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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ハングリーラビット」 ニコラスケイジ

2013-04-29 13:12:52 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ハングリーラビット」は2012年公開ニコラスケイジ主演のサスペンス

代理殺人がテーマだ。代理殺人を遂行した男に、次はお前がやれとばかりに追い込まれる。そして逃走する。ヒッチコックの「見知らぬ乗客」と「逃走迷路」をプラスした内容に現代的なアクション映画の色彩を加える。ミステリーの定石どおりに徹底的に主人公を追い詰める展開で、ラストに向かっては二転三転し、ある程度は読める部分もあるけど予想したよりも楽しめる映画に仕上がっている。

高校教師のウィル(ニコラス・ケイジ)は音楽家の妻ローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)と2人で暮らしていた。ある日、ローラが帰宅途中に自分の車で暴行されるという事件が起こる。

ローラが運ばれた病院で、ウィルは見知らぬ男(ガイ・ピアース)から、ウィルの代わりに犯人を殺し復讐することを提案される。お金はいらない。簡単な依頼を後でするかもしれないけどと言われる。やり場のない怒りでいっぱいだったウィルは最初は胡散臭いと思ったが依頼する。犯人はいとも簡単に始末される。そしてウィルの元に死人の顔写真と妻の暴行時に奪われたペンダントが戻る。

それから半年後、その代償として今度はウィル自身が殺人をするよう迫られる。ウィルは拒否するものの再三の脅迫に受け入れる。女性虐待の常習犯と言われる男が決まった時間に現れるという幹線道路近くの歩道橋で男を待つと現れる。逆に男に襲われるが、男は歩道橋から転落して死亡。ウィルはあわててその場を去るが、殺人犯として逮捕されてしまうのであるが。。。

全く身寄りのない人が起こす無差別な凶悪犯罪がある。その犯罪をおかした人たちが正当に刑を受けているかというとそうでもない。日本のテレビでも、犯罪を犯した人間の刑が甘いと訴える遺族の叫びが報道されることが多い。DNA鑑定で犯人と一致させようとしても時間もかかる。そういう犯人殺しを受けますという集団がこの代理殺人を引き受ける人たちである。

遺族の立場になれば、そういう思いになるのは当然だろう。ある凶悪な仕打ちを受け死んだ息子の復讐に、地位のある大物がヤクザを使って犯人を残虐に殺したなんて話は聞いたことがある。


でもその代わりに殺人をやってと言われても困っちゃうよね。
依頼を受けて困惑する主人公をニコラスケイジがうまく演じる。しかも、波状攻撃でニコラスケイジを窮地に陥らせる。スリラー映画の色彩である。「主人公に残酷な小説ほど面白い」とはよく言われることだ。逮捕された後、運よく集団の一味の合言葉「ハングリーラビット」という言葉を聞いて、警官に釈放されるが、そうは簡単に逃げられない。警察、集団両方から追われる。しかも、自分の妻にも組織の追手がくる。自分の身内にもあやしい人物がいる。最悪の展開だ。

このストーリー展開は実にうまい。しかもスピーディーだ。
悪人と善人が気がつくと入れ替わるので、どっちがどっちだかわからなくなる。
ヒネリがきいているので、最後まで楽しく見れた。掘り出し物といった印象だ。
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映画「ヒッチコック」 アンソニーホプキンス&ヘレンミレン

2013-04-17 18:42:04 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ヒッチコック」を劇場で見た。

4月はいって何かと忙しく映画も見られない日が続いた。
これだけはと思いながら、見に行った「ヒッチコック」面白かった。

「サイコ」のメイキングのような映画で、聞いたことあるような話もある。しかし、文章で読むのと、このように映像で見るのとは臨場感が違う。アンソニーホプキンスとヘレンミレンの演技合戦もよく、ジャネットリーを演じたスカーレットヨハンソンや秘書役のトニ・コレットも良い感じだ。
映像にくぎ付けとなった。

1959年「北北西に進路を取れ」が公開され評判となる中、アルフレッドヒッチコック(アンソニーホプキンス)はさっそく次回作へ向け誰もが驚く映画の企画探しを開始した。実在の殺人鬼エド・ゲインをモデルにした小説『サイコ』に心奪われ、映画化を決意する。案の定、その陰惨な内容にパラマウント映画のトップは二の足を踏み、出資を拒否する。優秀な映画編集者にして脚本家でもある妻アルマ(ヘレンミレン)はこの企画に懐疑的。それでも諦めないヒッチコックは、ついに自宅を担保に自己資金での製作に乗り出した。
そんな夫の熱意の前に、アルマもこれまで同様のサポートをしていく。。

ヒッチコック映画は毎度美男美女の出演者で構成される。特にイングリッドバーグマン、ジョンフォンテーン、グレースケリー、ティッピヘドレン。。と優雅な美女が常に出ている印象が強い。ヒッチコックの美女好みは有名だが、その奥さんについて語られたものはしらない。
ここでは映画脚本家であるアルマが脚本家仲間の男性と食事をしたり、一緒に彼の別荘で脚本を書く場面が出てくる。それに対してヒッチコックが嫉妬心を持つというのがずっと映画の根底に流れる。

有名なシャワーシーンがある。ジャネットリーがシャワーで殺されるシーンである。それ自体が映倫を通るかどうかが微妙であったというのは、今では考えられないことであるが、当時はそんなものだったのであろう。映倫を通るかどうかでパラマウント映画側もびびってしまう。それでもヒッチコックが押し切る。

ヒッチコック自らがナイフを振り回して、ジャネットリーを恐怖に陥れる。それがあの名シーンにつながる。ここはスカーレットヨハンソンが臨場感をうまく出してくれた。ここで、ヒッチコックが小うるさい映倫の検閲官や金を出し渋るパラマウント映画のトップや妻が共同で脚本をつくる男を思い浮かべながらナイフを振り回すという設定が面白い。

ヘレンミレンがいい。彼女を見ているとどうしてもエリザベス女王を思い浮かべてしまうのは自分だけであろうか。夫のある中年女性がハンサムな脚本家と会っている姿は今より刺激的な話であろう。内面からうまく彼女の心理状態を見せつけてくれた。一回目の試写で酷評だった「サイコ」を一緒になって刺激的な作品になるよう編集したり、主人公の女性を中盤で殺してしまおうというヒッチコックのアイディアを最初の30分で殺したら?とアイディアを出すシーンは興味深い。

美人好みのヒッチコックがジャネットリーを選び、妻と3人で食事をするシーンで美女に見とれるヒッチコックを横目に妻が軽いやきもちを焼くシーンもうまい。

いずれにせよアンソニーホプキンスの貫禄はさすがだ。
こんなに太っていなかったと思うので、役作りで太ったのであろうか。グレースケリーの写真に見とれるシーンや自分が引き立ててやろうとしていたのになぜか懐妊して「めまい」を降りたヴェラ・マイルズに対してbetrayという単語を使っていた。そこのシーンも印象的だ。主人公を陥れるというのがストーリーの基本だ。ここまで悩ませるのかというくらいヒッチコックも密かにいじめられる。その苦悩をアンソニーホプキンス流で表現する。

自分自身はこの映画を最初に見た時ジャネットリーとヴェラマイルズがあまりに似ているので一人二役かと錯覚した。
3つ印象的なシーンがあった。当然シャワーシーンがその一つだが、大金を持ち出したジャネットリーが運転するシーンが妙に印象に残っている。警察に検問をうけたあと、パトカーに後を追いかけられるいかにもヒッチコックぽいドキドキシーンだ。これはこの映画でも取り上げられていた。あと一つは謎の屋敷で母親が飛び出してくるシーンだ。自分はこのシーンが一番ドッキリした。

ここでは母親を見てビックリするヴェラマイルズを映すだけだったが、母親の顔はさすがに気食悪くてだせなかったのかなあ

ちなみに自分のヒッチコックベスト3は
「見知らぬ乗客」「海外特派員」「めまい」
一番怖いのは「鳥」だよね
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映画「最強のふたり」

2013-04-07 10:25:39 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「最強のふたり」は実話に基づくドラマ仕立てのフランス映画

これは日本でもヒットした。
関心はあったが、ポスターの車いす姿を見て映画の筋を誤解してしまった。偽善的な同情を誘うような展開と思ってしまったのは失敗だった。
とりあえず見てみようかと見始めたら、いきなりスポーツカーを超高速で運転する黒人が映る。横には身体障害のフィリップが座る。アースウィンド&ファイアーの「セプテンバー」が流れる中、並みいる車を追い抜く。ところが、後ろにはパトカーが。。。懸命に逃げて捲ききったと思ったら、目の前と後ろにパトカーがいる。黒人主人公が車の外に出された後、振る舞う狂言が最高だ。
「俺はこの身体障害者が急病になったので、急いでいるんだ。俺を逮捕しようものならこいつは死んでしまうぞ」と警官を脅かし、助かる。
これを見て何か違うんじゃないかと、映像を食い入るように見始める。
バックにはジョージベンソンをはじめとして、ブラックテイストの音楽が続く。黒人主人公のパフォーマンスは笑うしかない。お互いの厚情に気持ちがほんのりするが、涙がでるような映画ではない。
後味がすっきりとした良い映画だ。

ひとりは、スラム街出身で無職の黒人青年ドリス。もうひとりは、パリの邸に住む大富豪フィリップ。何もかもが正反対のふたりが、事故で首から下が麻痺したフィリップの介護者選びの面接で出会った。他人の同情にウンザリしていたフィリップは、不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てというフザケたドリスを採用する。その日から相入れないふたつの世界の衝突が始まった。クラシックとソウル、高級スーツとスウェット、文学的な会話と下ネタ──だが、ふたりとも偽善を憎み本音で生きる姿勢は同じだった。
互いを受け入れ始めたふたりの毎日は、ワクワクする冒険に変わり、ユーモアに富んだ最強の友情が生まれていく。だが、ふたりが踏み出した新たな人生には、数々の予想もしないハプニングが待っていた。。。

介護士として元々面接に通ることは一切考えていない。
ただ、失業手当支給申請用の不採用の印をもらいたいだけだ。それだけに、採用する主人に対する言葉も好き勝手なことを言う。品位はまったくない。それなのに自分と正反対の何かを感じて採用してしまう。
豪華な個室に居住して、隣室にあるご主人の面倒をみるということだ。しかも、介護の内容は下のお世話もふくんで何でこんなことまでするんだという所からスタートだ。やったことないことばかりだ。
周りは彼を雇ったことに驚く。前科があることをこっそりもらす人もいるが、主人は一向に気にしない。
そうしていくうちに少しづつ2人の間に友情が生まれる。

2つばかり印象深いシーンを

画廊で抽象画を主人フィリップが購入しようとしている。白いキャンパスに赤い絵の具だけが塗っているだけの絵だけだ。高価な購入価格を知り、ドリスは自分で絵を描いてみようとして、同じような抽象画を描く。その描いた絵をなんと主人が1万ユーロもの値で売ってしまうのだ。フィクションとはいえ、この展開はありそうだ。高価なものって、普通の人が売ろうとしても二束三文にしかならないが、高貴な人が売ろうとすると意外にも買い手がいるものである。このご主人、詐欺師の素質があるのかもしれない。

その日はフィリップの誕生日だ。弦楽のアンサンブルを呼んでいる。終わり際、ヴィヴァルディ「四季」の夏を演奏してもらおうとする。横にはドリスがいる。この2人のやり取りがおもしろい。
「四季の夏」を聞いてどう思うかい?といわれて「踊れないと何も感じない」という。
そのあとクラッシックの名曲が続く。ドリスは「これはコーヒーのCMだね」と言ったり、バッハの曲を聴いて「あの時代のバリーホワイトだな」同じくヴィヴァルディ「四季」の春が流れると、身を乗り出して「これは有名だ」どこで聴いたかというと
「こちらは職業安定所です。。。。2年間お待ちを」と職業安定所の館内放送のバックで流れたという。
これには笑いこける。
などなど笑った後に逆にドリスがアースウィンド&ファイアの「ブギワンダーランド」を流して、踊りまくる。この踊りが実にかっこいい。黒人特有のリズミカルなステップだ。そして初老の使用人たちをフロアにくり出して踊りまくる。この辺りが映画の一番の絶頂であろう。

ドリスの顔がものすごく愛嬌がある。それだけでこっちの気持ちもファンキーになる。
この映画における彼の存在は実に大きい。 

フランス映画なかなかやるねといった感じだ。
以前はインテリ筋大好き、難解な映画といった印象だったが、今はコメディタッチがお上手という印象に変わってきた。あとフランス人のディスコミュージック好きがここでも出ている。コメディタッチの映画「ディスコ」でも70年代後半から80年代にかけてのディスコミュージックを流していたが、ここでも同じ。フランスというとシャンソンのイメージをつい異国の自分は思ってしまうが、実は意外にもブラックミュージックが好きな気がする。日本の40半ばから50後半にかけての往年のディスコ世代もいきなり「セプテンバー」の展開はウキウキしたんじゃないだろうか。
フィンランドの巨匠アキ・カウリマスキがフランスを舞台に撮った映画「ルアーブルの靴磨き」も黒人の移民問題がテーマになっていた。この映画でも同じだ。現地ではかなりの社会問題なのかもしれない。

いづれにせよ予想と違う展開に楽しまさせていただいた。
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映画「ジャンゴ 繋がれざる者」

2013-03-23 21:20:01 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ジャンゴ 繋がれざる者」を劇場で見た。
3月に入って忙しくなかなか見に行けなかったが、ようやく見れた。
途中眠くなるような緩慢な時間もあったが、ラスト30分の圧倒的な迫力演出には度肝を抜かれた。
「ウェスタン」映画の定石を踏みながらも、タランティーノらしさを前面に出す内容だ。

第85回アカデミー賞助演男優賞を受賞したクリストフ・ヴァルツが、主役のような役割を果たしている。実際主役といってもいいくらいだ。タランティーノ監督が発想するドイツ人歯科医で賞金稼ぎのシュルツという異色なキャラが口八丁手八丁で我々を魅了する。

1858年のテキサスが舞台だ。南北戦争の2年前
奴隷商人に連れられて、鎖を付けたまま歩く黒人の行列がまず映される。
そこに現れた歯科医で賞金稼ぎのドイツ人・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)は、奴隷商人に捕らえられたジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を助けて自由の身にする。シュルツは高額賞金のかかったブリトル3兄弟を追っていて、顔を識別できる人物の協力が必要だったためだ。ジャンゴは顔を知っているのだ。

「ブリトル三兄弟を仕留めて自由を手にしたら、その先はどうするつもりか?」と問うシュルツに対して、ジャンゴは「妻を探し出す」と答えた。ガンマンとなったジャンゴは、売られた妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を探していた。ジャンゴと同じくカルーカン農場の奴隷だった妻の名前はブルームヒルダ・ヴォン・シャフトだ。リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』4部作における、勇者ジークフリートによるブルームヒルダ姫の救出劇を思い出したのだ。ブリトル3兄弟を射殺したシュルツと、従僕の扮装をしたジャンゴは、ミシシッピー州キャンディランドの領主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)を訪ねる。そこにはブルームヒルダがいるはずだったが。。。。

2時間半を超える長丁場である。
長いなあと感じさせる瞬間もあった。ここのところ花粉症で目がやられていたせいか、映画の銀幕が見づらくなっていた。途中でしんどくなってきた。
そう思っている時に現れたのが、ディカプリオだ。とたんに目が覚める。

農園主で金にものを言わせ、好き勝手な傲慢な男だ。
奴隷同士に真剣勝負の格闘技をさせたりする。これは見ていて目をそむけたくなる。
そんな男から売られた妻ブルームヒルダを取り返そうとする。一筋縄ではいかない。
それでも何とか踏ん張っている時に、ディカプリオが2人の魂胆を読み取る。
ここからのディカプリオは凄い!
この怒り狂った表情に背筋がぞくっとする。人ごとながらヤバイと思わせる。

あとはドキドキものの展開であった。
優勢、劣勢が一瞬にして次から次へと変わって行く。
ストーリーは言わぬが花であるが、この映画のヤマはディカプリオの怒りと縦横無尽にかわそうとするクリストフ・ヴァルツの動きであろう。そこにサミュエル・ジャクソンまでからんでくる。
ラストに行く前に興奮は頂点に達する。
そして「古典的西部劇」「マカロニウェスタン」の定石を踏むようなストーリー展開を見せクライマックスに進む。
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映画「世界にひとつのプレイブック」 ブラッドリークーパー&ジェニファーローレンス

2013-02-26 21:44:15 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「世界にひとつのプレイブック」を劇場で見た。

ブログにまとめようとして、こっちまで支離滅裂になってしまいなかなかアップできなかった。
普通のラブコメとは訳が違う。予想以上に破滅的なスタートにビックリ、2人とも心の病気にかかっているとはいえあまりの激しさに驚く。それに加えて、途中で賭博的要素が強くなる。これはオヤジ役のロバート・デ・ニーロが絡んでくる話だ。今の日本からすると、かなり乖離している世界なので正直戸惑ってしまう映画であった。
ただそれを演じる2人はともに好演、デニーロも悪くないし、カラフルな脇役がなかなか面白い。

主人公の精神病院における姿が描かれていく。
パット(ブラッドリー・クーパー)が精神病院に収容されたのは、妻ニッキ(ブレア・ビー)の浮気現場を自分の目で見たことによって心のバランスを崩したためであった。パットは8カ月入院させられ、退院後も妻に接近することを禁じられた。高校の教師もクビになり、父(ロバート・デ・ニーロ)と母(ジャッキー・ウィーヴァー)が住む家で暮らすことになった。しかし、パットはやたら早口で怒鳴りまくる。夜中にわめき散らしたり、セラピーを受けるクリニックで想い出の曲スティヴィー・ワンダーの『マイ・シェリー・アモール』が流れるのを聴き、大暴れしたりハチャメチャだ。
そんなパットに気晴らしにと友人からディナーに招かれる。そこで招待先の妻の妹ティファニー(ジェニファー・ローレンス)に出会う。彼女は最近夫を亡くしていた。彼女も精神状態がおかしい。夫の死を忘れるために会社の男全員と寝たという驚くべき話まである。出会った後すぐ彼女はキレてしまい、パットに平手打ちを食らわせてしまう。身体を鍛えることにこだわるパットがジョギングをしていると、そこにまつわりつく。そんな2人だがお互い似たもの同士ときが付いたのか、付き合うようになる。パットはティファニーのパートナーに誘われ、いやいやダンス・コンテストに出場することになるが。。。。

普通であれば、仲のよくなった2人がダンス大会のためにレッスンを重ねるというのがよくあるパターンだ。でもここではそうはならない。努力の物語ではない。心に爆弾をもっている彼はちょっとした隙にまた大暴れ、彼女はイライラ。ティファニーの思うような練習ができないのだ。しかも、出場するダンスペアはプロを含む一流ばかりだ。でも上位はまったく狙っていない。2人のダンスペアが10点満点の採点で審査員から5点以上をとれるかどうかという賭けをオヤジが仕組むのだ。そこが笑えるところだ。
 
オヤジはギャンブル好き、フットボールのスポーツ賭博が大好きだ。それに加えてダンス大会のポイントまで賭けの対象になる。誰がどう見ても5点以上はムリだろうと思うが本番は??

日本でいえば、賭博というとすぐ大騒ぎになる。裏社会の話は当然だが、ちょっとした会社のトトカルチョでさえも警察騒ぎになる。そこがアメリカと日本の違いだろう。コンプライアンス好きの日本ではまずはつくられないタイプの映画だ。ここではギャンブル狂いも一つの病気として描くのがポイントになっていたのかもしれない。
それに加えての精神が錯乱した2人の振る舞いが凄い。そううつ病というが、むしろ躁病かもしれない。ラブコメに片方ならず2人とも躁鬱という過激さをもちこんだのは画期的だ。でもずっと破滅的な動きに圧倒されっぱなしだった。
ちょっと頭が錯乱してしまったかもしれない。


でもジェニファー、オスカーもらえてよかったね。
そうそうスティービーの歌も色々流れていたけど、レッドツェッぺリンⅡの2曲目「What Is and What Should Never Be」が絶妙なタイミングで流れていたのが印象的だった。
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ムーンライズ・キングダム

2013-02-22 18:45:24 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ムーンライズ・キングダム」を見てきました。
ウェス・アンダーソン監督の新作、主役の少年少女の脇を固める俳優の豪華さは半端じゃない。
こういうタッチどうかな?と思いながら、他の作品の上映時間の兼ね合いで見た。
色合い鮮やかで、美術などには見るものが多いけど、正直こういうのは苦手

1965年アメリカのニューイングランド沖に浮かぶ小さな島、ニューペンザンス島が舞台だ。
12歳のスージー(カーラ・ヘイワード)は本が好きな孤独な女の子、父ウォルト(ビル・マーレイ)と母ローラ(フランシス・マクドーマンド)と3人の幼い弟たちと海沿いの素敵な家で暮らしていた。
自分だけの世界に浸るので家族ともなじんでいない。
趣味は双眼鏡での観察。ある日、スージーはその双眼鏡で母とシャープ警部(ブルース・ウィリス)の密会を目撃する。

一方、ボーイスカウトキャンプ中の同じく12歳サム(ジャレッド・ギルマン)も、仲間にうまく溶け込めない。ウォード隊長(エドワード・ノートン)率いるボーイスカウトのキャンプ地から隊員のサムが置き手紙を残して姿を消してしまう。

1年前、ボーイスカウトの活動で劇を観に行ったサムと出演していたスージーが惹かれ合い文通を開始。密かに駆け落ちの計画を練っていた。
二人は作戦通りに出発して、誰にも知られていない美しい入江“ムーンライズ・キングダム”で楽しい2人だけの時間を過ごす。

翌朝、二人がいなくなったことを知った島の大人たちは大騒ぎで、二人の捜索を始めます。娘を誘惑したとウォード隊長に食って掛かるビショップ夫妻だったが、ボーイスカウトの少年たちによって二人は見つかり、離ればなれにされてしまう。
だがサムの両親は里親で「サムはもう引き受けられない」と言い、福祉局(ティルダ・スウィントン)の説明によると、問題児のサムは少年院に行く可能性が高いという。

そんなうちに天候が怪しくなり、島を前代未聞の大嵐と大洪水が襲うが。。。

ロケの島はきれいだ。
紅白のストライプの灯台に遊び心がある色合いを感じ、二人が行く入江も素敵なロケーション。ビルマーレーとマクドーマンドが住む家もしゃれている。この色調や雰囲気にノスタルジーがあり、レコードプレーヤーにオープンリールのテープレコーダーとインテリアや美術には楽しめる要素がたくさんある。
でもボーイスカウト自体が自分の性に合わないし、本質的にウェス・アンダーソン作品とは合わないかもしれない。
別の映画見ればよかった。今一つ楽しめなかった。
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映画「アウトロー」 トムクルーズ

2013-02-13 20:48:19 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「アウトロー」を劇場で見てきました。

今までのトムクルーズのアクション物と若干違い、サスペンスタッチの色彩が強い映画だ。
昨年の「ミッションインポッシブル」にはトムクルーズのパフォーマンスにアッと驚いた。それを期待していると、少し違うかもしれない。頭脳明晰な鍛え抜かれた元軍人という設定だ。
この映画見ようか、dvdスルーか少し迷っていた。つい先日「フェノミナン」見たばかりで、ロバートデュヴァルが80すぎた高齢にもかかわらず出演ということで引き寄せられるように映画館に寄ってしまった。
賛否両論でむしろ評価は今一の印象だけど、自分は悪くないと思うんだけどなあ



歴史あるピッツバーグの街が映し出される。ビルには一人のスナイパーがいる。
川の反対側でたたずむ人たちに狙いを定めている。
無作為に6発の銃弾が発射され、5人が殺害される事件がおこる。警察の捜査が進み容疑者として元軍人のスナイパー、ジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)が逮捕された。警部がここにサインしないと死刑になるぞと容疑者を脅しながら書面にサインを求める。だがバーは殺人容疑を否認し、書面に書いたのは「ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)を呼べ」という連絡の要求であった。

検事(リチャードジェンキンス)と警部がリーチャーを調べる。現状住所不定、運転免許、携帯電話、クレジットカードその他の記録もない。逮捕歴も皆無だ。元米軍の秘密捜査官でイラク戦でも活躍したが、今は街から街へと放浪を続ける一匹狼なのだ。ところがバーは刑務所への護送中、他の囚人たちに襲われ意識不明の状態となってしまう。彼を探すにはどうしたらよいかと2人が思案しているところに突然警察にジャック・リーチャーが現れる。何かがおかしいと感じたリーチャーは、この事件の裏にある隠された真相を暴こうとする。バーの弁護人(ロザムンド・パイク)も一緒に行動を始める。リーチャーは弁護人に被害者の素性をまず調査するように依頼するが。。。

このあとリーチャーを罠にはめようとする動きが頻繁にでてくる。バーに飲みに行けば、あばずれ女にからまれる。その取り巻きの街のチンピラと格闘して留置所にぶち込まれたり、罠にはめた女のところに行って、依頼主を聞き出していくとハマったように襲撃を受けたりさまざまな障害が立ちふさがる。


(主人公と女弁護士で謎解き)
主人公は頭脳明晰だ。女弁護士にも真相をつかむためのヒントを与える。トムは先を読む。何をどう調べればいいのかを弁護士に教える。的を得た指示だ。この映画における主人公はある意味私設探偵のようなものだ。特殊な訓練を受けた元軍人らしく不死身の強さを発揮するが、完ぺきではない。後ろから暴漢に殴られたり、カーチェイスでも完ぺきな動きではない。そこは狙ったところなんだろう。探偵と考えればいいのだ。人間離れしすぎると現実から乖離してしまうかもしれない。ミステリーの基本は、主人公を窮地に追い込むこと、途中でいくつもの謎をつくることだが、その定石には外れていない気がした。トムクルーズと組む女弁護士ロザムンド・パイクはなかなか素敵な女性だ。



(ダレる中盤にカーチェイス)
映画は中盤がだれる。そこで激しいカーチェイスが始まる。古めの車を懸命に走らせる。追うのは警察だ。主人公を絶体絶命に追い込む部分である。お尻を振りながら、走りきる姿は他の凄いアクション映画に比べたら見劣りするかもしれないけど悪くない。カーチェイスの終え方がなんか笑える。



そして最後に向けてロバートデュヴァルの登場だ。
ニコールキッドマンとの縁結び映画「デイズオブサンダー」でもロバートデュヴァルと組んだ。コーチ役というのは彼のはまり役である。ロバートレッドフォードの野球映画「ナチュラル」でもいい味を出していた。年をとったなあと感じるが、犯人探しのポイントになるこの役いい感じだ。最初は敵になるか味方になるかわからないような存在だったのでどうなると思ったけど。。。

主人公は自分の名前を名乗る時、歴代のヤンキースの二塁手の名前を出していた。それが御愛嬌、いろんな名前を出していたが、劇中見抜いたのはロバートデュバルだけだった。
名探偵に見立てたようなトムのミステリー仕立てはなかなかいい感じだ。
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映画「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日間」

2013-01-31 20:03:22 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ライフオブパイ トラと漂流した227日間」を劇場で見てきました。

200日以上も虎と一緒の船で漂流するという話自体がおもしろそうで行って来ました。
見てみると映像の美しさは天下一品、さすがアンリー監督とうなった作品でした。

カナダ人ジャーナリストが1人のインド人からネタを得るためにインタビューに行く。
その昔すごい体験をしたらしいという彼から昔話を聞きだした。

舞台はインドのポンディシェリだ。
帝国主義の時代、列強がアジアに進出した。その時代にはフランスがインドの拠点港としていた。
主人公パイの家はそこで動物園を経営していた。少年時代彼がいじめを受けていた話からスタートする。
もともと名前はピシンという。これはフランス語では「プール」の意味だけど、インド語で「立ちションベン」のことだ。何かというと同級生たちからバカにされる。それで彼は自分の名前のPiは「パイ」と呼ぶといいだす。数学のπだと。
そして円周率の値を小数点以下限りなく覚えだす。見直される主人公だ。
主人公は舞踊学校で打楽器を奏でる。そこで1人の少女と知り合う。
生活に張りが出てきて幸せな主人公であった。

ところが、両親はポンディシェリで動物園ができなくなる。土地が没収されてしまうのだ。
恋人と別れ、兄とともに家族でカナダに向かう日が来た。貨物船で出発した家族は動物園の動物たちと一緒に旅立った。動物たちを手離さないでよかったのだ。
太平洋を航海して、船がマリアナ海溝に差し掛かったときに強い嵐に見舞われる。
はじめは強風と大雨に見舞われた甲板ではしゃいでいた主人公であるが、船の客室が水浸しになっていることに気づく。
両親は客室にいるのだ。懸命に家族を探す主人公だが、船は沈みそうだ。脱出用の救命ボートが出される。
船員は乗り込めというが、主人公は家族が心配。それでも意を決してボートへ乗り込む。
同時に動物も乗り込んだ。ボートにシマウマが横たわる。オラウンターンがいた。
日が明けて嵐が静かになる。二匹のほかにボートの下からハイエナが出てきて大暴れする。
動物たちの暴れぶりに困惑する主人公だ。
だが、もっとすごい動物が隠れていた。虎だ。
動物園で飼っている凶暴なベンガル虎が隠れていた。下手すると食べられてしまう。
これから主人公の長い旅が始まるが。。。


世界史ではポンディシェリはインドでフランスが開港した港として学んだ。マラッカ、ボンベイなどど比べると単語の長さで覚えにくかった記憶がある。今回映像で見るのは初めてだ。コロニアル文化の匂いがするいい街のようだ。
イントロで動物園が映し出される。動物たちが動く姿は何てきれいな映像なんだろう!!
さすがアンリー監督と最初からうなってしまう。

アンリー監督といえば、台湾の出身だ。「恋人たちの食卓」をはじめとした父親三部作で名を売った。
「恋人たちの食卓」で映す中華料理はよだれが出そうなくらい食欲をそそった。
そのあと「グリーンデスティニー」を撮る。これはアクション映画史上に残る傑作だと思う。
色彩設計は美しく、チャンツィイー、ミシェル・ヨーの優雅に格闘する姿はこれまでの武侠映画と何か違うものを感じさせた。伝統的なワイアーアクションを使った立ち回りも空間を縦横無尽に使い切っている。
そして「ブローバックマウンテン」で故ヒースレジャーと男色映画を撮った。
そのあとは過激な表現で中国では珍しい男女の絡みを撮った「ラスト・コーション」だ。これも良かった。
世界に名だたる大監督といっていいアンリー監督が今回おもしろいテーマを選択した。
時間をかけてつくったようだ。

虎が出てきたが、あまりにリアルなので驚いた。
本物の虎が暴れているかのごとくだ。CGと聞いて本当?と思った。他の動物たちも同様だ。

海に浮かぶシーンでも、トビウオのシーン、蛍光のくらげのシーン、大きなクジラが飛び上がるシーンなどはあまりの美しさに感嘆した。


言葉でこの美しさを説明するのはなかなか難しい。
ファンタジックなストーリーと映像のハイセンスさに感動した作品でした。
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映画「テッド」

2013-01-28 19:12:27 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「テッド」を娘と一緒に劇場で見てきました。
卑猥な表現の連発で若干下品だけど、途中笑いの渦に包まれ、楽しく見れました。

主人公の少年時代を映す。
8歳の少年は友人に恵まれずに1人で遊ぶことが多かった。彼はクリスマスにテディベアの縫いぐるみを買ってもらう。友達のいない彼はテッドと名づけたテディベアが話をしてくれたらいいなあと思っていた。
そういう願いをかけたら、なんとテッドは話を始めてきた。ビックリして両親に報告したら、2人とも卒倒する。マスコミも黙ってはいない。テッドはテレビショーにも出演して、そのパフォーマンスを全米に披露する。

27年の月日が流れ、主人公(マークウォールバーグ)も35歳になっていた。
ロリー(ミラクニス)という恋人ができた主人公はレンタカー屋の従業員になった。寝坊で遅刻したり仕事に身が入っていなかった。休日にはテッドと共にマリファナを回し子供の頃のように『フラッシュ・ゴードン』のビデオを見てダラダラと過ごしていた。ロリーとは交際4年になるのにいまだに結婚する決意もできない。ロリーは会社の上司から繰り返し誘われていた。
それでも交際4年目の記念日の晩、二人は高級レストランで食事をした。家に帰ると、何人もの売春婦を呼んで乱痴気騒ぎをしているテッドにロリーの怒りが爆発。

ロリーに促され、ジョンはテッドに家を出るよう提案する。テッドは素直に1人アパートに移る。こうして二人は初めて離れ離れの生活を始めるが。。。

この作品はセス・マクファーレン監督の趣味が前面に反映されている映画だ。映画の名前やテレビのヒーローの固有名詞が次から次へと出てくる。映画の題名もブルースリーの「死亡遊戯」や「ブリジットジョーンズ」の話などと、かなりオタク系の男と見た。
セス・マクファーレンはタランティーノのような奴なのであろうか?

何せ楽しいのがアメコミ映画「フラッシュゴードン」の主演のサム・ジョーンズが出現する場面だ。残念ながら自分は知らないヒーローだけど一般アメリカ人にとっては「ウルトラマン」や「仮面ライダー」に匹敵するヒーローなのかもしれない。主人公が本物のジョーンズに会ってウキウキして飲みすぎてしまうシーンは笑いも誘うが、気分をハイにさせてくれる。
他にも「グリーンランタン」がカメオ出演したり、サラ・ジョーンズが出てきたりするのがいい。

先入観で「テッド」はぬいぐるみらしく子供の声かと思っていたら、おっさんの声
監督セス・マクファーレンの声だ。
これがいい。まあよくココまで言うと思うほどの卑猥さである。
マークウォーバーグは「ファイター」では身体もムキムキにしてボクサーを演じていた。今回は最初に名を売った「ブギーナイツ」で見せたようなキャラクターで親しみが持てる。ブギーナイツと映画の系統が似ていて、サタデイナイトフィーバーのダンス踊るときなんか楽しそう。「ディパーテッド」などのシリアスな役柄よりこの映画のキャラの方が本当の彼なのかもしれない。音痴な歌もご愛嬌だ。

「ブラックスワン」でナタリーポートマンのライバルのバレリーナを演じたミラクニスは適役だ。相変わらず色っぽい。見ようによってはちょっとアバズレ系にも映る彼女がここでは生き生きと演技をしていた。
恋人が腐れ縁のテッドとなかなか離れられないのにやきもちをやくところが可愛い。

それにしても笑いっぱなしだった。
卑猥な会話の連発で横に座っている娘を気にしたが、ひたすら笑っていた。
映画館でチケットを購入する際に係員がじっと娘の学生証を見ていた。そうだ15禁!なんだ。
子供の頃、テレビの「プレイガール」や「時間ですよ」の卑猥なシーンが始まると親子ともども黙ってしまったものだった。でも、濡れ場があるわけでもないのでこんな程度だったら大丈夫かもしれない。

楽しかった。

コメント (2)
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映画「LOOPER/ルーパー」 ブルースウィルス

2013-01-14 18:28:44 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
新作映画「LOOPER/ルーパー」を劇場で見た。
なかなか面白い。

正直SF系は苦手な部類だ。タイムマシンの設定はコメディに使われると楽しいが、殺人がからむと怖くなる。30年後の自分に会うという設定自体が奇妙な感じだが、話自体はよく練られている。単純にもう一人の自分との対決になっていない話の二重性がいい。
若手の人気者ジョセフ・ゴードン=レビットにベテランのブルース・ウィリスを組み合わせる以上に、伏線の親(エミリーブラント)と子供を組み合わせるところが重層構造だ。奇妙な覚醒に浸れるいい映画だ。

2044年のカンザス州が舞台となる。
主人公ジョー(ジョセフ・ゴードン=レビット)がサトウキビ畑の前で一人銃をもってたたずむところに突然、男が飛び出す。縛られて、顔に袋をかぶせられた男だ。瞬時に射殺される。殺された男は、2074年の未来社会から送り込まれてきたのだ。30年後にはタイムトラベルが発明されている。悪用が禁止されているが、犯罪組織はひそかにこの技術を用いて厄介者を30年前に送り返し殺し屋に始末させる。30年後にはそう簡単に人が殺せなくなっている。主人公は30年後から送られる厄介者についている銀の延べ棒をため込んできた。

ある日主人公の前に仲間(ポール・ダノ)が助けを求めに来た。自分の目の前に現れた男がまさに自分の30年後だったのだ。情を移してしまい、男を逃がしてしまう。これ自体は禁じ手である。所属する組織に仲間は追われていて、一瞬かくまうが消される。ミスは許されない。
そして、主人公が懸念していたことが起こる。30年後のジョー(ブルース・ウィリス)が眼前に出現する。プロのジョーが一瞬躊躇する。百戦錬磨のオールドジョーはとっさに逃亡する。仲間と同じように主人公はミスをしたことで追われるようになるのである。オールド・ジョーは特別の意図を持って2044年にあえて乗り込んできたのだ。主人公はサトウキビ農園を営む母(エミリーブラント)と子がいる家に逃げ込むが。。。

普通近未来だと、空を車が走ったりもっと空想的な感じにするけれど、2044年のカンザスは今の延長の猥雑な感じに表現する。車もポンコツだ。そこがいいところだ。タイムマシンというSF的な要素だけだと、実現不能な印象があるが、この映画を見ていると実際にありえそうに思えてくる。
子供のころ「タイムトンネル」なんてNHKのテレビドラマがあった。タイムトラベラーは「昔に戻った時には自分自身には会ってはいけないというルール」を少年雑誌で読んだことがある。昔の自分を変えるというのはいけないことであるはずだ。そういった意味では珍しい設定だ。

ブルースウィルスは適役だと思う。長年アクション映画をやっていて、「ダイハード」などでの不死身のイメージを植え付けてきた。今回は殺し屋なのに30年前の同一人物ジョセフ・ゴードン=レビットは若干未熟な設定だ。刑事物でよくあるが、熟練者と未熟者との対比というのがよくある定石だ。その定石に沿っているだけに、ブルースウィルスの存在感の出し方が優れる。


映画で言えば「ターミネーター」の設定に近い展開も途中から出てくる。シュワちゃん同様、未来から現世に来たブルースウィルスにも標的があるのだ。ここで登場するのが、凄い少年だ。この少年の存在がグイッと映画を面白くして、展開を読みづらくする。SFというより「エスター」のようなスリラー系の要素も加える。
映画を見ている途中で謎解きをしている楽しさが、映画の醍醐味だ。ここではいくつかの迷彩をちらちらさせながら一気に終盤に持っていく。なかなかやるなという印象だ。
コメント (2)
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