に興味を示し、ジェイクの教育と訓練をネイティリに命じた。しかし、パンドラの自然の神秘を知り、ナヴィに受け入れられてゆくにつれ、ジェイクはパンドラにおける人間のふるまいに疑問を持つようになっていったが。。。。。

モデルになるような話は多々あると思うが、自分は「ラスト・サムライ」を連想した。同化しようとすると情が移るものである。この映画はありとあらゆる恐竜や怪獣映画のエッセンスを含んだファンタジーである。ひたすら楽しむことだけを考えて観れたらいいのでは?
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エルカンタンテ  熱情のサルサ

2010-06-18 05:29:01 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ニューヨークでサルサの黄金時代を築いたエクトル・ラボーの半生を描いた本作は、成功するほどに堕落して行った男の情熱と哀切をまざまざと浮かび上がらせた。タイトルの『エル・カンタンテ』は彼の代表曲であり“歌手の中の歌手”を意味する。演じるのはサルサ・シンガー、マーク・アンソニー。彼の妻ジェニファー・ロペスが歌手ラボーを愛した妻を自ら演じている。



1963年、17歳のエクトルは父親の反対を押し切ってプエルトリコから歌手を夢見てニューヨークへやって来る。ナイトクラブで彼の歌声は評判を呼び、新進レーベルと契約し、67年の「El Malo」によって一躍スターダムにのし上がる。運命の女ジェニファーロペスと結ばれ、やがて息子も生まれるが、輝かしい成功の代償のように酒と女とドラッグに溺れてゆくのだった…。ジェニファーとの感情のぶつけ合いが続いていく。

映画としては普通。でも流れるサルサ音楽は最高である。
このリズミカルな雰囲気はかなり気分を高揚させる。
BGMのような感覚で観るんだったらいいんじゃないかな?

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96時間  リーアム・ニーソン

2010-06-09 21:30:30 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
リュックベッソン製作らしいアクション映画である。いつも通りテンポ良く90分で簡潔に無駄なくまとめる。リーアム・ニーソンが主演で年の割りにアクションが盛りだくさんだ。

昔はプロのスパイであったリーアム・ニーソンは今は独り者。秘密工作員であった彼はバイトで今でもアイドル歌手の警護を引き受けている。歌手の命を狙った男から身をもって守っていた。昔結婚していた妻との間に17歳の娘がいる。元の妻は富豪と再婚している。その娘が女2人でパリに旅行するらしい。承諾を父親から取ろうとするが、父親は大反対。でも毎日必ず連絡するという前提で承諾する。パリで親戚の家に止まるという話は友人のうそであった。パリについて知り合った男に宿泊先まで送ってもらったが、実はそれは罠でマフィアにつかまってしまうが。。。



リーアム・ニーソンにはこういう役はめずらしいかも?その昔「ダークマン」を演じたことはあったが、その後はちょっとテイストの違う役が多い。50過ぎているにもかかわらず、アクションシーンを連発、スタントもいるであろうがなかなかやる。パリでのカーチェイスも交え縦横無尽に活躍する。



誘拐犯としてアルバニアマフィアなんて名称が出てくる。東欧はどうも犯罪の魔窟となっている印象だ。我々が小さいときは「危ない人にさらわれて、香港マフィアに売られちゃう」なんて話よく映画やテレビの題材になっていたっけ。今は東欧経由で全世界に売られてしまうとのことだ。そういえば東欧系の女の子日本や中国でもずいぶん夜活躍しているなあ

リュックベッソンのアクション映画は序盤戦からぶっ飛ばす。見ている人間を退屈させない。単純でいい。
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アザーマン  リーアム・ニーソン

2010-06-04 05:47:53 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
リーアム・ニーソンとアントニオ・バンデラスにローラ・リニーが加わり、主演級3人がロンドンとイタリアを舞台に演じる愛情サスペンス映画である。日本未公開であった。リーアムニーソンが妻の携帯電話の留守電を聞いてしまい妻の素行に疑いを持つという題材である。イタリアの風景がきれいであった。

リーアム・ニーソンはIT系企業の経営者である。売れっ子の靴のデザイナーであるローラ・リニーとは仲のいい夫婦であった。そのローラの携帯電話の留守電を聞いてしまう。
「電話しない約束であったが、どうしても会いたい。」
そういう男からの電話であった。その後彼女のパソコンを開くと新着メールがきている。ラルフという男からだ。どうしても会いたい気持ちを伝えるメールが来ている。驚いたと同時に憤慨した。勝手にもう逢えないと返事をしてしまう。
彼は仕事の職権を利用して、社内の従業員にメールアドレスから相手の個人情報を割り出すように依頼する。
その結果、男はミラノに住む男アントニオ・バンデラスだということが判明し、リーアムは彼のところへ向かうが。。。。



話はサスペンスタッチで展開する。
自分自身途中までだまされていた。何にだまされていたかはネタばれで言えない。
それがわかると同時に何だということになる訳だ。
ローラリニーは「私がクマにキレた訳」でセレブ女性を演じた。
ここでも売れっ子デザイナーを演じる。ある意味セレブだ。でもこの映画の方が彼女らしいキャラクターだ。かわいらしい。
リーアム・ニーソンとアントニオ・バンテラスは普通かな?
そんなに込み入ったストーリーではないので活躍の場が用意されているわけではない。



映画にコモ湖がでてくる。北イタリアの湖だ。
美しい湖で、ディオールの生産地などでファッション界にも縁がある場所らしい。
ローマ帝国シーザーの時代から保養地になっていたらしい。
その湖が映画のキーワードになっている。。
一度行ってみたい。
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扉をたたく人 リチャード・ジェンキンス

2010-05-20 04:53:23 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
名脇役が年老いて突如として主役を張る映画には傑作が多い。
この映画もその典型である。リチャードジェンキンスといってもぴんとこなくてもこの顔は映画ファンなら見たことあるであろう。初老の融通のきかない大学教授の不思議な出会いを暖かく描いている。

主人公のジェンキンス教授は、コネチカットの大学に勤める62歳である。妻に先立たれたあと気難しくなり、融通のきかない孤独な男だ。大学からニューヨークでの代理講演を頼まれる。いやいやながら引き受けることになる。そこで所有しているニューヨークのアパートに戻った。入ると人の気配がする。風呂をみると、黒人の女性が入っていた。そしてその恋人の男性がいる。他人が自分のアパートにいることに驚くジェンキンスだが、どうやらこの2人も騙されてこのアパートに住むことになったようだ。2人は家を出て行くが、教授は追いかけて住む所のあてのない二人を呼び戻す。そして3人の奇妙な同居生活が始まる。男はシリア出身のアフリカンドラムの演奏家であった。ピアノを学ぼうとして、モノにならなくて音楽への劣等感を持っていた教授は、彼のアフリカンドラムに関心を持つようになるが。。。。


このあと軽い起伏を二度ほど通過する。そして味のある展開に持っていく。主演のジェンキンスはベテランらしく不器用な大学教授の役を見事にこなす。
初老の彼が熟年のはかない恋に落ちていく構図は観ていていい感じである。
デートでブロードウェイにミュージカル「オペラ座の怪人」を観に行くシーンが出てくる。14年前にニューヨークに行ったとき、同じ劇場で「オペラ座の怪人」を観た。それを思い出し、懐かしくなった。


この映画のもう一つのテーマは移民問題である。人口がどんどん減っていく日本と違って、アメリカは300万人ほど毎年人口が増加している。2001年の同時テロ事件以来それまでは緩やかだった中東諸国からの移民に対して、きびしい目が浴びせられているようだ。不法滞在はなおのことだろう。今回もシリア人を登場させるが、イスラム系の人たちに対する当局の目はよりきびしいであろう。あれほどまでの事件が起きたのだから仕方ないと思う。でもある意味社会問題になっているのかもしれない。

この映画で一番好きなシーンは、同居のシリア人がセントラルパークの中で仲間たちと、アフリカンドラムを演奏している中に、主人公の教授が入り込んで一緒に演奏するシーンである。孤独で人との距離を置いて暮らしていた主人公がオープンな気持ちで入り込んでいく。それと同時に奇妙な来訪者であったシリア人との距離をなくしていくシーンだ。気持ちが妙に和んだ。
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トランスポーター3

2010-04-21 18:29:21 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
リュックベッソンのシリーズ第3作である。ジェイソンステイサムがいつもながら冴える。

ある輸送話を断ったジェイソンステイサムの家にいきなり車が突っ込む。その車に乗っているのはジェイソンが推薦した運び屋仲間である。瀕死の重傷を負っている運転手を助けようとして、救急車を呼ぶ。
ところが運転手を乗せた車が爆発してしまう。座席に若い女性が乗っていた。
運転手の腕には腕輪がかかっていた。この腕輪は若い女性にもかかっている。
一定距離離れると爆破するように仕組まれていたのである。
その後ジェイソンは何者かに気を失わされるのである。腕輪をはめられ任務を遂行させられる

いつもながらリュックベッソンの作品は簡潔にまとめられている。
今回もヤマが3つから4つほどできる。
007並みのアクションである。中でも奪われた車を取り戻すために自転車で追いかけるシーンが良かった。

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ハート・ロッカー

2010-04-14 20:09:53 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
オスカー作品、劇場でようやく観られた。
個人的には好きなタッチではない。でも戦争に出征する人たちの究極の心理状態を表現している。この映画を観ていると、アメリカが日本パッシングするのも無理はないと思わせてしまう。



バグダッドで爆弾処理をするアメリカ軍兵士が妨害するイラク人のために処理に失敗してしまうシーンからスタートする。その兵士が亡くなった後配属になるのが主人公である。彼は黒人軍曹と未熟な処理兵と一緒に行動を始めるが。。。。



主人公はアメリカに妻と生まれて間もない子供を置いて出征している。期限付きではあるが、次から次へと危険な爆弾処理に取り組む。こんな危険な仕事についている米軍兵がいると思うと心が痛む。アメリカ人は当然のようにイラク人から歓迎されない。次か次へと裏組織が米軍に抵抗する。一寸先が闇である。手持ちカメラの撮影を中心にリアル感があり、ドキュメンタリータッチに近い形で描く。カメラの方向性も米軍の方からだけでなく、抵抗勢力側からも写す。手が込んでいる。

この映画を観て思ったのは、第2次世界大戦に負けた後の日本の占領時代のことである。当然日本でも闇勢力が台頭したものの、米軍にこのような対抗意識を示したことはなかったのではないか?テロ勢力らしきものは出現せずに、明らかに米国に迎合していた。
バグダッドでの抵抗には宗教的な匂いを感じる。ある意味無宗教に近い日本人であるからどうにでも合わせられるのであろう。イスラム教に全てをゆだねている彼らは簡単にはいかない。そんな気がした。

いずれにせよ、現在もこの映画と同じようにイラク駐留する米軍兵がいると思うと本当に敬意を表する。鳩山さんがオバマさんに完全に無視されるのも無理はないよねと改めてこの映画を観て感じた。この映画がオスカー作品をもらっているのは日本の映画ファンからすると異様かもしれない。でもこの作品がもらっていること自体がアメリカの精神なのである。
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サブウェイ123 デンゼルワシントン

2010-03-22 06:27:44 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
トニースコット監督とデンゼルワシントンの名コンビによるアクション映画。今回は凶暴な地下鉄ハイジャック犯にブルックリンの帝王ジョントラボルタを迎える。



ニューヨーク地下鉄の運行管理をしているデンゼルワシントンが、運行管理画面に異常が出ていることに気づく。13時23分発の「123号」が車両を切り離しなぜか停止している。3人の仲間を引き連れたジョントラボルタが地下鉄をハイジャックしたのだ。運行司令室のデンゼルワシントンが無線連絡すると「一時間以内に$1000万を現金で用意できなければ人質を皆殺しにする。」と伝える。あわてる走行管理者たちの元に来るのはニューヨーク市警のジョンタトゥーロである。最近左遷されたばかりのデンゼルはその場にいようとしたが、帰宅を命じられ、代わりにジョンタトゥーロが陣頭指揮にたつ。交渉人変更に怒ったトラボルタは本気度を示すように電車の運転手を殺害する。そして再度デンゼルと話したいと。そうでないと人質を殺しまくると脅すが。。。。。



序盤に地下鉄ハイジャック場面を持ってきて、最初から飛ばしていく。だれる場面はない。トニースコット特有のチカチカ画面もそんなにいやらしくは出ない。リメイク作品ということである。ネットなど現代ハイテク機器をかなり使っている。そこで前作と差別化しているのであろう。でも60歳を過ぎたトニースコット監督だけあって、ハイテクに傾斜過ぎるというわけでもない。
脚本は巧みに2人を操作する。地下鉄に勤めるデンゼルワシントンが近々に左遷されていた事実をトラボルタにつかまれてしまうのも物語の展開をおもしろくする。
でも傑作というわけではないとは思う。最終結末はなんとなく類推できてしまうのでそれ自体が物足りない。単純に1時間半強楽しむといったところか。
それにしてもニューヨークというところは気前良くロケ地を提供するところだ。日本では不可能なカースタントや橋梁でのアクションなど、アメリカ映画と日本映画の大きな差はこういう周辺の寛大な協力といったところだろう。



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レスラー ミッキー・ローク

2010-02-28 16:16:35 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
盛りの過ぎたプロレスラーの哀愁を描く作品。ミッキー・ロークが身体をいかにもプロレスラーらしく仕上げ、ハードなプロレス技を演じる。相手役のマリサ・トメイも年齢を感じさせない美しい裸体を見せ、子連れストリッパーを体当たりで演じている。作品的そのものの出来もいいが、何せ登場人物の頑張りには脱帽だ。



80年代にはプロレス界のヒーローだったミッキーロークは、今は盛りを過ぎたプロレスラーとしてドサ回りをしている。娘ヴァン・レイチャル・ウッドが一人いるが疎遠な関係である。時おりストリップバーに行って、なじみのマリサ・トメイにあっている。その関係はあくまで客とダンサーだ。衰えがきたミッキーはステロイド剤の注射をしながら、過酷な試合に出場している。しかし、身体を極限まで酷使した結果、試合後倒れてしまい、心臓の緊急バイパス手術を受けてしまうが。。。。

手持ちカメラによる映像が中心。それがミッキーロークの動きをリアルにとらえる。ライブ感が非常に強い。ミッキーはかなり激しいプロレスの格闘を実際に彼自身が演じているようだ。これは本当にハードだと思う。彼の肉体はかなりきつく痛みつけられたと思う。思わず目を伏せてしまう場面も多々あった。

「その土曜日、7時58分」の映画でも美しい裸体を見せていたマリサ・トメイが、ストリッパー役だけにここでも気前よく脱いでいる。40を過ぎているとは到底思えないような美しさだ。役に本当に入りきってしまう。本当にすごいなあと思う。
あとはミッキーの娘役ヴァン・レイチャル・ウッドが美しい。



この美しい二人をスパイスに使いながら、ミッキーロークがひたすら走る。そういった印象の映画だ。人間ドラマと考えてみるべきであろう。



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8mile エミネム

2010-02-07 07:32:56 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
奇才カーティス・ハンソン監督がラップを取り上げる。現役ラッパーのエミネムがデトロイトの貧民街から這い上がっていこうとする姿を描く。8mileとはデトロイトの貧富を分け隔てた場所にある通りのことである。定跡どおり最後にコンテストで盛り上げていく構図だが、単にそれだけにスポットが当てられているだけではない。

デトロイトの貧民街で主人公エミネムの母キムベイシンガーが若いヒモを連れ込み主人公の幼い妹と一緒に暮らしていた。主人公は恋人とも別れトレイラーハウスというキャンピングカーのような家に戻ってきた。母キムは酒びたりの自堕落な生活をしていて、若い男におぼれていた。白人の主人公はラップが得意。黒人の4人の仲間とつるんでいた。街のラップバトルに出演するが、相手に圧倒され声も出ずに負けてしまい。会場の若者たちの嘲笑を浴びる。生活のために工場に働きに出る。そんなときに新しいモデル志望の女の子ブリタニー・マーフィーと知り合うが。。。。

そもそもラップは黒人を中心にした音楽。白人がそのリズムをとるのは困難であるというのが全ての前提である。主人公はそういうギャップの中はい上がっていくというのが根本的テーマである。主人公は常に不機嫌そうな顔をしている。同時に何かに挑戦していこうとする目つきをしている。エミネム本人の現実の話もモデルになっているからそういう顔つきがリアルに出るのであろう。リズム取りとうまさのラップのセリフのヴォキャブラリーの深さはなかなかやるなといった印象だ。

主人公の仲間たちがいかにも秩序のなく不道理な連中たちである。黒人だけでなく白人もいる。オンボロ車に乗って街の中をいたずらしまくる。実にハチャメチャで気分が悪くなるくらいだ。お決まりのように対抗勢力がいる。これもまったく同じ類の連中たちだ。「ウェストサイド・ストーリー」にもいたように必ず対比する勢力をもってくるのが映画の定跡である。相手のリーダーは黒人でも金持ちの息子ということにしている。

この映画の背景にあるのがデトロイトの貧民街である。ここは「ウェストサイドストーリー」や「サタデイナイトフィーバー」の描くニューヨークのアバズレ街よりもはるかにたちは悪い。母親キムは家賃滞納で立ち退きを迫られていてどん底の生活だ。しかも変な若い男がうじ虫のように寄り付いている。母親キムはその男にはまっている。キム・ベイシンガーの自堕落な役も適役だ。こんな役日本でいえば夏木マリがはまりそうだ。主人公もいやで仕方ないがそこで生活するしか糧がない。でも観ていると、不思議とキムベイシンガーの出ているシーンの方が普通の映画らしく思えてくる。それは主人公の仲間たちのあまりに不秩序なふるまいを、観ている人間が不快に感じるくらいにカーティスハンソン監督が強調しているせいか?

青春映画のようで奥行きを持たせるのはさすがカーティスハンソン監督だと思う。個人的に大好きなのはメリル・ストリ-プに思いっきりカヌーを焦がせた「激流」だ。「LAコンフィデンシャル」も「イン・ハー・シューズ」も抜群である。苦手なのは「ワンダーボーイズ」くらいかな?最近のポーカー映画「ラッキーユー」は普通に見えた。

ラップの持つイメージ以上に深みがある映画だと思う。
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トロピック・サンダー ベン・スティラー

2010-01-21 05:43:12 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
最後に某超有名大スターがその表情をはっきり見せ妙なダンスを踊る。アレ!もしかして彼?という時にクレジットが彼の名を告げる。一瞬だけカメオ出演というわけではない。最後に驚かせる。でもこれは見てのお楽しみにしたほうが良いだろう。紅白に矢沢が出てきたみたいだ。彼にしてはめずらしい怪演だ。

戦争映画をとるつもりでいたら、そこでは本当の戦争がおこなわれていたというコメディである。でも戦争の描写はかなり本気である。金もかかっていてかなりリアルだ。当代きっての主役級コメディ3大スターが中心になって盛り上げる。監督であるベン・スティラーはコメディアンぽくて一番いい。

人気が落ち目のアクションスターであるベン・スティラーと麻薬かぶれのコメディアンを演じるジャック・ブラック、演技派俳優を演じるロバート・ダウニーjrの3人が中心になって戦争映画をとっている。ベトナム戦争の逸話が題材になっている。ところが足並みあわずに、撮影が開始してまもなくカメラを回さずに爆破シーンを撮るという失敗をしてしまい、製作者側から強烈な叱責を受ける。そのとき製作側が、現在も緊迫したカンボジア、ミャンマーとの国境エリアで彼らを取り残してリアルな画像を撮ることを思いつく。ヘリコプターで離れた場所に向かい、携帯受信不能にして一切の情報が取れない状況で撮影が始まる。ところが、そこではまだ東南アジア系現地人のゲリラ部隊がいた。麻薬の製造もおこなっているようだ。彼らはアメリカ軍の麻薬取り締まり部隊とみなして攻撃を始めるが。。。。

日本の喜劇映画の全盛時にこういった雰囲気の映画があった気もする。相手が本気なのに植木等あたりが「およびでない」とばかりに相手をちゃかすベン・スティラーの役を演じるようなパターンは見たことがある。でもそれだけに治まらないのが、この映画のすさまじさだ。お笑いなんだけど、お笑いだけにしていない。3大スターの登場であるけれど、ジャックブラックはいつもほどの猛突進を見せてはいない。彼がもう少し飛ばしていると楽しかったのにと思う。監督に遠慮しているみたいだ。ただかなり卑猥な言葉が連発している印象

この映画では映画史を思いっきり語る登場人物が出てくる。レインマンのダスティホフマンやフォレストガンプのトムハンクスらのオスカー受賞者の役柄とこの映画の主人公役の役柄を比較してオスカーを取れるかどうかの話をしたり、戦争映画や脱走映画の演技の様子などが語られる。コメディアンは比較的最近オスカーとはあまり縁がない印象。彼ら3人も同様に縁がなく、皮肉っている気がする。それだけでなく、軍部、映画制作者などあらゆる人たちへの皮肉が感じられる。

それにかかってくる音楽の選曲がなかなかユニークだ。早びきギターで鳴らしたアルヴィンリーがいるテン・イヤーズ・アフターの「チャンジ・ザ・ワールド」やローリングストーンズの「悪魔を哀れむ歌」とか妙にジャングルの画像にしっくり合ってしまうのが意外だ。これ自体はまさにベトナム戦争末期の曲だ。
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ブッシュ

2010-01-13 18:05:31 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ブッシュ大統領の就任後のイラクへの敵対意識、優秀な親父の下でダメ息子だった若いときからの姿と両方を交互に写し、ブッシュさんの性格を描いていく作品。チェイニー副大統領、パウエル国務長官やライス補佐官も含めてそっくりにメイクアップするため、リアル感がある。

親子そろって大統領なんてそうはなれるものではない。エール大学出身でテキサス州知事を経て、大統領立候補と人並み以上にエリートコースを歩んできたように思っていた。しかし、この映画におけるブッシュさんは大酒のみで、親に心配をかけっぱなしの普通の人であった。父親が大統領選挙に立候補するまでは、父親の仕事を手伝ったこともなかった。実業家ではあったが、父親からはダメ息子の烙印を押されていたのだ。このギャップは知らなかった。

父親は湾岸戦争をあっという間に終結させたのに、フセインを追い詰めて、イラクを占領しなかった。そのため、フセインをのさばらしたのが、相当に気に入らなかったようだ。父親は次の大統領選で再選が出来なかった。大量破壊兵器がイラク内に隠されていることを口実に、イラクを占領した。でもなかなか大量破壊兵器は出て来ない。何のための戦争だったのか?そう映画は観客に問いかけるようである。
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ミルク  ショーン・ペン

2010-01-06 21:37:37 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ショーンペンがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品である。ゲイの人権確立に大きく貢献したサンフランシスコの市政委員ハーヴェイミルクを演じる。個人的には苦手な系統であるが、ショーンペンが絡むだけあって映画の質は高い。

1978年ゲイの権利について戦っているころ、暗殺の危険を感じた主人公が70年ころからそれまでの経緯をテープレコーダーにとるシーンから映画はスタートする。そしてゲイパーティで恋人と知り合う場面が映し出される。ユダヤ系で元々はニューヨークで金融の仕事に携わっていたハーヴェイ・ミルクことショーン・ペンがサンフランシスコに来る。ゲイの彼が恋人と暮らす。カストロ通りというゲイストリートでカメラ屋を営む。その彼が次第に人望を集め、ゲイ仲間の相談に乗るようになる。そしてサンフランシスコの市政委員(日本で言えば市議会議員)に立候補する。残念ながら落選したが、6人当選のところ10番目の得票を集める。これならと思い、政治活動に力を入れるようになるが。。。。

映画を観おわって連想したのが、ヴィレッジピープルの「サンフランシスコ」という曲だ。今から30年以上前、ちょうどこの曲が流行り始めたころ、ミルクは亡くなった。高校から大学にかけてたまに行った新宿のコマ劇場前にあった「カンタベリーハウス」というディスコでこの曲がしつこくかかっていた。オカマダンスなんていっていた。テンポがなじみやすく、すぐレコードを買った。そのジャケットをみるとたくましそうなお兄さんたちがジャケットに映っていた。その後ヴィレッジピープルは「YMCA」「マッチョマン」とヒット曲を連発した。その時初めて彼らがゲイだということを知った。そしてサンフランシスコがゲイの街であることもわかった。

個人的にはゲイはちょっと苦手である。それでもショーン・ペンという人物が関わるというだけで気になる。自ら監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」はすごい出来だった。世間の評価は高くはないが前年のリメイク作品「オール・ザ・キングスメン」も私は傑作だと思っている。本当にハズレがない。映画のセンスは抜群といえよう。もともと彼には暴力的なイメージがある。昔傷害事件での逮捕歴があったと聞くが、「ミスティックリバー」や「21グラム」もそんなイメージが強い。ここでは逆のキャラである。何でもできるんだなあと今回感じた。

映画が始まっていきなり男性同士のキスシーンがある。ショーン・ペンが自らキスをする。そこで映画のピッチを上げていく。事実に基づく映画とわかっているが、脚本の展開がうまい。そしてリアルに男性同士がくっついていくシーンが続出する。気持ち悪い。でも見てしまう。先がどうなるのかが気になっていく。おそらくは「ハーヴェイミルク」その人のことをショーンペンは画像などを見ながら徹底的に研究したと思う。実際のミルクを知らないが、きっとよく似ているのであろう。

何度も見たい作品ではないが、映画としては傑作と思う。
コメント
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