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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「危険なプロット」 フランソワ・オゾン

2014-05-11 10:03:25 | 映画(フランス映画 )
映画「危険なプロット」は現代フランス映画を代表する監督フランソワ・オゾンの2012年の作品
このところフランス映画を見ることが多い。ハリウッド大作と比較するとシンプルに普通の人間関係を取り扱うことが多い。
登場人物の心理状態をサスペンスタッチで描くこういう映画に魅かれる。

小説家崩れの高校の国語教員と文才のある高校生との関わりをオゾン監督らしいスリルあふれるサイコサスペンスドラマに仕上げている。

舞台はフランスのある高校だ。元小説家志望の国語教師ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒への課題作文を読んでいた。2行しか書いていない稚拙な作文が多い中で、クロード(エルンスト・ウンハウワー)という少年の書いた文才のある作文を見つける。
同級生ラファの家族を描写する文章が、実にうまく書けていることにジェルマンは驚く。ラファの母親を「中産階級の女」と呼んだり、描写のニヒルさにジェルマンの妻ジャンヌ(クリスティン・スコット・トーマス)は「この子は心に問題があるのでは?」と思う。

文章のうまいクロードに作家になる手ほどきをしたいという思いから、ジェルマンはクロードに作文の個人授業を始める。自分の果たせなかった夢を彼に託すかのように発奮する。クラスメートの家庭について皮肉っぽく綴るクロードの作文は、いつも「つづく」という文字で終わっている。

友人ラファはバスケットボールが好き、父親も同様だ。クロードは時々家によってラファが苦手の数学を教えていた。しかし、たびたび家に立ち寄るクロードに不穏な雰囲気を感じた母親(エマニュエル・セニエ)は家庭教師を雇ったらどうかと父親に話す。その話をこっそり盗み聞きしたクロードは、このままだとラファの家族関係を引き続き文章にするのが無理だと感じる。その事情をジェルマンに話す。そして数学の定期試験の問題用紙をこっそり持ち出せないかとジェルマンに頼むのだ。もしいい点数が取れたなら、自分はそのままこの家にいて、ラファの家のことを書くことができると。。。


1.シェエラザード(シェヘラザード)
村上春樹の新作短編集「女のいない男たち」「シェエラザード」という作品がある。自分もブログアップした。「千夜一夜物語」で王様に夜な夜な物語を語るシェエラザードという王妃がいる。「シェエラザード」は本来殺される運命にある女だが、じらしじらし物語を「続く」で終えながら語り、生き延びていく。村上の作品はある場所にかくまわれた男に、自分の奇妙な昔話を語る女を「シェエラザード」にたとえて描いている小説だ。この映画でも「シェヘラザード」としてセリフの中に登場する。

ここでも、少年クロードは国語教師に自分が忍び込んだ家の話を話す。いつも「続く」で終わっていく文章を読みながら、国語教師は次を読みたいと思う。その欲望は強くなっていくわけだ。「知りたい」という欲求をじらされればされるほど、よけい追いたくなる。とどのつまりはとんでもない要求までのんでしまうのだ。

2.フランソワ・オゾン監督
「リッキー」「スイミングプール」をはじめとして、いくつもここでブログアップしてきた。流れはいつものフランソワ作品と同じである。一瞬万事うまくいくようになった後で、地に落とす。しかも登場人物の妄想、嫉妬、野心が絡み合っていく。ここが彼のうまさである。それぞれの作品に好き嫌いはあれど新作を見逃せることができない監督だ。


3.クラスメートの母親
クラスメートの母親に魅かれるという経験は自分もある。中学生くらいなら母親は30代後半から40代前半だ。年齢的にはまだまだ女として現役で、今の自分の年齢からすると射程距離だ。
クロードは、ラファの一家にどんどん深入りし始める。ラファの家に通えなくなりそうになると、大胆な行動にも出る。そのうちに、クラスメートの母親に惹かれるてしまう。ここでクラスメートの母親を演じるエマニュエル・セニエは巨匠ロマン・ポランスキー監督の妻である。自分が中学や高校の時に彼女にはまっただろうかと考えると疑問だけど。。。
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映画「大統領の料理人」と最強の料理映画

2014-05-05 11:52:02 | 映画(フランス映画 )
映画「大統領の料理人」は2013年公開のフランス映画

南極に渡った元大統領の料理人の女性の姿を描く。
目の保養になるおいしい料理が盛りだくさんに出てきて食欲を誘う。映画の持つ落ち着いた響きもいい。

取材に訪れた仏領南極基地で、オーストラリアの女性TVクルーが一人の女性オルタンス・ラボリに遭遇する。彼女は南極基地の料理人だった。同性ということで関心を持ったTVクルーは噂で彼女が以前大統領のお抱えシェフだという話を聞く。ぜひ取材をしたいと彼女に迫ってもかわされるばかりであった。

その4年前、オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)はフランスの片田舎で小さなレストランを営んでいた。普通の女性である彼女をフランス政府が迎えに来た。そして大統領官邸であるエリゼ宮殿に向かう。彼女はミッテラン大統領(ジャン・ドルメッソン)からの直々の指名で、彼のプライベートシェフに抜擢されたのだ。ジョエル・ロブションの推薦である。
大統領官邸は独特の儀礼や規律を重んじ、細かい約束事で縛られていた。しかも、主厨房は大勢の男性料理人だけで営まれてきたので、部外者の指名にいい顔はしない。彼らの嫉妬を無視して、大統領に美味しい料理をつくることを考えていた。事前に大統領の嗜好を聞こうと秘書官や厨房関係者に聞いても誰も教えてくれない。

オルタンスは、食事の後の皿の様子、給仕たちの観察、そしていくつものメモを書き、あらゆる方法で大統領の気持ちを直接確かめようとする。どうやら大統領も満足しているようだった。彼女についた助手や給仕長は、いつしか彼女の料理の腕前に刺激され、厨房の雰囲気も明るくなっていった。そんなある日、オルタンスは、ミッテランから直接声をかけられる。子供の頃は料理本を読むのが好きだったという大統領のオーダーはフランスの懐かしい味を味わいたいということであった。。。

既存の権威の中に異分子が入り込み、旋風を巻き起こすというのは古今東西よくあるパターンで、中には料理人という設定もある。わずか2年間の活躍にすぎないが、その中で大統領官邸ならではの慣例があり、そのハンデを乗り越えた彼女の踏ん張りを映画では語っていく。でもこれは「視覚に訴える」映画だと思う。美しい料理の数々とうんちくを楽しむしかない。

1.ミッテラン大統領
何と1981年から95年まで14年も大統領をやっていた。死ぬまで大統領をやっていたというすごい人である。社会主義者と言いながらエリゼ宮を官邸として使い、宮廷さながらの食生活を官費でできるというのはうらやましい。
シンプルな料理が好きで、素材の味を活かした料理をつくってほしいと希望する。子供のころにニニヨンが書いた「フランス料理讃歌」という料理本を読んで、そらでレシピが言えるようになったという。

2.ミッテランの健康状態悪化

後半官邸の主治医が大統領の健康をかなり気にするようになる。そのためにかなり材料やソースにクレームがつく。主人公は反撥するが受け入れるしかない。そりゃそうでしょう。自分が見てもこんな美食ばかりだと健康状態悪化するのはしかないと思うもんね。それでもミッテランがひっそりと厨房に入ってきて、とびきりのトリフを食べるシーンがある。このお忍びのシーンがいい感じだった。

3.美しい料理
これは映像で見るしかない。予告編の中の料理をみてほしい



料理の会話でロワール川のほとりうんぬんという言葉にはしびれた。
自分自身は少なくとも白ワインならサンセールまたはプイィ・ヒュメのロワール川付近のワインを選択する。

4.豪華な料理と経費削減
主厨房に長年納入してきた業者がいて、材料はそこから購入するように言われていた。しかし、もっとおいしい素材があると、大統領に直訴しておいしい素材を産出する原産地から直接仕入れをするようになる。場合によっては、直接購入に向かうため、その往復の交通費を請求してきたが、官邸から文句をいわれる。原材料も高すぎるという。そう言われて主人公も少しづつやる気をなくしていくわけだが、どこでも青天井で金を使うのは無理だよね。

5.自分が選ぶ最強の料理映画
まずはこの2作が最高峰だと思う。
バベットの晩餐会

バベッドの晩餐会
ここで語られる暖かいお話も含めて、料理映画の最高峰だと思う。

恋人たちの食卓

「恋人たちの食卓」
台湾が舞台だ。序盤戦で三姉妹の娘に料理を振る舞う父親の姿が映される。一流のコックの主人公が家庭料理でだす中華料理の美しいこと。これは凄い。そう思っているうちにメガホンをとるアン・リー監督はハリウッドメジャー監督になる。最近は「ライフオブパイ」で2度目となるアカデミー賞監督賞を受賞している。
料理の本場中国ではいくつか料理映画がつくられている。ずいぶん見たが、この映画の料理が一番だ。

あと食欲をそそる作品は


ウェイトレス~

ウェイトレス
パイ作りの名人と言う設定だ。このパイの色合いは実に美しい。

青いパパイヤの香り

青いパパイアの香り
ここで映されるシンプルなベトナム料理には豪華さはない。でもおいしそう。
ディナーラッシュ

ディナーラッシュ
ロブスターを使った料理がおいしそうだが、映画の持つムードがどす黒いので苦手な人もいるかも


ジュリー&ジュリア
シュリー&ジュリア
メリルストリープが料理研究家に扮する。アメリカ映画の中では料理がおいしく見える作品

あとは日本映画でいえば伊丹十三「タンポポ」でしょう。
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映画「現金に手を出すな」 ジャンギャバン

2014-04-30 20:34:40 | 映画(フランス映画 )
映画「現金に手を出すな」は1954年のフランス映画(日本では1955年公開)
戦前「望郷」「大いなる幻影」という名作で主演を張ったジャンギャバンの戦後の代表作である。


すべてに無駄がない。こういうのを真の傑作というべきだろう。
アクションものではあるが、常にドンパチやっているわけではない。引退して余生を暮らそうとしていたギャングの数日を追う。ジャンギャバンも50過ぎで枯れ切った動きをする。当時のフランスの夜を的確にヴィジュアル化した映像もすばらしい。

オルリ空港で強奪された5000万フランの金塊が1カ月見つかっていないという新聞記事を見ながら、主人公マックス(ジャン・ギャバン)と20年来の相棒のリトン(ルネ・ダリー)2人はレストランで食事をしている。そこにはナイトクラブのダンサーも同席していた。ダンサーと同伴出勤でナイトクラブへと向かう。
ナイトクラブを仕切るピエロの部屋にはアンジェロ(リノ・ヴァンチュラ)がいた。アンジェロはこの店に酒類を納入していた。ショーが終わり、ジョジィ(ジャンヌ・モロー)の控室にマックスが入ると、ジョジィとアンジェロがいちゃいちゃしていた。ジョジィは相棒リトンといい仲になっていたのにどういうことなのかとマックスは問い詰める。


マックスがナイトクラブから帰ろうとすると、後ろから車が追跡してきた。救急車のようだが、何かおかしいと感じたマックスが銃を持って待機するとアンジェロの手下がやってきた。威嚇をしてマックスはその場を立ち去り、ホテル住まいのリトンの部屋に電話した。そこにはアンジェロがいるようだ。マックスは場所を指定し、アンジェロにばれないように来るように指示した。


2人はオルリ空港で五千万フランの金塊に目をつけその強奪に成功していたのだ。ところが、リトンがナイトクラブの女ジョジィに金塊のことを口走り、それがアンジェロに漏れているようである。それでアンジェロは二人を捕えて金塊の隠し場所をつき止めようとしていたのだ。マックスが隠れ家として借りていた部屋にリトンを足止めして、翌朝、金塊を持参して故買商の伯父を訪れる。事態が進展し慌てて伯父に現金にかえるよう依頼した。

マックスが留守中、リトンはジョジィに会いに行くと、そこにはアンジェロの一味が来て拉致された。隠れ家に戻ってリトンの不在に気づき、行方を探すが判らない。そこヘアンジェロから、五千万フランと引換えにリトンを渡すという電話がかかって来る。やむなくマックスはピエロを連れて金塊を車に積みこんで指定の場所に向かったが。。

フィルムノワールというジャンルがある。ノワールは文字通り「黒」イコール暗い。
ジャンギャバンの渋さがそれを増長する。最後まで徹底したノワールだ。

1.脚本の巧みさ
ストーリーのキーとなる金塊のことは、映画が始まってから新聞記事以外は語られない。レストラン、ナイトクラブと女性と戯れるシーンばかりが出てくる。ジャンギャバンの車が追跡されるあたりから徐々に状況が語られるが、元々無口なジャンギャバンのセリフは簡潔なセリフが出てくるだけだ。本当に無駄がない。完ぺきな脚本だ。それを「肉体の冠」のジャックベッケル監督が映像として巧みに具現化する。


2.ジャンギャバンのモテモテぶり
落ち着きはらった振る舞いは貫禄充分だ。同伴出勤しながら懸命にギャバンにすり寄るダンサー、本命と思しき美女、故買商の伯父の秘書などたった1時間半のなかに3人の美女が出てくる。レストランのマダムも20万フランを平気で託すところを見ると、いい仲だったと連想させる何かがある。他にもボリュームたっぷりの美女が次から次へと出てきて目が離せない。でも明らかな素性をそれぞれ語っていない。何かを観客に想像させようとする魂胆だろう。


3.夜のパリ
映画のイントロでムーランルージュの店構えが映る。ここで映るナイトクラブ「ミスティフィック」も印象的な店だ。中ではレビューショーで、色っぽい若い女性が踊りまくる。中には乳首にだけ隠している姿で踊るダンサーもいる。この時代ではどぎつい方だ。ナイトクラブのオーナー室にバストトップが出ている写真が飾られている。しかもリトンが寝る病室にかかった絵画がヘア入りの全裸である。1955年の日本公開時これってどう処理されたのかが気になってしまう。


4.オチ
何もかもうまくいくことがない。ある意味同じフランス映画「恐怖の報酬」を連想させる展開だ。重要なものが積まれた車の処理に同じ流れを感じる。ほんのわずかな時間の中に収縮している。しかし、逆にギャバンに疑いがかからないようになるという筋の絶妙さは脚本の巧みさだろう。


5.リノ・ヴァンチュラ
敵対するアンジェロを演じているのはフランスのレスリングチャンピョンだったリノ・ヴァンチュラだ。この映画を機としてフランス映画でなじみの顔となった。死刑台のエレベーター」や「シシリアン」にも出ている。そのリノの顔を見て柔道の金メダリストのドゥイエを連想した。篠原の誤審問題で大騒ぎになった時の相手だ。よく似ている。

6.ジャンヌ・モロー
これが撮られた時はまだ26歳だ。顔立ちはまだ幼さが目立つ。この映画のダンサー役もある意味悪女だが、死刑台のエレベーターで見せる真の悪女ぶりや「夜」で見せる倦怠感はまだ見せない。それにしても80歳半ばにしてまだまだ現役のその姿はどちらかというと妖怪じみている気もする。


7.テーマソング
何よりすばらしいのがテーマソングだ。最初のレストランのジュークボックスで流れてから、部屋の中のレコードなどで何度も流れる。誰もがよく知っているメロディだ。だいぶ前、タバコがたちこめる名画座の休憩時間にいつもこの曲流れていたなあと懐かしくなる。フィルムノワールを意識させる名曲だ。

本当にすばらしい!

死刑台のエレベーター
ジャンヌモローの悪女ぶりを堪能


望郷
カスバの中で恋に揺れるジャンギャバン


シシリアン
15年後のジャンギャバンとリノ・ヴァンチュラ。アランドロンも全盛
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映画「最後のマイウェイ」 クロード・フランソワ

2014-03-04 21:28:50 | 映画(フランス映画 )
映画「最後のマイウェイ」は2012年公開のフランス映画だ。
フランスの歌手クロード・フランソワの伝記映画である。

最近の若者はともかく、中年以上で「マイウェイ」の歌を知らない人はいないだろう。少し前は英語の歌詞で「マイウェイ」を飲み屋で陶酔しきったように歌って、周りに迷惑をかけているオヤジは多かったものだ。
フランク・シナトラのバージョンがもっとも有名で、ポールアンカの曲だと40年間個人的に認識していた。ところが、この映画の存在を知った後にクロード・フランソワの作曲であることを初めて知った。フランスの歌手と言えば、ジョニーアリディやシルビーバルタンが有名で、ミッシェル・ポルナレフには随分と凝ったものだ。クロード・フランソワの存在すら知らなかった。

この映画はフランスでかなり観客を動員したという。ここで特筆すべきは色彩設計である。現代フランス映画は美術の巧みさが光るが、この映画は際立っている。それに加えて音楽の映像への交わりがすばらしい。あと20分程度短くまとめた方がいいかもしれないが、よくできている。

1939年のエジプト。クロード・フランソワはスエズ運河の通航を管理する父と派手好きな母の間に生まれる。裕福な家庭に育ったが、スエズ運河が国有化され第二次中東戦争が勃発すると父は失職。モナコへ移住した後、クロード(ジェレミー・レニエ)は地元の楽団で働くようになる。それは家計を助けるためであったが、厳しい父は彼の仕事を認めようとはしなかった。クロードは音楽界でめきめきと頭角を現し、スターダムに躍り出る。

酒にもドラッグにも手を出さず、自らダンサーに振付をし、歌い、踊る。作詞・作曲の才能を発揮し200もの曲を生みだす一方、プロダクションを立ち上げ、才覚を見せるクロード。そんな彼の成功の裏では、歌手フランス・ギャルとの密愛、大スターへの嫉妬、マスコミ操作、ひた隠しにした息子たちの存在など、傲慢で神経質な面を見せる……。
(kine noteより引用)

ジェレミー・レニエはひたすら歌いまくる。ロックもソウルも自分のテイストに合うものは何でも取り入れる。フランクシナトラが自分の曲を「マイウェイ」としてカバーしたことを知って喜ぶシーンがこの映画のピークだろう。

モナコのシーンが出てきた時、ジャニスイアンの「at seventeen」が流れる。高校生のころ好きだったなあ。当然フランス語の歌詞なんだけど、あれこれジャニスイアンの曲じゃなかったけ?そんな感じで外国ではやった曲をカバーする曲が多い。
最初はツイスト、シュ-7プリームス調のモータウンサウンド、オーティス・レディングも登場させる。
ステージの観客との一体感がいい感じだ。GSのようにアイドルで売り出しているので隠し子もいる。女とみたらすぐ誘い出す。

そういう軟派ぶりを前面に押し出すが、この時代ドラッグで身をつぶした人間が多いだけにまだマシだ。

いずれにせよ映像の美しさに注目したい。
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映画「ナタリー」 オドレイ・トトゥ

2014-01-03 00:02:11 | 映画(フランス映画 )
映画「ナタリー 原題La délicatesse」は「アメリ」のオドレイ・トトゥ主演のフランス映画だ

ツタヤで何げなくこのdvdをみつけた。「アメリ」は大好きな映画である。目で楽しまさせてくれる要素が強く、お茶目な主人公の振る舞いがかわいかった。あれから随分とたつが、オドレイは健在である。今回は未亡人役である。それでも手にとるときに「アメリ」のような匂いを感じ見てみた。アメリで演じた夢想する女の要素を持つ。

ナタリー(オドレイ・トトゥ)はカフェで出会ったフランソワと恋に落ち、幸せな日々を送っていた。しかし、突然の事故で彼を失ってしまう。夫を亡くし、3年間恋愛から離れ仕事一筋の生活を送っていた。ナタリーは夫以降、誰も好きになれないと思っていたある日、かっこいいとは言えない同僚、マーカス(ランソワ・ダミアン)に突然キスをしてしまう。そして、マーカスは魅力的な彼女に惹かれ、ナタリーも素朴な彼に惹かれ始める。しかし、ナタリーに一方的に好意をいだいている会社の社長シャルル(ブリュノ・トデスキーニ)や、噂好きの同僚たち、ナタリーの友人によって二人は騒がれるようになり…。

最初にざっと主人公の人物像を紹介してくれるのは、アメリと同じだ。幸せな結婚に至る過程とあっけなく旦那が死んでしまう流れが語られる。そのあと、就職活動して会社に就職する。そこでバリバリのキャリアレディとして活躍する。リーダーとして部下を持つようになる。そこに部下として入ってくるスウェーデン人男性がいた。ハゲかかっていて見栄えはしない。それまで社長に口説かれていたナタリーだが、突然その中年男にキスをしてしまうのだ。

しかし、そのあと急激に2人の関係が進展するわけではない。彼女は恋におびえている。
ここではキスの後意外にそっけない。これでは男性の方がまいってしまうよ。
一気に相手に入りこめないのだ。
その不器用さがかわいい。オドレイ・トトゥの演技には好感を持てた。

自分は女性の上司というのにはまだ出会っていない。いや、大学生でバイトをしている時女社長っていたなあ。
いずれにせよ、いきなり上司にキスをされたらどんな気持ちになるだろう。別に上司でなくても呼び出されていきなりキスされると想像するだけで不思議な気分にさせられる。マイケルダグラスとデミムーアの「ディスクロージャー」は女性上司による不倫話だったが、それとこの映画では意味合いが全く違う。
逆に女性の場合、セクハラ的にこういう場面はあるだろうなあ。嫌なんだろうけど、好意を抱いている相手だったらいっきに不倫のドツボにはまるパターンかもしれない。

ストーリー的には少し盛り上がりに欠けるかな?もう少しヒネリが欲しかったという印象を受けた。

ナタリー
もし女性の上司に突然キスされたらどうする?


ムード・インディゴ~うたかたの日々~
夢想するオドレイ


アメリ
何度見てもすばらしい不朽の名作、色彩設計がすばらしい。
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映画「ラブクライム」 リュディヴィーヌ・サニエ

2013-11-03 09:57:33 | 映画(フランス映画 )
映画「ラブクライム 偽りの愛に溺れて」は2010年のフランス映画、日本未公開の映画だ。

現代フランスを代表する女優リュディヴィーヌ・サニエと英国のベテラン女優クリスティン・スコット・トーマスが共演する。DVDのジャケットを見ると、この2人が映っている。この映画知らないな?と気になりDVDを見てみた。ストーリーの内容は知らない。途中まで女同士の嫉妬の物語かな?と思っていて、特になんともなかった。それも女2人お互いの恨みっこが続く。それが突然急展開する。ここからはなかなか面白い。
最近公開されていたブライアンパルマ監督「パッション」の元ネタがこの映画だとは知らなかった。

ある一流の多国籍企業で若き女性幹部として働くイザベル(リュディヴィーヌ・サニエ)と彼女の上司で重役のクリスティーヌ(クリスティン・スコット・トーマス)は、互いに才能を認め合い、公私に渡って良きパートナーとしての関係を築いている。ところが、クリスティーヌが自分の代わりにイザベルをカイロに出張させ、取引先の会社の社員でクリスティーヌの恋人でもあるフィリップを同行させたことから、2人の関係は大きく変わる。

イザベルは出張先で目覚ましい成果を上げる一方、フィリップと関係してしまったのだ。これに気付いたクリスティーヌはイザベルのカイロでの功績を自分のものとして横取りしてしまう。更にイザベルがクリスティーヌに黙って進めたプロジェクトが会社に評価されると、クリスティーヌは露骨にイザベルを敵視するようになり、フィリップと別れさせた上、公の場でイザベルを激しく侮辱する。この事態にイザベルはクリスティーヌに対して殺意を抱くようになる。

ここからがミソだ。
突如イザベルが殺人をする場面が映る。これはビックリ。直前にイザベルが映画館に入る場面から急転するのだ。
しかも、殺した後、遺体に何か細工をしている。(これがその後焦点になる)
睡眠薬でフラフラになっている彼女の元を捜査官が訪れる。取り調べをしていると、彼女にはアリバイがない。
でも彼女映画館に入っていたよね。何で言わないの?と思っていた。。
しかも、彼女は自ら殺人を裁判官の前で自供してしまうのだ。これってどういうこと???。。。

それから先は言わぬが花だが、その先どうなっていくんだろう?と楽しまさせてくれる。
フランス映画らしい淡々とした語り口に好感が持てる。

リュディヴィーヌ・サニエは現代フランス若手女優の中では一番活躍していると思う。フランソワーズ・オゾン監督の「スイミングプール」でヴォリューム感あるナイスバディを見せてくれてから、気になってしょうがない女優だ。「引き裂かれた女」も見どころあった。ここでは肌の露出度は低い。気前がよかったのは20代のころばかりだけど、まだ30代なんだから少しは楽しまさせてほしい。
クリスティン・スコット・トーマスは英国人なのにフランス語うまいなあと感心した。調べると結婚相手はフランス人だったのね。それで納得。途中のベッドシーンで「凄い声」をあげていたのにはビックリ。そういえば「イングリッシュペイシェント」で共演していたジュリエットビノシュも「コズモポリス」で同じように悶えていた。いい年なのに二人とも頑張るねえ。
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映画「愛のあしあと」 カトリーヌ・ドヌーブ

2013-10-02 16:57:27 | 映画(フランス映画 )
カトリーヌ・ドヌーブとキアラ・マストロヤンニが母娘役で親子共演を果たしたドラマ。フランス人の母と娘が2代にわたって繰り広げる愛やセックスにまつわる人間模様を、ミュージカル場面も交えて描く。

1960年代のパリ。靴屋で働きながら売春婦のアルバイトをしていたマドレーヌは、チェコ出身の医師ヤロミルと恋に落ちる。2人はプラハへ行き、やがて娘のヴェラが生まれる。時は流れ、ヴェラは美しい女性へと成長。クレモンという優しい恋人のいるヴェラだったが、ロンドンで知り合ったヘンダーソンと激しい恋に落ちる。

1964年、パリ。靴屋で売り子をしているマドレーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)は、ある日売り物のハイヒールを履いて帰る。すると、自宅近くで街娼に間違われ、男に声をかけられてしまう。それからパートタイムで小遣い稼ぎに娼婦をするようになる。そのうち、チェコスロバキアから来たパリ滞在中の医者ヤロミルと恋仲になり、求婚される。

1968年、プラハ。ヤロミルと結婚したマドレーヌは、チェコスロバキアで娘ヴェラとヤロミルの実家で暮らしていた。ある夜、マドレーヌはヤロミルの勤め先へと向かう途中、街中で戦車の隊列に出くわす。民主化運動プラハの春の終焉となったチェコ事件(ソ連軍主導のワルシャワ条約機構軍の侵攻)である。ヤロミルの浮気もあって、マドレーヌは娘ヴェラを連れてフランスに戻る。

1978年、パリ。憲兵のフランソワと再婚したマドレーヌは、14歳になった娘ヴェラと憲兵宿舎で暮らしていた。ある日、学会でパリに来ていたヤロミルから電話がかかり、ホテルで一緒に過ごす。ヤロミルは、マドレーヌにヴェラと家を出て親子三人で過ごすことを提案するが、結局一人でパリを去ってしまう。

1997年、ロンドン。ヴェラは、同僚で元恋人でもあるクレマンと共に、ロンドンを訪れる。クラブで演奏しているバンドのドラマーのヘンダーソンと出会ったヴェラは、彼の後を追いかける。クレマンとの間がぎくしゃくしたヴェラは、予定より一日早くパリのアパートへ帰る。

1998年、ロンドン。ヘンダーソンの事が忘れられないヴェラは、ロンドンを再訪する。そこで、アメリカ人のヘンダーソンがロンドンに移り住んだ経緯を聞かされる。

2001年、モントリオール。ヴェラはニューヨークに住むヘンダーソンのもとへと旅立つが、アメリカ同時多発テロ事件が起き、ヴェラの乗った旅客機はアメリカの空港に着陸できず、カナダのモントリオールへ着いてしまう。
2007年、パリ。クレマンはマドレーヌの誕生会に来るようフランソワから誘われ、彼らの住むランスを訪れる。クレマンは落ち込んでいたマドレーヌを外へ連れ出す。二人は、マドレーヌがヤロミルと出会った頃に住んでいたパリのアパートを訪れる。

キアラ・マストロヤンニが妙に不健康に見える。父親に似ているのであるが、体たらくな印象でよくない。
ここではリュディヴィーヌ・サニエが抜群にいい。いつもながらピチピチした感じだ。
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映画「タイピスト!」 デボラ・フランソワ

2013-09-20 20:04:32 | 映画(フランス映画 )
映画「タイピスト!」を劇場で見た。

まさに今年一番の「元気が出る映画」だ。
映画に躍動感がある。ストーリーには意外性がなく、予想通りに進んでいるのであるが、おもしろい!

1950年代のフランスでは、社会進出しようとする女性たちの間で一番花形の職業は秘書だった。田舎から出てきたローズ(デボラ・フランソワ)もそんな一人で、保険会社を経営するルイ(ロマン・デュリス)の秘書となる。ドジで不器用すぎるため1週間でクビを宣告されるが、ローズにタイピングの才能を見出したルイは、彼女にある提案をする。当時秘書の中で、タイプライター早打ち大会で優勝することはステイタスとなっており、一大競技として人気を誇っていた。ルイはローズと組んで、タイプライター早打ちの世界大会で優勝を目論んでいた。

地方予選に出場したローズは、初めて触れる試合の空気に飲み込まれあえなく敗退。ルイは1本指ではなく10本の指を使ったタイピングをするよう矯正し、難解な文学書のタイプやジョギングなどのハードなメニューを課して、ローズを特訓する。

その甲斐あって地方予選を1位通過したローズだが、全仏大会には2連覇中の最強の女王が待ち構えていた……

田舎娘が都会に出て、徐々にアカぬけてくるストーリーは「マイフェアレディ」を思わせる。タイプを打つのは1本指だ。それでもかなり早いのであるが、大会を勝ち抜くのは無理だ。
そこで家庭教師でもあるルイは彼女にジョギングをさせて体力をつけさせるだけでなく、ピアノの練習を通じて10本指の鍛練をさせるのである。こういう上昇過程が楽しい。


最近のフランス映画ではこの映画のような鮮やかな色彩設計が目立つ。
「アメリ」のように色合いだけでウキウキさせる。

主人公だけでなく、その周りを取り巻くメンバーの衣装も鮮やかでインテリアが抜群にいい。
早打ち競争自体は地味な戦いだけど、50年代のリズミカルなポップスと色彩設計の巧みさで気分を高揚させる。


「ロッキー」のようなスポーツ根性物語の躍動感を持つ。実に個性的なライバルを登場させるのも肝心。
その存在を見て主人公を応援したくなるような気分にさせられる。
お見事!
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映画「君のいないサマーデイズ」

2013-08-13 05:53:00 | 映画(フランス映画 )
映画「君のいないサマーデイズ」は2010年のフランス映画だ。
dvdのジャケットをピックアップして、フランソワ・クリュゼ、マリオン・コティヤール、ブノワ・マジメル、ジャン・ドゥジャルダンなど現代フランス映画を代表する豪華メンバーがそろっていることに驚く。
それでも日本未公開

毎年、夏のバカンスをボルドー近郊のリゾート地カップ・フェレで過ごす男女12人の仲間たち。
ある日、バカンス直前にリュドが交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ってしまう。無惨な姿にショックを受けながらも、今年のバカンスはどうしようかと悩む仲間たち。
もちろんリュドの事は心配だけれど、バカンスは1年の中で最も重要な行事。悩んだ挙句、リュドに何かあったらすぐに飛んでいくことを約束し決行する。しかし、素敵なビーチ、美味しい料理とワインを堪能するはずが、リュドの容態が気になり心底楽しめない。そればかりか、それぞれの悩みや問題が噴出し、信じていた友情さえも揺らいでいく・・・。

一緒にバカンスに行くはずだった友人が大けがをしてしまう。
その場面が最初に出てくる。スクーターを乗っていての交通事故だ。バカンスに行くべきかと悩むが、結局突入する。一か月を二週間に短縮とは言え、こんなに休めるところが凄い。しかも、年齢的に学生時代の同級生仲間にも見えない。
不思議な仲間たちである。日本とフランスの国民性の大きな違いを感じる。

二週間の間には次から次へとトラブルが発生する。
普段は気が合う仲間でも普通こんなに長く一緒にいれば、トラブルが起きない方が不思議だ。
もっともこの映画はそれを映すだけのストーリーなのだ。それで2時間半は若干疲れる。
それでもこれだけの俳優よく集めたものだ。
フランソワ・クリュゼ(最強のふたり)


マリオン・コティヤール(ダークナイトライジング)


ブノワ・マジメル(引き裂かれた女)


ジャン・ドゥジャルダン(アーティスト)


オスカー俳優2人に加えて、欧州系映画祭の受賞者が盛りだくさんだ。
フランスを代表する俳優たちの演技合戦もいいけど、バックに流れる音楽のセンスには感心した。
バカンスに向かう車が海辺の街につくとき流れるのがアイズレーブラザース「this old heart of mine」
60年代ソウルのリズムにウキウキする。海辺を俯瞰するカメラ映像も夏っぽくていい。
これってそののちロッドスチュワートがリメイクしたね。それもいいけど、原曲の方がルンルン気分だ。



みんなで海に向かうときにCCR「フォーチュネイト・サン」が流れる。いざバカンスに出陣といった感じだ。
ジョンフォガティの叫ぶようなヴォーカルが炸裂する。
「フォレストガンプ」「ダイハード4」でも流れるし、戦争映画の出陣場面で聞いた覚えがある。
いかにも戦闘開始といった感じを醸し出す。



そしてザバンドの名曲「ウェイト」だ。南部アメリカの匂いがプンプンする。
おいおい何て選曲良いんだろう!!と思わず場面に身をだす
中学生の時、彼らのライブレコードをすり減るほど聞いた。すばらしい。
このVIDEOも最高だ!



でもフランス人のバカンス話なのになぜかアメリカのアーティストの英語の曲ばかりである。
不思議な感じもするが、フランス映画に「DISCO」なんて映画もあったし、意外にアメリカンポップスに魅かれている部分もある気がする。

最後は「マイウェイ」で締める。
これがようやくフランス人アーティスト、きっとフランスで受けたんだろうなあ

映画ってストーリーや演技だけで楽しむものだけじゃないよね。
改めて認識させられる映画だった。
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映画「愛人 ラマン」

2013-06-14 05:27:20 | 映画(フランス映画 )
映画「愛人 ラマン」は1992年の英仏合作映画だ。
フランス植民地だったベトナムサイゴンの寄宿女学校に通う一人の女学生が、中国人の男との愛欲に狂う姿を描く映画だ。コロニアル文化の建物が美しいサイゴンの街をきれいに映し出す。
初々しい裸体を大胆にさらけ出すジェーン・マーチは敢闘賞ものだ。


1920年代の仏領インドシナ(べトナム)が舞台だ。
主人公(ジェーン・マーチ)はサイゴンにある全寮制の女学校に通っていた。帰省した田舎町サデックの実家をまず映しだす。母親(フレデリック・マイニンガー)はそこで小学校を経営している。長兄(アルノー・ジョヴァニネッテイ)は暴力的で下の兄(メルヴィル・プポー)をいじめ抜いているDV男だ。しかも、アヘンに溺れており、そのため金が必要でこっそり親の金を盗むのを常習とする。しかし、母親はそんな長兄を溺愛していた。少女の父親は植民地に移ったあと亡くなっており、彼女はこうした実家の状況に嫌気がさしていたところだった。

自宅から寄宿舎のあるサイゴンに帰る途中、サイゴン川を渡る船の上で一人の中国人の男性(レオン・カーウェイ)が少女に声をかけた。男は32歳でパリ留学帰りの中国人資本家の息子だという。少女は何となく興味をひかれ、男の黒塗り高級車に乗りこみ、寄宿舎まで送ってもらった。
その翌日から男は毎日お抱え自動車で少女の学校に現れた。ある日、少女は誘われるままに、中華街の猥雑な通りに面した薄暗い部屋に連れていかれる。その部屋で、むしろ少女が誘うように男を求め、処女である少女を抱いた。こうして2人の愛人関係が始まった。


貧しい暮らしに家族の心はすっかりすさんでいて金もなかった。父親が亡くなった後母親が買った土地は詐欺にあい水びだしの土地であった。母親は寄宿舎から無断外泊する娘の件で連絡を受けていた。帰省した娘を見て、中国人男との付き合いで変わっていく姿に気づいた。当初は毛嫌いしたが、娘を通して金品を援助してくれる男を黙認するようになったが。。。。

サイゴン川のほとりを映し出す映像がきれいだ。サイゴン川の汚染度は有名だが、船やそれを取り巻くアジアンテイストの雰囲気がいい。同様に二次大戦以前の仏領インドシナを映し出す映画にはカトリーヌドヌーブ主演「インドシナ」がある。「インドシナ」は北部エリアを中心に映し出している。いずれもコロニアル文化の良い所、悪い所両方を映し出すが、現在だったらここまでは撮れなかっただろう。というのもベトナムが激しい経済発展を遂げたせいで、戦前の面影をずいぶんと失っているからだ。

19世紀後半それまでは中国清王朝の配下にあった宗主国が、清仏戦争でフランスの植民地となった。そのあとはフランス人がその権力をほしいままにした。
今回の2人はあくまでフランス領支配下での中国人青年とフランス人少女なのだ。それを少女の家族4人と中国人男性が食事する場面で露骨にかもし出す。この青年が裕福であっても中国人というだけでバカにする。今は貧しいフランス人家族が招待を受けた高級レストランで、中国人男性の言葉に耳を傾けずに、ガツガツ食べている姿が印象に残る。それでも、この家族は男から相当な援助を受けるのである。フランス人家族の自分勝手な態度は理解不能だ。


見どころは何と言ってもジェーン・マーチだ。当時彼女は19歳である。初々しい全裸でレオンカーウェイと絡みぱなしである。よく撮れたなあと感心するショットも多い。激しい交わりが印象的な「ラストコーション」でのトニーレオンとタン・ウェイの絡みが大人の世界という印象をもたせる一方で、ここでは少女が大人になる姿を純粋に描きだして、耽美的美しさを醸し出す。
男が父親の命令通り中国の富豪の娘と結婚式をあげることになるシーンも美しい。

フランスに帰国することになった少女が自伝的にこの小説を書いたわけだが、どういう心境でこれを発表したのかが気になる。
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映画『ムースの隠遁』 フランソワーズ・オゾン

2013-05-22 08:31:20 | 映画(フランス映画 )
映画「ムースの隠遁」はフランソワーズ・オゾン監督による2009年の作品
ロードショーどころかなぜかDVDにもしばらくならずにいた作品だ。
何でだろう?

若い女性の主人公ムースとルイと仲の良い恋人同士であった。ルイはヘロイン中毒で2人で楽しむこともあった。

ヘロインを使用しすぎたためにルイは死んでしまう。ムースは運良く助かる。ところが妊娠していることがわかる。男性側のルイの母親は堕ろして欲しいと希望し、ムースもそれを受け入れようとした。

しかし、海の近くの田舎の家に隠れて子どもを産もうとする。ルイの弟のポールが彼女のことを気にかけていて、彼女のところにやってきて一緒にしばらく暮らすことになる。

いつものフランソワーズ・オゾンほどは面白くない。
それなんでdvdスルーとなるのは仕方ないだろう。

ここで気になるのは元の恋人でなく、その弟ポールの存在だ。

これがやけにかっこいい。ゲイを自称するフランソワーズ・オゾン監督が彼を利用して楽しんでいる印象を受ける。今一つ何か残らない作品
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映画「マドモアゼル」 ジャンヌモロー

2013-03-13 12:15:09 | 映画(フランス映画 )
映画「マドモアゼル」はジャンヌモロー主演の1966年のフランス映画だ。
ジャケットに魅せられて、手に取った。

フランスの小さな村が舞台だ。
マドモアゼル(ジャンヌ・モロー)と呼ばれるオールド・ミスの女教師がいた。村にイタリア人の男性マヌー(E・マンニ)が息子のブルーノ、友人のアントーニオをつれて出稼ぎに来ていた。マヌーは野性的な男性的魅力を持っていた。しかし、彼が来てから、村では水門が破られたり、放火事件がおきていた。村人たちは、よそ者の彼が犯人ではないかときめつけていた。村で災難が起るたびに、半裸でかいがいしく働くマヌー。そんな彼を、マドモアゼルはいつも遠くから見続けていた。マドモアゼルこそ、すべての災難の犯人だったのだ。

マドモアゼルは夜になると厚化粧をして、ひそかに農家へ放火しにいく。そんな彼女の正体を見破ったのは教え子のブルーノたった。授業中、マドモアゼルは新入りの少年をいじめるような態度をとるのであるが、この少年は何も語らなかった。マドモアゼルは、マヌーが木こりとして働く森によく散歩に行き、意図的に道で彼に出会おうとする。そして彼女はマヌーの男性的魅力にくらくらしていく。欲望を自制しようとすればするほど、マヌーの肉体を求めるのだった。彼女が毒薬を入れた池の水を飲んで家畜が全滅した日、村人たちの怒りは爆発し、犯人と目したマヌーを捕えることにした。その頃マドモアゼルは森でマヌーと逢っていた。野性の女と化したマドモアゼルは、ずっとマヌーの肉体を求めていくのであるが。。。。

ストーリーは日活ポルノのようだ。どっかで聞いたことがあるような話である。
犯人が誰だかわからないというわけではない。映画が始まってすぐマドモアゼルが水門を空けるシーンがでてくるので、彼女が悪いことをしているのがわかる。そしてカメラは彼女を追いかける。
映像はモノトーンである。撮影の腕がいい訳ではない。陰影がはっきりしているわけでもない。
この犯罪のどす黒さと悪に満ち溢れたジャンヌモローの表情、官能に狂う彼女をあえてモノトーンで映し出したかったのであろう。ジャンヌモロー38歳の肖像である。

どこかで精神のバランスを崩すインテリ女性というのはいるものなんだなあ。

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映画「灼熱の肌」 モニカ・ベルッチ

2012-12-16 21:28:47 | 映画(フランス映画 )
映画「灼熱の肌」はフィリップガレル監督によるフランス恋愛映画で、イタリアの美人女優モ二カベルッチと監督の子息ルイガレルの共演だ。

俳優のポール(ジェローム・ロバール)は友人の紹介で、画家のフレデリック(ルイ・ガレル)と出会う。フレデリックは、イタリアで女優をしているアンジェル(モニカ・ベルッチ)と結婚生活を送っていた。ある日、ポールは端役で出演している戦争映画の撮影現場で、女優のエリザベート(セリーヌ・サレット)と出会い恋に落ちる。

数日後、ローマにいるフレデリックとアンジェルから「絵画を見に来い」と誘いを受けポールとエリザベートが訪れる。ポールは、フレデリックのアトリエで絵を見せてもらう。フレデリックとポールとが男同志仲良く過ごしていた。2人は革命思想で意見が一致する。「いつも彼と一緒ね。」とエリザベートが男のポールに嫉妬心をもつ。4人はクラブに出ていく。アンジェルとエリザベートはフロアで踊りだした。するとアンジェルと一人の男性が一緒に踊りだす。その姿を見ていたフレデリックが「娼婦みたいだ」と言い放つと、アンジェルは腹をたてた。
明け方、アンジェルが部屋に戻るとフレデリックからの手紙が置かれていた。「君を傷つけて悪かった。人生で君ほど愛した人はいない」結局仲直りしたが、4人で行く予定の旅行に行くのをアンジェルはやめた。

映画の助監督であるロランと昼下がり、安いホテルで落ち合っているのであったが。。。

先日劇場で同じフィリップガレル監督の「愛の残像」を見た。モノクロカラーの光と影の映像が美しい映画だったが、もう一つ盛り上がらなかったので、この作品を見に行くのは止めた。

映画はじまってすぐルイ・ガレルがたたずんでいる姿を映した後、モニカ・ベルッチがその豊満なバディを見せる。おっとこれから先が楽しみかな?と一瞬思わせた後で、ルイガレルが運転する姿を映す。彼はそのまま激突してしまうのだ。そうした後で最初の場面に映画の時間軸を戻す。
上に述べたようにストーリーが展開するんだけど、何か緩慢だ。

モニカ・ベルッチは当然きれいなんだけど、そのバディはいかにも中年の域に達していて熟女の世界だ。でもバディだけを見たら、日本のAV熟女ものの方がマシに見えるんだけどなあ。しかも、彼女以外に見どころがない。残念だった。
コメント (2)
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美しい妹  マリオン・コティヤール

2012-09-16 22:25:23 | 映画(フランス映画 )
映画「美しい妹」は今やオスカー俳優となったフランスのマリオン・コティヤールの2001年の主演作品だ。

マリオン・コティヤールは、ここ最近でも「ダークナイトライジング」「ミッドナイト・イン・パリ」「コンテイジョン」と配給収入が大きい作品に次々登場する。年齢も30代半ばで女優としては全盛という感じだ。おそらくあと5~7年くらいはアメリカのメジャーで活躍するだろうし、ギャラも10億単位でもらうようになるだろう。

そんな彼女がフランスでは人気女優だけど世界的にはまだ名が知られていなといった時期に撮られた映画だ。アッと驚いたのは彼女の美しい裸体が拝めるということ。年齢は当時25歳だし、多少今の方が気品があるが、女性としては美しい姿を見せる。日本で言えば、早乙女愛や中山麻理がその清純さから脱皮して初めて見せた裸体を見た時と同じような強い印象を与えるバディである。これは男性としては一見の価値がある。

舞台はパリだ。
一卵性双生児で生まれた姉マリーと妹リュシー(マリオン・コティヤール、一人二役)がいる。妹リュシーはメジャースターになることを夢見ている。そのためには自分の身体を武器に売り込むことも厭わない。恋人一筋の姉のマリーは、内向的な性格で化粧もほとんどしない。
ある日妹に歌手としてデビューするチャンスが訪れるが、歌の才能がない彼女は、姉に代役を押しつける。だが、渋々ステージに立った姉がアパートに戻ってみると、妹が玄関前で亡くなっていた。妹の遺体を前に警察から事情聴取を受けた姉は、自分はリュシーであり、死んだのは姉のマリーだと答える。。。

双子が出てくる映画というと、二卵性は多いが、一卵性は少ない。思いつく範囲では岩下志麻主演「古都」が連想される。なり代わりというと横溝正史の映画だろうか。
最初この映画がはじまってすぐは、理解するのが難しく展開がよくわからない。途中でジワリジワリ分かってくる。一卵性の双子姉妹って仲がいい。自分の妹の友人で双子姉妹がいた。子供のころ、片方の女の子が大けがをしたときにもう一人がそれを見てワンワン大泣きしていたのを40年以上前ながら思い出す。普通はそうだ。でもこの映画では片方が死んだにもかかわらず、何も嘆かず自分の正体を反対だと言い張る。このことあるかよ!と一瞬思うが、意外にあるかもしれない。
片方が幸せで片方が薄幸であればなおのことありうる。かなりのレアケースだがその場合にこうなるという映画なのかもしれない。

しかし、映画の展開はB級にしてはちょっとわかりづらい。どちらかというとBGMのように見るのがいいのであろう。映像はマリオン・コティヤールを中心に彼女に絡む黒人と白人の男両方を追う。映される映像はきれいなんだけど、ちょっと合わないかなあ?
ただ男性マリオンファンは男として?必見だ。

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屋根裏部屋のマリアたち 

2012-08-01 21:53:58 | 映画(フランス映画 )
映画「屋根裏部屋のマリアたち」を渋谷文化村で見た。
すがすがしいドラマで後味が良かった。

劇場内は熟女というより初老のご婦人で超満員であった。最近いわゆるベビーブーム世代と思しき女性群が映画館を占拠することが多い。この映画では彼女たちの笑い声が終始絶えない中、コメディの色彩を含んだアットホームなフランス映画を堪能できた。これほどまでに映画館内が笑いに包まれるのは珍しい。渋谷文化村では初めての経験かもしれない。

1962年のパリが舞台だ。証券会社を経営する主人公ジャン=ルイは妻と二人で広いアパルトマンに暮らしている。息子二人は全寮制の学校に通っていた。前のメイドが辞めて、スペイン人のマリアをメイドとして雇うことになった。卵料理がうまいマリアを夫婦は歓迎した。

マリアたちスペイン人メイドは主人公夫婦が住むアパルトマンの屋根裏部屋に住んでいた。ある日屋根裏部屋の住人たちがトイレが使えなくて困っているのをみて、主人公は水道屋を呼びトイレ修理の手配をしてやった。それがきっかけで、主人公はメイドたちと仲良くなっていった。
主人公は母国との連絡が取れず困っているメイドに電話を貸したり、メイド仲間にアパルトマンの管理人の仕事を世話したりと面倒を見るようになった。メイドたちとの信頼関係ができてきた。あるとき入浴中のマリアの裸身を見てしまった主人公は彼女に特別な感情を抱くようになる。そんな時、主人公のアパルトマンでホームパーティが開かれ、主人公の顧客や夫婦の友人が招待された。その中に社交界で有名なご婦人ベッティーナ夫人がいた。妻のハイソな友人たちは主人公に近づく彼女を見てケアせよといっていた。

管理人部屋を世話してあげた主人公はメイドたちに招待された。そこではスペインから来たメイド仲間たちの楽しいホームパーティが開かれていた。パエリアなどのスペイン料理を食べながら楽しいひと時を過ごし、自宅に電話連絡ができず帰宅が遅れた。妻は心配した。主人公は上機嫌で家に戻ってきた。夫が魔性の女ベッティーナ夫人と浮気していると思い込んだ妻から「家を出て行って!」ときつい一言を。主人公は6階屋根裏の物置部屋で1人暮らしを始めることになった。坊ちゃん育ちの主人公が今までと違う環境に身を置き、妙に居心地がいいのに気づくが。。。


流れの基調はやさしい。
スペイン人のメイドたちは主人公宅のメイドであるマリアを除いては、みんな特徴のある顔をしている。どちらかというと上方お笑い系のタッチだ。ここのところフランス映画を見ていて、妙に人情味あふれる映画が多いことに気づく。高尚なセリフというよりも、笑いを誘うセリフが多く、多くの初老のご婦人にも十分に楽しめる映画であったと思う。みんなゲラゲラ笑っていた。松竹人情物に通じる系統だ。
車の選択も60年代を象徴していて、自分が大好きな亀型シトロエンやプジョーのスポーツカーが繰り返し現れる。衣装もこの時代を明白に表わしていて、時代考証も絶妙だ。
フランコによる独裁政権が1939年よりはじまっていた。それに嫌気をさした亡命者が数多くいたことがこの映画からもよくわかる。

(アパルトマン)証券会社を代々経営している主人公の家族はフランスではブルジョアジーというべき階級であろう。田舎娘と自分で言っている妻もハイソサエティな奥様たちとカードゲームをして遊んだりしている。そんな家族とメイドたちが同じ屋根の下で暮らすとは凄い話だ。もっともメイドたちが住む6階にはシャワーもなく、洗面の水を共用している。屋根裏部屋だから夏は暑いだろう。住むには条件の悪い所とはいえ、ブルジョアとの同居はあること自体凄い話だ。

(投資の勧め)仲良くなったメイドたちが、稼いだ金をタンス預金をしているのに主人公が気づく。「もったいないじゃないか、家を母国でもちたいならもう少し増やせるよ」とばかりに彼女たちにいい、株式の購入を勧めるシーンが微笑ましい。共産主義にかぶれるメイドの一人が株式は資本主義の悪の象徴のようにいうのに対して、主人公がやさしく株式の重要性を説明していく。彼女たちが現金を持って主人公が経営する証券会社に行って口座を開く。自分たちが購入した銘柄の値動きを新聞でチェックするシーンは面白い。

中盤から終盤にかけてのつなぎ方も巧みだ。小さい笑い話をちりばめ主たる話をフォローする。
余韻を残したのもいい。
力を抜いて気楽に楽しめるいい映画だ。
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