映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

扉をたたく人 リチャード・ジェンキンス

2010-05-20 04:53:23 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
名脇役が年老いて突如として主役を張る映画には傑作が多い。
この映画もその典型である。リチャードジェンキンスといってもぴんとこなくてもこの顔は映画ファンなら見たことあるであろう。初老の融通のきかない大学教授の不思議な出会いを暖かく描いている。

主人公のジェンキンス教授は、コネチカットの大学に勤める62歳である。妻に先立たれたあと気難しくなり、融通のきかない孤独な男だ。大学からニューヨークでの代理講演を頼まれる。いやいやながら引き受けることになる。そこで所有しているニューヨークのアパートに戻った。入ると人の気配がする。風呂をみると、黒人の女性が入っていた。そしてその恋人の男性がいる。他人が自分のアパートにいることに驚くジェンキンスだが、どうやらこの2人も騙されてこのアパートに住むことになったようだ。2人は家を出て行くが、教授は追いかけて住む所のあてのない二人を呼び戻す。そして3人の奇妙な同居生活が始まる。男はシリア出身のアフリカンドラムの演奏家であった。ピアノを学ぼうとして、モノにならなくて音楽への劣等感を持っていた教授は、彼のアフリカンドラムに関心を持つようになるが。。。。


このあと軽い起伏を二度ほど通過する。そして味のある展開に持っていく。主演のジェンキンスはベテランらしく不器用な大学教授の役を見事にこなす。
初老の彼が熟年のはかない恋に落ちていく構図は観ていていい感じである。
デートでブロードウェイにミュージカル「オペラ座の怪人」を観に行くシーンが出てくる。14年前にニューヨークに行ったとき、同じ劇場で「オペラ座の怪人」を観た。それを思い出し、懐かしくなった。


この映画のもう一つのテーマは移民問題である。人口がどんどん減っていく日本と違って、アメリカは300万人ほど毎年人口が増加している。2001年の同時テロ事件以来それまでは緩やかだった中東諸国からの移民に対して、きびしい目が浴びせられているようだ。不法滞在はなおのことだろう。今回もシリア人を登場させるが、イスラム系の人たちに対する当局の目はよりきびしいであろう。あれほどまでの事件が起きたのだから仕方ないと思う。でもある意味社会問題になっているのかもしれない。

この映画で一番好きなシーンは、同居のシリア人がセントラルパークの中で仲間たちと、アフリカンドラムを演奏している中に、主人公の教授が入り込んで一緒に演奏するシーンである。孤独で人との距離を置いて暮らしていた主人公がオープンな気持ちで入り込んでいく。それと同時に奇妙な来訪者であったシリア人との距離をなくしていくシーンだ。気持ちが妙に和んだ。

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