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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「フライト」デンゼルワシントン

2013-08-15 05:57:50 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「フライト」は今春公開のデンゼルワシントン主演のシリアス物

気にはなっていたが、劇場はスルーしてしまった。
事故を回避できたが、検査をしたら飲酒反応が出たという情報だけは知っていた。デンゼルワシントンがオスカー主演男優賞候補と聞いていたが、この映画は飛行そのものというよりもアルコール中毒に焦点が合わさっている映画だった。

フロリダ州オークランド発アトランタ行きの旅客機に乗り込んだウィップ・ウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)。
一流の操縦テクニックを誇る彼は、この日も激しい乱気流を鮮やかに切り抜け、機体が安定すると副操縦士に任せて眠ってしまう。だが突然の急降下が、ウィトカーの眠りを破る。

機体は制御不能、車輪を出し、燃料を捨て、あらゆる手段で速度を落とそうとするが、降下は止まらない。

緊迫するコックピットでウィトカーは、機体を逆さまにする背面飛行を決行。高度は水平に保たれ、前方に草原が現れた。ウィトカーは機体を元に戻し、決死の不時着陸に挑む……。
アトランタの病院で目覚めたウィトカーは、パイロット組合幹事のチャーリー(ブルース・グリーンウッド)から、102人中生存者は96人だと告げられる。高度3万フィートからのそれはまさに奇跡の着陸だった。しかし密かに付き合っていた客室乗務員のトリ―ナ(ナディーン・ヴェラスケス)が亡くなったと聞き、ウィトカーはショックを受ける。
見舞いに来た友人のハーリン(ジョン・グッドマン)が、興奮して世の中の騒ぎをまくし立てる。マスコミがウィトカーの偉業を称え、彼は一夜にしてヒーローとなったのだ。

翌朝、チャーリーに呼び出されたウィトカーは、弁護士のラング(ドン・チードル)を紹介される。フライト・レコーダーから、事故の真相は機体の故障だと解明されるはずなのに、なぜ弁護士が必要なのかと声を荒げるウィトカー。実は調査委員会で、ある重大な疑惑が浮上していた。

事故後、乗務員全員に行われた検査の結果、ウィトカーの血液中からアルコールが検出されたのだ。それが事故の原因と特定されれば、ウィトカーは過失致死で終身刑となる。一方、10人のパイロットに挑戦させた事故のシミュレーションでは、全員が地面に激突、全乗客が死亡、ウィトカーの神の腕が証明される。だがマスコミが疑惑を嗅ぎつけ始める中、ある客室乗務員はウィトカーを命の恩人だと感謝しながらも、彼に有利な証言を断り、副操縦士はTVのインタビューで思わせぶりな発言をするのだったが。。。

いきなり抜群のスタイルの女性がヌードになり、デンゼルワシントンの横に出てくる。
すごい美乳でドキドキさせられるが、これは最初だけ
あれ?デンゼルは白人とキスシーンやらないんじゃないの?と思ったらイスパニア系の方だった。
そういえばエヴァ・メンデスとキスシーンあったっけな。。。

飛行がはじまりいきなり乱気流に入る。悪天候だ。
ここで最初の実力を示す。
抜群の操縦で乱気流を脱出したはずだったが、突如機体に異変が。。
操縦管も制御が難しくなる。一気に高度が下がっていく。
そこで突如背面で飛行するという所が凄い。以前こんな話実際にあったのであろうか?初めてみた。

今日本ではパイロットへの飛行前アルコールチェックは相当厳しいと聞く。
アメリカでも同様だと思うけど?どうなんだろう?
この映画は「航空ショー」ではなく「アル中物語」なのだ。イメージが違っていた。
展開的にはだらけモードである。カッコいい機長ではない。一人のダメ男として映し出すのだ。

明日は運輸安全委員会の公聴会という日。ヒュー・ラング弁護士とチャーリーからホテルの部屋で缶詰にされる。これなら安心ということなのに、ウィップは眠れない。深夜隣室とのドアの辺りで不審な物音が聞こえる。ドアのカギがかかっていない。隣室に向かい冷蔵庫を開けると、大量の酒が並んでいる。ウィップはウォッカのミニボトルを握ってしまい。映像はいったん閉じる。
翌朝ドアをノックした仲間は卒倒する。飲みすぎでぶっ倒れているのだ。
アルコール依存症の人間の弱さを見せつける。この辺りも脚本が振り回す。
そんな時も脚本家はいい将棋の駒をすでに盤上に放っていた。最終局面に向かう。
意外に展開が読めそうで読めないところがいい。

ここでも名曲が流れる。
ローリングストーンズの「Sympathy for the Devil 」だ。



サンバ調のリズムで始まる。ラテン調リズムのアレンジが彼らの長い歴史の中でも抜群にいい。
慢性のアル中、ドラック狂いをデヴィルに結びつけるところがうまい。
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映画「終戦のエンペラー」 トミーリージョーンズ

2013-08-02 05:59:41 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「終戦のエンペラー」を劇場で見た。

マッカーサー元帥が日本に来たあと、天皇陛下と面会する話は普通のまともな日本人なら誰でも知っている話だ。軍服のマッカーサーにモーニング姿の天皇陛下が訪問し、一緒に写した写真を見て日本国民の誰もが驚いたという。戦後生まれの自分にはよく理解できない部分もある。実はこのご対面には準備段階があったというのが映画の主旨だ。

そこにはフェラーズ准将がからんでいた。当然事務方のおぜん立てがあったと思っていたが、正直彼のような存在がいることは知らなかった。ここではその昔付き合っていた日本人女性アヤの逸話と彼女とのラブストーリーも語られる。その話がちょっとうっとうしい気がする。それでも改めて今の日本があるのは天皇陛下とマッカーサーのおかげであると言い切れる何かを感じさせる映画だ。

1945年8月30日の厚木基地
第二次世界大戦で無条件降伏した日本にダグラスマッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)が降り立つ。
彼は直ちにA級戦犯の容疑者たちの逮捕を命じる。マッカーサーに同行していた日本文化の専門家であるボナー・フェラーズ准将(マシュー・フォックス)は自決を止めるため、部下たちを急がせる。元首相東條英機(火野正平)は自ら胸を撃つが、心臓を外して未遂に終わる。マッカーサーはフェラーズに、戦争における天皇(片岡孝太郎)の役割を10日間で探れと命じる。連合国側は天皇の裁判を望み、GHQ内にも当然と考える者たちがいたが、マッカーサーは天皇を逮捕すれば激しい反乱を招くと考えていたのだ。フェラーズは天皇を無実とする証拠をみつけるために高官に会う。

13年前大学生の頃、フェラーズは日本人留学生アヤ(初音映莉子)と恋に落ちるが、彼女は父の危篤のため帰国した。フェラーズがアヤの捜索を頼んでいた運転手兼通訳の高橋(羽田昌義)から、アヤが教員をしていた静岡周辺は空襲で大部分が焼けたという報告が届くが。。。

このあとフェラーズは近衛文麿(中村雅俊)、宮内次官の関屋貞三郎(夏八木勲)そして天皇に最も近い相談役である内大臣木戸幸一(伊武雅刀)と会う。木戸から天皇が降伏を受諾し玉音放送に踏み切る際に、軍部が皇居を襲撃したという経緯を聞かされる。その話を証明する記録は全て焼却していないのだ。天皇を無罪に持ち込む証拠はない。そういう報告をフェラーズはするしかない。
そうなると、マッカーサーは天皇に直接会うしかないのだ。

歴史上の人物が次々現れる。

近衛文麿が首相になった時、日本全国が沸いたという。日本人は血統がいい人を好きである。公家の本流の血を継ぐ彼は貴公子然として格好がよかったそうだ。それを中村雅俊が演じる。フェラーズとの面会で近衛文麿は英語で会話するのだ。これは意外だった。慶応英語会OBの英語自慢中村雅俊が天皇を弁護する。戦争開戦当時、天皇を差しおく勢いで、無理やり軍部が戦争開戦に持ち込んだという。軍部を悪者にして、自分は逃げてしまおうとする魂胆が見え見えだ。結局出頭がいやで自殺する。映画では彼の自殺部分は終わってから語られるだけだった。いかにも近衛はお坊ちゃん。そういえば孫の細川首相も最初はカッコよかったが、すぐ逃げだしたよなあ。近衛はもう少し調子のいい奴の配役が良かったか?

東京裁判の資料というと、木戸孝一日記がずいぶんと引用されている。

自分もずいぶんと読んだものだ。天皇の側近である彼が一番よく丸秘事項を知っていたのは間違いないだろう。意外だったのは、最初進駐軍からの出頭命令に木戸が逃げ回っていたということ。それは知らなかった。映画の中で准将が「天皇が死刑になるのだったらお前のせいだぞ」といって呼び出す場面がある。
三船敏郎が阿南陸軍大臣を演じた「日本のいちばん長い日」という映画がある。それこそここに描かれている将校たちが天皇の録音レコードを懸命に回収しようとする場面を描いたものだ。あの映画での木戸の振る舞いを忘れてしまったが、こいつも調子いいお坊ちゃんといったイメージがぬぐえない。

火野正平が東條英機を演じる。雰囲気はある。
でもセリフが少ない。アメリカから見たら、ヒトラーと同じくらいの独裁者といったイメージだろう。でも現実にはそこまでの権力を彼が持っていたとは思えない。戦後何から何まで東條のせいにしてしまったのはアメリカ人であり、戦後の日本人たちだ。
自分は戦後天皇が語られた「昭和天皇の独白録」を読んだ時、ものすごい衝撃を受けた。
昭和天皇が誰よりも信頼していたのは東條英機なのだ。
「報告もよくするし、真面目だ」と何度も東條をかばう。
逆に松岡洋右外相あたりは最悪だ。彼は国際連盟を辞める時のパフォーマンスが有名で、英語の堪能な外交の天才とも言われた。ソ連が最終的に裏切った「日ソ中立条約」を締結したのも松岡の功績だった。でも天皇は三国同盟締結もヒトラーに買収されたんじゃないだろうかと言い切る。この辺りは一般の会社内の人間関係に通じる。真面目な男は好かれる。

マッカーサーに日本は本当に助けられている。

もともと北海道をソ連が占領しようとしたところを阻止したのはマッカーサーだ。日本がもし2つに分れていたら、朝鮮戦争ならぬ日本分裂戦争が起きていてもおかしくないのだ。しかも「アカ嫌い」と言われるマッカーサーの考え方もいい方向にはたらいた。「天皇がいなくなったら、日本中で抗争が起きる」というのは極論かもしれない。でも共産主義者が戦後まもなく増えたのは事実である。しかも貧しい人たちは多い。教室では日教組のダメ教師たちが戦前の反対の思想教育を植え付けている。きっとアカ化がもっと激しい動きを見せ日本はおかしくなっていただろう。

そして昭和天皇だ。右翼を怖がる日本では映画で天皇を語れない。外国映画でしか見れない実像だ。

特攻や玉砕も辞さなかった狂信的な軍隊が天皇の「聖断」により武器を捨てた。この事実は大きい。天皇の戦争責任についてはずいぶんと語られている。大元帥閣下である。天皇が開戦を止められなかったのか?という人もいる。でも違う。日本社会独特の「空気」によって軍部というより日本国民すべてが一気に突き進んでいたのだ。先ほどの松岡洋右の国際連盟脱退も天皇は反対していた。でも松岡が旧国連で一席ぶったことで、日本中の称賛を浴びた。一種の心神喪失である。天皇は従わざるを得ない。しかも終戦に向かっては一億総玉砕だ。誰もがそのつもりである。狂っている。自分がどうなってもいいからもうやめてくれといった天皇がいなかったらどうなったのか?我々は存在しなかったかもしれないのだ。

いずれにせよ、戦後の2人の英断をもう一度考えさせてくれただけでも見る価値はあった気がする。
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映画「バーニー みんなが愛した殺人者」 ジャックブラック

2013-07-17 19:13:41 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「バーニー みんなが愛した殺人者」を劇場で見た。

自分の好きな映画の一つに「スクールオブロック」がある。ジャックブラックがニセ教師になって、エリート小学校の生徒たちにロックを教える楽しいコメディだ。この映画「バーニー」は「スクールオブロック」の名コンビであるジャックブラックとリチャード・リンクレイター監督が再度コンビを組んで撮った作品だ。

テキサス州の田舎町カーセージが舞台だ。
葬儀社の助手として働くバーニー・ティーディ(ジャックブラック)は、繊細で配慮のある仕事ぶりと献身的な市民活動で町の誰からも愛されていた。彼はある日、町一番の大金持ち、ドゥエイン・ニュージェントの葬儀を執り行い、夫の莫大な遺産を相続した未亡人マージョリー(シャーリーマクレーン)に出会う。

マージョリーは、その高慢で頑固な性格で町中から嫌われ、友達は一人もおらず、息子家族とも裁判沙汰となっている孤独な老女だった。そんな彼女を気遣い、相談相手となって慰めるうち、バーニーはマージョリーに完全に気に入られ、彼女の世話役となる。数年後、銀行預金の管理までも任されるほどに信頼されるようになったバーニーだったが、マージョリーの支配欲はしだいにエスカレートし、ついには彼が他の住民たちと交流することさえ許さなくなっていった。

理不尽な要望の数々に日夜振り回され続けたバーニーは、ある日、彼を奴隷のように扱うマージョリーのわがままに、ついカッとなり、思わずアルマジロ退治用の銃で彼女を撃ってしまう。やがて彼は逮捕され、第一級殺人の罪で裁判にかけられる。バーニーはすべてを認めて罪を償うつもりだったが、証人となる住民も陪審員も彼の罪を責める者はほとんどいなかった。

ただ一人、野心家の地方検事ダニー以外は…。

若干ネタばれありです。

予想していたタッチとは異なっていた。
この話は96年に実際に起きた実話で、バーニー本人は刑務所に現在も入っている。殺人を犯したバーニーの善人ぶりを田舎町カーセージの人たちのインタビューを通じて語っていく。一方殺された未亡人マージョリーは徹頭徹尾悪口だらけだ。最初に2人の人柄を説明するために紹介するのはいいけど、ここまでインタビューだらけというのはどうかな?と思ってしまう。

バーニーは裁判で殺人罪となるが、日本の無期懲役と違い、仮出所できたとしても89歳以降だという。この罪もずいぶんと重い。どちらかというと、弁護士の力が足りなかったんじゃないかと思ってしまう。ここでの法廷場面はちょっと中途半端だし、見どころではない。むしろ腹立たしくなる。

ジャックブラックの葬儀屋ぶりがいきなり描写される。目が開かないようにするとか、口はほのかに微笑んでいるように整えておくとか。。。死んだ人をどのように扱うかを示す。このジャックブラックの振る舞いが実にうまくて、この映画にずいぶんと期待感をもったが、もう一歩だった。葬儀屋といえば「おくりびと」だが、アメリカ版葬儀屋物語より日本の「おくりびと」の方がおもしろく見れた。

シャーリーマクレーンの健在ぶりには驚く。こんなに皆に嫌われる役って長い俳優人生でやったことないんじゃないかな?誕生日を確認したら亡くなった自分の母親が生まれた年なので驚いた。しかも、ジャックブラックの誕生日は母の誕生日と同じ日、これにはもっと驚いた。
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映画「砂漠でサーモンフィッシング」ユアン・マクレガー

2013-07-07 20:10:32 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「砂漠でサーモンフィッシング」は2012年末公開のヒューマンコメディ

冴えない水産学者が、砂漠の国イエメンで鮭釣りがしたいという大富豪の夢物語に巻き込まれるという話だ。終始のんびりしたムードで進んでいく。監督のラッセ・ハルストレムがつくる「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウス・ルール」はいずれもすがすがしい物語だ。
ちょっと覗いてみようという好奇心で見た。

英国の水産所轄省庁に勤務している水産学者のアルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)にメールが届く。「イエメンの川にサーモンを放流させ、サーモンフィッシングを紹介したい。ついては、プロジェクトの展開について相談をしたい」と書いてある。差出人は、投資コンサルタント会社に勤めるハリエット・チェトウォド=タルボット(エミリー・ブラント)からであった。彼女に依頼したのはイエメンの大富豪シャイフ(アマール・ワケド)である。

ジョーンズはハリエットへ実現は難しいとの返答をした。「回遊性の鮭は、産卵のため、酸素の多い冷たい水が必要。幼魚が生きていくためには、ヨーロッパ北部にいるハエがエサとして必要。紅海はヨーロッパから遠すぎる。このプロジェクトは実行不可能」であると断る。

そんな時中東情勢が悪化する。外交上英国の立場はよくない。やり手の女性首相広報官のパトリシア・マクスウェル(クリスティン・スコット・トーマス)は、政府への批判をかわすために、中東関係のいいニュースを探せ、と部下たちに命じる。ネットから選んだニュースが、イエメンに鮭釣りを紹介するプロジェクトだった。英国政府がこの話に飛びつきゴーサインが出る。パトリシアは、すぐに取りかかるように水産所轄省庁のサグデン(コンリース・ヒル)に電話で命令する。ジョーンズは、上司のサグデンから、鮭プロジェクトの窓口になるハリエットに会うよう命令される。ジョーンズは、渋々ながらもハリエットと協力してプロジェクトを進めていくことになるのだが。。。

発想が奇抜だ。
「砂漠でサーモンフィッシング?」いったい何なんだろう?
無理そうな話であるが、ちゃんと理屈も語られている。
魚には水が必要と言えば、雨期の雨量は月200ミリ。乾期は石油の調査で帯水層が発見されているのでダムで水を補給できる。ダムは完成している。山岳地帯の夜は20℃以下だし、不可能ではなさそうだ。美人コンサルタントがきっちり調べている。それでもジョーンズはのらない。

無理を承知で中国の三峡ダムをつくった技術者チームや英国酸素会社のチームにも会いたいなんてジョーンズがいうと、すぐに面談を手配する。しかも、富豪に必要経費5000万ポンド要求したら振り込まれてくるのだ。ジョーンズは逃げようにも逃げられなくなった。そんな経緯を見ているのは楽しい。
省に戻ったジョーンズは上司にも脅かされ、本気になっていくのだ。

この映画はそういうプロジェクトが成就するのを楽しむ要素も大きいのだが、基本に流れるのはラブストーリーだ。主人公のジョーンズとコンサルタント会社のハリエットの関係が少しづつ恋愛関係に代わってくる。もともとは単なるビジネスパートナーにすぎないのに身近な存在に代わってくる。
ジョーンズには奥さんがいる。仕事についてはやり手で、ジュネーブに長期滞在することになる。「妻の栄転を喜べないの?」なんて言われながら彼女を送り出す。ハリエットにも付き合いは短い軍人の恋人がいる。でも彼は出征してしばらくたった後に行方不明になってしまう。
2人とも身近に相手がいない状態だ。余計な外野もいない2人はイエメンで懸命にサーモンフィッシングができるように頑張っている。2人があっている時間は一日の大部分を占める。

これで情が移らないはずはないだろう。こんな話、世間一般にいくらでも転がっているかもしれない。
そんなときにハリエットの恋人が戻ってくる。そこからの展開がおもしろい。
エミリー・ブラントのインテリ女性ぶりも悪くない。途中で見せたドレス姿が絶品の美しさだ。

あとはクリスティン・スコット・トーマスのキャリアレディぶりがコメディ的でいい感じだ。
イエメンでサーモンのプロジェクト着手を首相に説得する際に、英国には200万人の釣りマニアがいるからうまくいくと票につながるなんてばかげた話をもちかける。釣りマニアがみんな票を入れるわけがないのにと笑わせる。

イングリッシュペイシェントのころに比べると、最近はきつめの女性役が板についてきた。首相直属の外交関係の官僚といった役だ。現代英国キャリアレディの実像を示しているのかもしれない。家庭や男の部下への対処法が面白おかしく語られる。自分はこんな上司が来るのはごめんだなあ。

映画としてはまあまあという感じかな?

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映画「レッドライト」 ロバート・デ・ニーロ

2013-07-07 07:34:28 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「レッドライト」は今年公開のミステリーサスペンス映画だ。

超能力を扱っていて、面白そうだっけどdvdスルーにしてしまった作品
「リミット」のロドリゴ・コルテス監督が、ロバート・デ・ニーロ扮する伝説の超能力者と超常現象を疑う科学者の息詰まる攻防を描くサスペンス。ロバートデニーロの超能力者ぶりがどんな感じか気になっていたが、意外なオチになるほど。。。

大学で物理学を教えるマーガレット・マシスン博士(シガニー・ウィバー)と助手のトム・バックリー(キリアン・マーフィ)は、超能力の存在を疑問視する立場からその科学的な解明を行なってきた。インチキ霊能力者を看破するなどして、騙されていた人々を救ってきた。
そんなある日、1960年代から70年代にかけて超能力者として一世を風靡した後、約40年にわたり表舞台から姿を消していたサイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)が超能力ショーを再開し、話題を集める。
トムはマーガレットにサイモンの調査を進言するが、彼女はかつてサイモンと対決して敗れた苦い過去から、トムに自制を求める。しかし、トムは忠告を振り切って、単独でサイモンの調査を始める。すると、それを境にトムやマーガレットの周囲で不可解な現象が次々と起こり始める。

最初は騙しのトリックを追う2人の姿を映す。なるほどという場面だ。
ところが、盲目のデニーロがでてくると、彼の実力を示す振る舞いを次から次へと映す。主人公であるマーガレット博士はテレビ討論でも超能力の存在を示す人たちに真向対抗する。それなのに、彼女はあまりシルバーに関わりをもちたがらない。やっぱり凄い超能力者なのかと思わせる。

しかも、マーガレット博士に悲惨な出来事が起きてしまうのでどうなってしまうのか?
残りはトムしか対応できない。ピンチだ。
そこが迷彩なのであろう。

ロバートデ・ニーロがさすがにうまい。超能力者シルバーの卓越した話術、計算ずくの振る舞いや舞台仕掛けをみると本物の超能力をもっているのかと錯覚させる。でも彼って主演じゃないんだよね。シガニー・ウィバーが演じる役柄は好きじゃないけど、彼女自体はうまい。

その秘書役の美女はジョエリー・リチャードソンで、中年だけど気になる存在だ。英国の名女優ヴァネッサレッドグレイヴの娘であれば、きれいなのは当然かな。いまやおばあちゃん役者だけど、60年代半ばにミケランジェロアントニオーニ監督「欲望」でみせたヴァネッサレッドグレイヴの殺人的美貌を思い出す。

でも途中から少しだれるかなあ?
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映画「華麗なるギャツビー」 レオナルド・ディカプリオ

2013-06-16 15:59:38 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「華麗なるギャツビー」ディカプリオ版を早速劇場で見てきました。
1974年にロバート・レッドフォード主演で映画化もされた、米作家F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」を、「ロミオ+ジュリエット」のバズ・ラーマン監督&レオナルド・ディカプリオ主演コンビで再映画化したものだ。

予告編からギャツビー宅で派手に催されるパーティの画像がずっと気になっていた。
映画を見終わって、改めて原作を読み、照らし合わせると、ロバートレッドフォードでの映画化よりも原作に忠実であることがわかる。記憶を再現するために細かくストーリーを追う。

ニックキャラウェイ(トビー・マグワイア)の一人称であることは同じであるが、ここでは心を病んで療養している設定になっている。そして昔を回顧するかのように、今までで一番印象に残る男Jギャツビーの思い出をつづっていく。

1922年ニックキャラウェイは独身の証券マン、ニューヨークの高級住宅地ウェストエッグに住居を構える。ニックはもともとは作家志望だった。海を隔てて反対の同じく高級住宅地イーストエッグにはイェール大学の同級であるトム・ブキャナン(ジョエル・エドガートン)が住んでいる。妻デイジー(キャリーマリガン)はニックのいとこであった。夫妻に招待されて夕食を共にするところから話は始まる。そこにはデイジーの友人でプロゴルファーのベイカーも同席していた。
ベイカーとの話題の中で、海を隔てて反対に住んでいると言ったら、ギャツビーの家の方ねと言われる。ニックの隣の家ギャツビー宅では派手なパーティが開催されていたが、特に関わりはなかった。ギャツビーという名を聞いて一瞬デイジーが反応したが、別の話題に代わって話がそれた。

夫トムに、夕食時電話が何回もかかってくる。どうも女性からのようだ。トムの浮気症にはデイジーも参っていた。2人の関係は冷え切っていた。トムはニックを誘い、マンハッタンで酒を飲もうかと誘い、2人は出かける。トムは自動車修理工のウィルソンの妻マートル(アイラ・フィッシャー)と浮気をしていた。街でおちあい、その場は狂乱のパーティとなる。

ニックの元に隣のギャツビーからパーティへの招待状が届いた。ギャツビーのパーティにはニューヨークの名士をはじめ、大勢の人が来ていた。お城のような大邸宅はすごい熱気である。パーティに来ている人は正式に招待を受けているわけではない。ニックはその中の唯一の招待客だ。ウェイターにそのことを話しても、誰もギャツビーのことを知らないようだ。知り合いもなく、一人で酒を飲みながらたたずんでいると、ベイカー女史に会った。2人で話をしていて、ギャツビーってどんな奴なのかと会話していると、目の前にギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)が登場する。さっそうとした姿を見せてくれ、その場で一緒に遊びに行こうと誘われる。その時ベイカー女史はギャツビーに個別に呼ばれていた。

ニックはその後ギャツビーから何度も誘いを受ける。謎だと言われるギャツビーのキャリアを自ら語ってくれた。「富豪に生まれ、大学はオックスフォード大を出た。第一次大戦では活躍して特別に功労賞を受けている。」しかし、ニックはその言葉にしっくりこなかった。マンハッタンの床屋の地下にある秘密クラブでランチに誘われた。そこで出会ったギャツビーの友人は有名な1919年のワールドシリーズの八百長事件に絡んでいるというではないか。ギャツビーへの謎は高まるばかりだった。

その後ベイカー女史とニックはあるティーパーティで会った。そこでベイカーから意外な話を聞かされる。第一次大戦に将校として参加したギャツビーは、有能な将校を集めたパーティでデイジーと出会っていたのだ。二人はたちまち恋に落ちる。その後戦争に出征して二人は別れ別れになったのだ。その話を聞いた後帰路についたニックは家の前でギャツビーと会った。ギャツビーの頼みを聞いて、デイジーを招きニック宅で会うことを約束する。

ギャツビーがいるとは教えず、ニックはデイジーを自宅に誘った。雨の降る午後だった。ギャツビーは落ち着かない。もう来ないんじゃないかとびくびくしている。そうしているうちに車が到着した。恐る恐る目を合わせるギャツビーだ。2人は再会を喜んだ。そしてギャツビーの豪邸にデイジーを誘うが。。。

ついついレッドフォード作品と比較してしまう。

ニックの一人称は前回と同じだが、彼を療養所に入れるという所が原作にもない設定だ。
結局ニックは世界恐慌の影響で証券不況により職を奪われるとする。心も病んでいるようだ。でもこの後1929年10月の株価大暴落までは7年もある。ダウ平均は1921年にいったん底をつけたあと、1922年の約$80ポイントが1929年に$380と5倍近くアップする。しかも、その7年間大きな暴落がなく上昇する。もともと育ちのいい証券マンのニックなら、その7年の内に普通に結婚すると考えておかしくないだろう。家庭があればもっと違う環境にあるはずだし、ニックが落ちぶれるという設定はどうかな??違うなと思う。ちなみにこの小説の発表は1925年だ。

ギャツビーが運転する黄色の車を思いっきり全速力で街中を走らせる。タイムズスクウェアのCG映像はすばらしいし、マンハッタン上空やウェストエッグからイーストエッグを俯瞰する映像も前作にはない。これ自体も効果的だと思う。トムとデイジーの自宅は前作よりも豪華に映す。前の作品よりもトムのリッチぶりを顕著に見せ、ギャツビーが言う「ポロ選手」のセリフを効果的にする。
パーティの描写は豪華絢爛としか言いようにない。ド派手に音楽が鳴り響く。ジョージガーシュインの「ラブソディーインブルー」が高らかに響き、人々は酒を味わい踊り狂い、酔った勢いでプールの中に次から次へと飛び込んでいく。外では花火が舞う。これは凄いパーティの描写だ。期待を裏切らない映像は楽しめる。

それに加えて、トムとニックがマンハッタンで夜通し遊ぶパーティの描写がド派手だ。赤に彩られたインテリアの部屋で狂い飲みまくる。このインテリアには目がくらくらした。このあたりではカメラワークも目がちらつくほど激しく変わっていく。でもこの場面はちょっとやりすぎじゃないかという印象をもった。

出演者はおおむねイメージぴったりの配役だと思う。
特にレオナルドディカプリオは育ちがもともと悪いのに、成金のように這い上がっていくというイメージにぴったり合っている。終盤の修羅場でのやり取りでキレる演技は「ジャンゴ」での彼を連想する。アレも凄い迫力だったがこれも狂気に迫る何かを感じさせる。最後のプール映像は映画「サンセット大通り」でのウィリアムホールデンを連想してしまった。
「スパイダーマン」トビー・マグワイアはニック役にピッタリだ。彼のもつナイーブな雰囲気が合う。アイラ・フィッシャーの浮気相手役も適役、前のレッドフォード版のマートル役には金持ちが好きになるような何かを感じさせるような女には見えなかった。ちょっと違うと思ったのがベイカー女史だ。これは前作の方が断然よい。バカでかいファッションモデルを連れてきたというだけという印象が強く、適役に見えなかった。

前作では女のずるさを顕著に感じたけど、今回はそうでもない。
何でだろう。
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映画「ローマでアモーレ」 ウディアレン

2013-06-12 19:56:33 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ローマでアモーレ」はウディアレンの新作だ。早速劇場に見に行った。
といっても欧米での公開は2012年の夏、一年遅れとはずいぶんと遅い公開だ。

今回は最近のウディアレン監督作品よりもコメディ的な色彩が強い。
しかも、久々に出演者として御大登場だ。
年老いてしまったが、まだまだ創作意欲の強い御大には恐れ入る。
欧米の超豪華俳優を仕切りながら美しいローマを背景にがんばる。

ロンドン、バルセロナ、パリと年老いてからのウディは海外で自分の余生を楽しんでいるように思える。
名作「ローマの休日」もローマ観光案内の様相を呈していたが、ここではそれ以上に名所を紹介し、しかも色づいた映像が美しい。

ウディの毎度の早口言葉は、さすがに年老いて少し衰えを感じる。
その分登場人物に早口の男をそろえる。
ソーシャルネットワークでフェイスブックのザッカーバーグを演じたジェシー・アイゼンバーグ、「ライフイズビューティフル」のロベルト・ベニーニはいずれも早口だ。
早口言葉をしゃべる男の台詞にはウディアレンの思いが隠されているのはいつも通りだ。
それに加えて花を添えるペネロペ・クルスもボリューム感たっぷりのバディでゾクゾクさせてくれる。

4つのエピソードから出来ている。

1番目のエピソード。
ニューヨークからローマに観光でやってきた若い女性へイリー(アリソン・ピル)は、通りかかった若者ミケランジェロ(フラヴィオ・パレンティ)に、スペイン広場への道を尋ねる。そんなきっかけでふたりは恋に落ち、婚約する。

娘のヘイリーに会うために、元オペラの演出家で父親のジェリー(ウディ・アレン)と、母親フィリス(ジュディ・デイヴィス)がローマにやってくる。 ジェリーとフィリスは、ミケランジェロの家を訪ねる。ミケランジェロの父親ジャンカルロ(ファビオ・アルミリアート)は葬儀屋を営む一方、オペラを唄うのが好きだ。招待された自宅でジャンカルロがシャワーを浴びながら歌うのを聞くと、すばらしいテノールだ。これを聴いたジェリーは、人間は風呂を浴びているときが一番くつろいでいることに気づき名案を思いつく。

このバカげた発想がニクイ。男性テノールの独奏会をやるときに、シャワー浴びながら歌うのだ。しかも、オペラの一シーンを演じる時も同じようにシャワー浴びながら歌わせる。これは笑うしかない。

2番目のエピソード。
若いカップルアントニオ(アレッサンドロ・ティベリ)とミリー(アレッサンドロ・マストロナルディ)がローマ、テルミニ駅に到着する。ローマでの仕事を紹介してもらうべく、ふたりの泊まるホテルに、アントニオの親戚が訪ねてくることになっている。ミリーが美容院に出かける。アントニオの部屋に、大胆な服装を着飾るアンナ(ペネロペ・クルス)が入ってくる。どうやら、部屋を間違えたらしい。そこに親戚がやってくる。アントニオはあわてて、妻のミリーだと、親戚に紹介してしまう。

美容院が見つからないミリーは、映画の撮影現場に出くわす。ひいきの俳優サルタ(アントニオ・アルバネーゼ)がいる。速攻でミリーをランチに誘う。そのレストランで、夫のアントニオたちのグループとあってしまう。

ミリーを演じるアレッサンドロ・マストロナルディはなかなかの美形である。俳優サルタは単なるハゲオヤジだ。そんな男を一流のプレイボーイにして絡むやり取りも笑える。

加えて娼婦アンナのペネロペ・クルスの存在感が凄い。普段はここまでボリュームを感じないが、ここでは往年のソフィアローレンを思わせるダイナミックなバディで世の男性をわくわくさせる。上流のパーティに参加した時に、至る所で政財界の大物に次から次へと「アンナ」と声を掛けられる。「アンナ」でなく「ミリー」よとオジサン達に言う。次から次へと「明日は来れないか」と誘われるシーンも面白い。

3番目のエピソード。有名なアメリカの建築家ジョン(アレック・ボールドウィン)は、30年前に住んでいた界隈を散歩している。若いアメリカ人男性で、建築家志望のジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)が、ジョンを見て話しかける。「ジョンさんでは」と。ジャックは、かつてこの近くに住んでいたというジョンを、家に招く。同居しているサリー(グレタ・ガーウィグ)とジャックを見て、ジョンは30年前の自分と重ね合わせる。

そこに、サリーの親友で、女優志願のモニカ(エレン・ペイジ)がやってくる。やがて、ジャックは、モニカに魅せられていく。ジョンは、過去の経験から、ジャックに「やめておけ、その女は嘘つきだ」と忠告するが。。。。

アレック・ボールドウィンのここでのセリフはいかにもウディのセリフである。イメージの違う2人だが、ウディが思っていることを代弁させる。教養人のふりをしている男女を痛烈に批判する最近のウディ映画でよくあるパターンだ。

4番目のエピソード。平凡な中年男レオポルド(ロベルト・ベニーニ)は、妻と子供がふたりで、つましく暮らしている。ある日、突然、たくさんの取材陣に取り囲まれて、テレビ局に連れて行かれる。ニュース番組のインタビューで朝食は何を食べたのか聞かれる。「トーストふた切れ、カフェラテも」と答えるレオポルド。なぜか、たちまち有名人になったレオポルドは、町を歩けばサインを頼まれし、まるでセレブのような生活を送ることになるが。。。

映画を見ていて、何でこの男マスコミの取材をされるんだろう。肝心な場面を見落としてしまったのかと一瞬錯覚してしまう。そうではない。訳もわからず、有名人になってしまうのである。ファッションモデルや女優までが次から次へと寄ってくる。それもボリュームたっぷりのイタリア美人だ。

戸惑っている彼もまんざらじゃなさそう。そういう日々が続いた後に、別の男にマスコミのターゲットが移る。そして誰にも注目されないようになる。そこからがおもしろい。ロベルト・ベニーニが有名人だった自分を売り込むかがごとく、街でパフォーマンスをする。この演技はさすがロベルト・ベニーニというべき凄いシーンだ。高いレベルの演技に驚く。勝間和代女史の「有名人になること」を連想した。

4つのエピソードを一つにまとめるわけではない。別々の4つのストーリーの中にウディアレンのコメディアイディアが充満されている。1つの映画としての完成度が高いというよりもウディアレンの才能を楽しむ映画だろう。
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映画「オブリビオン」 トムクルーズ

2013-06-06 20:09:46 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「オブリビオン」を劇場で見た。
もともとSF系はあまり見ない方だが、トムクルーズ作品なのでともかく行っておこうかと。。

練られた映像は最新式の映像技術をふんだんに使い迫力がある。
スタートからリズム感がある展開だ。映像も鮮明で近未来世界を楽しんでいたが、途中からラブストーリーの色彩が強くなる。
人間の感情があらわにされる。
破壊された世界の中、ロッキー山脈のそばにあるような小さな湖の湖畔が出てくる。そこにコテージがある。トムクルーズがレコードの針を落として、曲が流れる。アコースティックギターの音色で一瞬CSN&Yを連想する。いやそうじゃない、JPジョーンズのベースだ。すぐにツェッぺリンⅡのB面3曲目「ランブル・オン」だとわかる。ロバートプラントの声が心に響く。アナログな世界を混ぜるところに奥深さを感じる。
そういえば映画「世界でひとつのプレイブック」でも同じアルバムから「What Is and What Should Never Be」やってたね。あれだけヒットしたアルバムだから親しみを持つ人多いのかも?


西暦2077年が舞台だ。
60年前に起きた異星人スカヴとの戦争により地球は荒廃していた。月は破壊されている。核戦争の影響もあり、立ち入り禁止の場所も多い。人類の大半は、土星の衛星であるタイタンへの移住を余儀なくされていた。
そんな中、地球に残ったジャック・ハーパー(トム・クルーズ)とヴィクトリア・オルセン(アンドレア・ライズボロー)は、上空から水を核融合する施設を監視する日々を送っていた。ジャックは任務の都合上記憶を失わされていた。それでもときおりみる夢で見る幻影に1人の女性が映っているのが気になっていたのだ。

ある日パトロールの途中で彼は、墜落した宇宙船の残骸から謎の女性ジュリア・ルサコヴァ(オルガ・キュリレンコ)を助け出す。なんと彼女はジャックがときおり夢で見るマンハッタンであう女性にうりふたつだった。彼女はなぜかジャックの名前を口にする。その記憶は確かなものではない。
そんな時、2人は突然何者かに捕えられしまう。異星人なのであろうか?ジャックは連れて来られた先でマルコム・ビーチ(モーガン・フリーマン)と名乗る男と出会う。驚くジャックに、マルコムは「ある真実」を告げるのであるが。。。

SF系の興味がないので、その方面の批評はできない。
「2001年宇宙の旅」との比較をする人もいるがどうでもいいことだ。
ジャックがパトロールに使うヘリコプターみたいな偵察機も、目玉ロボットのようなパトロール機をみて映像を楽しんでも何ともいえない。
地球全部が廃墟になっているときに、どうやって航空機を作ったり、最新の機械を作ったり出来るのかな?食料はどうするのかな?
むしろ現実的なことを考えてしまって不思議に思っていた。
そういう機械系装置だけでなく、この映画ではクローン人間がテーマになってくる。
ジャックがその分身と争う光景は異様だ。
でもこれはありえないことはないかもしれない。近未来に問題になってくるような気がする。

そういう虚実の世界をはぎ取ると、ベースはあくまでラブストーリーだ。
映画が始まってしばらくは男女2人と2人が通信で更新するオバさんだけだ。
2人は常に一緒だ。記憶も消されている。
男と女ずっといれば情も移るだろう。プールで見せる2人の戯れは優雅なものだ。この映像も幻想的で美しい。

ところが、一人の女性が現れる。美しい女性だ。
相棒に近い存在かもしれないと、警戒心を抱くヴィクトリア。これは嫉妬と言ってもいいようだ。平安時代の古典を読んでいても、人を好きになる気持ちは変わらないことが読み取れる。60年後もいろんなイノヴェーションが生まれても恋愛の心は変わらないはずだ。同様に「女の持っている最大の悪徳は愚痴と嫉妬の心」というのも60年たっても変わらないだろう。

ラブストーリーに変化がもたらされる。
そこに敵だか味方だかがよくわからない存在が映画の中に放り込まれる。
そして平穏無事にはストーリーが進まない。我々を幻惑の世界に導く。

謎の女性ジュリアとの記憶を取り戻すために、エンパイアステートビルに向かう。すでに廃墟になっていた。
その昔、例のオープンエアの展望台から2人はバッテリーパーク側の景色を楽しんだことがあったのだ。
映像では911で崩壊したビルの跡に、新しいビルが建っているような光景になっている。

そこで気づいた。
そうか!
ついこの間映画の宣伝にトムクルーズが来日して、タモリの「笑っていいとも」に出たことがあった。
2人でトークをした後で、会場百人に対して恒例の質問をする。
そこでのトムからの質問は
「この中でエンパイアステートビルの展望台に上ったことある人は?」
トムクルーズは「10人」としたら、電光掲示板が示す数字はなんと「10人」
おっとこれはビックリだ。通訳として隣にいた戸田奈津子さんと一緒にストラップもらっていた。
うれしそうだったなあ。そのあと会場の女性に握手しまくっていた。さすが千両役者だ。

そういうことだったのね。エンパイアステートビルの質問がでるのは。
自分自身も子供の頃からの憧れで、初めて行った時の感激は忘れない。
今はなき貿易センタービルをバックにした写真は自分のお宝だ。

先ほどのコテージではもう一曲流れる。プロコルハイムの「青い影」だ。
またまたアナログな曲だ。
これには思い出がある。最初小学生の低学年に、お兄さんがいる同級生に教わった。
ビートルズを教えてくれた友人でもある。でも小学生の自分には全然良く思えなかった。
そして月日がたち高校生になった。当時ディスコではダンスの途中でチークタイムがあった。
70年代半ば過ぎにはつのだひろ「メリージェーン」、スタイリスティックス「誓い」と並んで
「青い影」がチーク時によく流れていた。
最初よく思えなかったこの曲も何度も聴くうちに気に入ってきた。
そして今回だ。
あえて緑あふれるコテージと昔の曲をミックスさせるところが気に入った。


すっかり脱線したが、ミッションインポッシブルばりのアクションもありそれなりに楽しめた映画だった。

最後は「何でいるの??どういうことなのかな?」という感じだったけど
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映画「96時間 リベンジ」

2013-05-30 19:12:02 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「96時間 リベンジ」は今年正月明け公開のアクション映画だ。

前作「96時間」では、リーアム・ニーソンがパリを舞台に強烈なアクションを見せてくれた。今回は犯罪組織から復讐を受ける。リュックベッソン製作らしさがにじみ出るスピード感がいい。
歴史あるイスタンブールの雑踏の中で見せるカーアクションはなかなかスリリングだ。


前作でコテンパンにされたアルバニアの犯罪組織が復讐計画をたてているシーンが映し出される。
パリで誘拐された娘を救った元CIA工作員のブライアン。娘のキムに車の運転を教えたりして、日常を過ごしていた。
どうも娘には新しい彼氏が出来たようだ。そわそわする父親の姿を映す。
ある日、元妻のレノーアが再婚相手との関係が悪くなっていることを知り、気晴らしとして仕事のために訪れるイスタンブールへキムと二人で来ないかと誘う。
その後、イスタンブールでの仕事を終えたブライアン。旅行を決めたレノーア達も合流し、家族との時間を楽しもうとする。
そんなある日、ホテルのロビーでキムと別れ、レノーアとバザールを見物しようとした際、ブライアンは誰かに狙われていることに気づく。そして、バザールに向かう途中、何者かに尾行される。一旦、レノーアと別れ追っ手を倒していくブライアン。

だが、レノーアが捕まり人質となってしまう。
レノーアの身を案じて抵抗をやめ、自らも捕まる直前、キムに部屋へ隠れるようにと連絡する。
連行された場所で、キムを誘拐した組織のボスが自らの息子と部下たちを殺された恨みから家族へリベンジすると告げられるブライアン。それを阻止すべく、レノーアの救出とキムの保護という同時ミッションに挑む。


データを見るとなんと3億ドルを超える大ヒットである。
これは凄い!オヤジアクションがこんなにアメリカで受けるなんて、日本との国民性の違いを感じる。

イスタンブールが舞台だ。
「007スカイフォール」の舞台にもなっていたが、あの細い道を追跡しあう姿にはハラハラさせられる。この街とアクション映画との相性は抜群にいい。
歴史上ビザンティウム→コンスタンティノープル→イスタンブールとまさに世界史の中核都市である。
オリンピックで東京のライバルになっているが、大陸諸国からするとどっちがなじみがあるかというと
向こうの方が圧倒的に親しみがあるだろう。ちょっと心配だ。

アルバニアはヨーロッパの移民が絡む映画ではいつも悪の窟扱いを受ける。
今回もアルバニアの犯罪組織という話で、印象悪くするとクレームが来てもいいものだが
何せ滅茶苦茶な国なんだろう。
欧州の最貧国といわれているだけあって、政治も不安定、経済も詐欺師が暴れまわる。
でも文句言わないのかなあ。人がいいのかな?

いずれにせよリーアムニーソンよく頑張るよ。
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映画「ドリームハウス」 ダニエル・クレイグ

2013-05-26 21:46:43 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ドリームハウス」は2011年のサイコサスペンス映画だ。


007の「ジェームスボンド」ダニエル・クレイグが美人女優レイチェル・ワイズと結婚していたとは恥ずかしながら知りませんでした。その2人が結婚するきっかけになったのがこの映画である。
ジャケットをみると、ホラー系の雰囲気が漂う。見てみるとちょっと違う。
終盤は物足りないけど中盤戦の意外な展開にはけっこう驚く。

ウィル・エイテンテン(ダニエル・クレイグ)が出版社を辞めるシーンからスタートする。美しい妻(レイチェル・ワイズ)と二人の娘たちとともに平穏で幸せな生活だ。円満退社で今後も小説執筆に専念しようとしていた。
新しく移り住んだ家で奇怪な話が続く。娘が幽霊らしきものを見たとおびえたり、自宅の地下に侵入した少年少女たちが怪しげなミサを行っていた。驚く主人公

実はこの家で5年前に殺人事件が起きていたことが判明する。しかも、犯人の容疑をかけられたのは殺された家族の父親で、事件後精神を病み、逮捕に至っていないのだという。家族を守るために地元警察に相談するも、まったく相手にされないウィルは、独自に事件の捜査を開始した。5年前の事件の真相を知る隣人のアン(ナオミ・ワッツ)に協力を求めたが。。。。衝撃の事実が判明するのだ。

『ドラゴン・タトゥーの女』『007 スカイフォール』とヒット作が続くダニエル・クレイグからすると、少しテイストが違う。いかにもサイコスリラーらしい展開に翻弄される姿を披露してくれる。普通の家庭人の顔は別人のようだ。表情が若干違う美人女優が2人登場する。レイチェル・ワイズとナオミ・ワッツだ。特にナオミワッツは自分がファンなだけに思わず食い入るように見てしまう。



サイコスリラーの定石通り、ダニエルが予想以上の障害にぶつかる。いつもは不死身のアクション見せるけど、ここでは普通に姿を映す。この映画では起承転結の「承」あたりでその場面が出てくる。わりと早い。おっとどうなるかと思わせる。
でも最後に向かってもっと狂わせると良いんだけどなあ。
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映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」

2013-05-22 17:20:53 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」を劇場で見た。
ずっと気になっていたドキュメンタリーだ。


ニューヨーク・タイムズのカメラマンであるビル・カニンガムを追う。84歳になってもマンハッタンの街に自転車を漕ぎ出し、ファッショナブルな人々の姿を撮っている。
こんな人物がマンハッタンにいたのか!という驚きで身震いした。
期待を裏切らないすばらしい映画である。

ニューヨーク・タイムズ紙の人気ファッション・コラム「ON THE STREET」と社交コラム「EVENING HOURS」を長年担当するニューヨークの名物フォトグラファー、ビル・カニンガム。
ニューヨークの街角で50年以上にもわたりファッショントレンドを撮影してきたニューヨークを代表するファッション・フォトグラファーであり、ストリートファッション・スナップの元祖的存在だ。しかし、彼自身については謎につつまれており、親しい業界人でさえ彼のプライベートを知る者はほとんどいない。そんなカニンガムにリチャード・プレス監督が8年がかりで撮影交渉し、撮影と編集に2年、通年10年の制作期間を経て完成した本作で、カニンガムの知られざる私生活や仕事ぶりが初めて明かされた。

雨の日も風の日もニューヨークのストリートに自転車で繰り出してはファッションスナップを撮り続け、夜になればチャリティーパーティーや社交界のイベントに出かけて行き、ときにはパリのファッション・ウィークにも遠征し撮影する。その鋭いセンスと独自の着眼点が、世界中のファッション・ピープルから注目され、84歳の現在でも現役ファッション・フォトグラファーとして多大な影響を与え続けている存在だ。
(作品情報から引用)


大きなハプニングはない映画だ。途中で謎を持たせて、どんでん返しをするような映画でもない。
でも面白い。ここまで変わった人物は珍しい。日本でいう職人肌だ。

仕事着はブルーの作業着姿だ。音楽の殿堂カーネギーホールの階上にある小部屋に50年以上も住んでいる。狭い部屋には風呂もない。これまで自分が撮り続けたネガや資料が放り込まれている事務キャビネットに挟まれて生活している。
食には関心がない。いつも軽い食事で済ませている。
独身だ。ゲイではないかと疑われるが、その気配もない。恋もしたことがないという。
シンプルな私生活で、ひたすら面白いもの、カッコいい人たちを撮ることに生きがいを感じている。若いアートディレクターがうんざりするほど、執拗にレイアウト変更を要求する。
毎日が楽しそうだ。仕事以外のことには全く無頓着で、しかも無欲だ。

彼は芸術性の高い写真を撮るカメラマンでない。いわゆるパパラッチとも違う。有名人は撮らない。仮にとっても、服を撮るのであって、その人物を撮るわけでない。そこが違う。若い美女だけに焦点を合わせるのではなく、熟女を通り越した老女がファッショナブルに着飾るものまで撮ってしまう。

2つほど感銘を受けた彼の言葉を書く。
「美を追い求めたるものは、必ず美を見いだす。」

「服を見る時のポイントは実際に着る人がいるかどうかだ。。。着る女性がいない服には興味がない。」

思わず聞いてうなった。
検査okで最高の気分で見れた映画だった。
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映画「LAギャングストーリー」 ショーンペン

2013-05-09 05:43:57 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「LAギャングストーリー」を劇場で見た。


ショーンペンの出演作は欠かさず劇場で見るようにしている。
自分の昨年ベスト「きっとここが帰る場所」も彼の作品だ。自分の感覚では、ハズレはない。
今回は1949年のロス警察とギャング集団との徹底対決を描く。
テンポがよく、話もわかりやすい。適度にどぎつくて、ショーンペンのあくの強さをライアンゴズリングのキャラで和らげる。なかなかいける映画だ。

1949年のロサンゼルスが舞台だ。
ニューヨークのブルックリン生まれのギャングのボス、ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)は、麻薬、銃、売春でこの街を牛耳り、さらにはシカゴから西の広い地域の賭博も仕切っている。また、彼の影響力は政治家や警察内部にも深く浸透していた。取り締まることはほとんど不可能だった。
ジョン・オマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)はコーエンの売春窟に潜り込み、コーエンの手下を無理やり収監したが、あっという間に釈放だ。落胆していたところ、市警本部長から密命が下る。それは、少数精鋭の極秘部隊を結成し、ミッキー・コーエンの組織を隠密裏に壊滅せよ、というものだった。
極秘部隊の話を聞き、ジョン・オマラ巡査部長の臨月の妻は激怒した。それを夫がたしなめジェリー・ウーターズ巡査部長(ライアン・ゴズリング)はじめL.A.市警の「はぐれ者たち」による極秘チームが編成された。彼らは警察バッジを外し、法に縛られることなくギャング顔負けの手段でミッキー・コーエンの一味に立ち向かっていく。


「はぐれ刑事」たちはコーエンの家に盗聴器を仕掛け情報をキャッチする。そしてコーエンが牛耳る賭博場,競馬のノミ屋をめちゃくちゃにしだす。最初コーエンもシカゴなどのマフィア組織の仕業と読んでいた。自警団かギャング同士の争いと見せかける。


そのたびごとに怒り狂うコーエンは、部下は始末し、自分が賄賂をあげた警察官はボコボコにする。それにしてはおかしい。徐々に真相をよんでいくようになるが。。。。

昨年はオカマのロッカーを演じていたショーンペンが強面のギャングのボス役に180度急転換する。暴力的な性格もうまく表現される。政治家、警察に対して賄賂で買収をして、悪いことをしても捕まらないギャングだ。部下たちがしくじると全く容赦なく消していく。怖い怖い。
映画はじまっていきなりリンチにする男の手と足をしばり、前後にある車それぞれに鎖をつなげ別方向に引っ張って身体を分断するという凄いシーンを見せていく。そのあとの処刑?も容赦ない。
ショーンペンの映画ではその背景、美術が凝られていることが多い。当然1949年のロスの模様を再現したこのセットは見事だ。

ジョシュ・ブローリン演じる巡査部長は軍隊帰りでケンカ好き、コーエンのアジトにも涼しい顔をして潜り込み子分たちをボコボコにする怖いもの知らずだ。しかし、どんなに頑張っても政界や法務、警察に通じているコーエンにはかなわない。今回は思う存分ボコボコにできるのがうれしくてしかない。

危険な業務に従事することになった巡査部長に代わって仲間たちを選んだのが奥さんというのがミソだ。人事考課のいい人だと買収されてしまい、ちょっと勇み足気味の警察官を選んだほうがうまくいくと奥さんがアドバイスするのはなるほどと思った。
自分のイメージではアンタッチャブルというより「ディックトレイシー」の主人公にダブる男だ。

近年の活躍が目立つライアン・ゴズリングも無難にナンパ系巡査を演じていた。男前の彼はしっかりコーエンの情婦グレイス(エマ・ストーン)と付き合いだす。男臭い映画に彼女が色を添える。「アメイジング・スパイダーマン」の時とは違う大人の色気だ。
どちらかというとラブコメ系の色男のイメージがあったライアンも「ドライヴ」のハードボイルド系キャラが定着してきた。今後この手の映画の出演が増えてくるであろう。

三者三様、それぞれに見せ場がある。
同時に他の4人にも見せ場を与えている。特に無線の傍受にあたるオタク的な役柄がいるところが変化球だ。見ようによっては黒澤の「七人の侍」を彷彿させる。同じような時期を描いた「LAコンフィデンシャル」との違いは、そういう役割を持たせる男たちが増えることかな。

楽しめる映画である。
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映画「バッドアス」 ダニー・トレホ

2013-05-08 05:38:31 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「バッドアス」は2012年公開のアメリカを舞台にしたバイオレンス・アクションだ。

バスの中で若いチンピラ風の男にからまれた初老の男が逆に素手で殴り倒して撃退し、その映像が YouTubeにアップされ話題騒然となった実際の事件があった。
それをもとに映画がつくられた。

正義の味方って映画にしやすい。スパイダーマンだってバットマンだってみんなそうだ。彼は覆面をかぶっているわけではない。素顔のままで悪党に立ち向かう。

まずは主人公フランク・ベガ(ダニー・トレホ)を紹介する。
ハイスクール時代はアメリカンフットボールの名選手で将来を約束した恋人もいた。出征したベトナムではジャングルで6年戦った後、捕虜になってベトコンたちから散々な目にあう。電気椅子攻めにも耐えた。しかし、帰還したら恋人は結婚して、なろうと思った警察官になれず、職もなく食うに困って街でホットドックを売りはじめたらそれが本職になってしまう。
でも今は商売敵も多く、うまくいかない日々が続く。

ある日、彼の人生を一変させる事件が起こる。バス内で2人組の若い不良男に絡まれている老人がいた。男の一人が立てつく老人を殴ろうとしたら、横から老人を助け2人組をボコボコにする。その映像がネット画像にアップされ、フランクは「バッドアス」として一躍街の英雄になる。


フランクには黒人の親友がいた。一緒にいたフランクの家からタバコを買いに出て2人組の悪党にからまれ殺される。親友は市長の汚職にかかわる重要なデータを持っているので狙われたのだ。事件の後、警察はまともに捜査しない。フランクは苛立ちを覚え2人組を自ら探そうとする。
現場で写真付きのペンダントをみつける。写真の女性を割り出し、犯人の周辺に近づいていく。犯人の周辺にはマフィアが絡んでいて大騒ぎになるが。。。

単なるオヤジが正義の味方になり、悪党に素手で向かう姿はかっこいい。
超能力を持っているわけでもない。単に喧嘩が強いだけである。
治安の悪いアメリカではこういう人が一気にヒーローになってしまう。そこが日本と違うところだ。
傑作「ヒストリー オブ バイオレンス」を連想した。あの映画では主人公は以前はマフィア系で再度狙われるという設定だったが、今度は素人だ。

相手はマフィアである。そう簡単には攻略できない。この手の映画の定石通り、逆襲を受ける。そこで主人公はむごいことをやる。
黒幕を教えろとばかり、悪党の一人の手をもって、ディスポーザーに突っ込むのだ。これは強烈だ。
日本はあまり普及していないが、アメリカの家庭では生ごみ処理に必須だ。口を割らないとディスポーザーに何度も手を入れる。当然血まみれだ。もちろん模擬なんだけど、えげつない。

あとは大型バスのカーチェイス、これも豪快だ。猛スピードでカーブを曲がると、ケツがふらふらだ。街の中を追いかけ合って、ビルの中に飛び込んだりして2台ともぐちゃぐちゃだ。これもグロテスクだ。

こういう見せ場を作りながら、90分を走り抜ける。
普通に娯楽として見る分にはいいんじゃないといった感じだ。

バッド・アス
普通の親父がいきなり英雄に
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映画「リンカーン」 ダニエル・デイ=ルイス

2013-05-03 14:27:15 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「リンカーン」を劇場で見てきました。

いきなり南北戦争の戦闘場面が出てくる。これは単なる銃撃戦でない。それぞれの兵士が肉体を使った格闘をしている。もはや19世紀半ばで中世のような戦いをしているのか、まずそれに目をひく。

子供のころにリンカーンの伝記を読んだことがある。誰しもが読んだことだろう。彼の名前を聞くと、奴隷解放、南北戦争、暗殺の3つのキーワードがすぐさま連想される。リンカーンの伝記はその3つが基調なのだ。今回ダニエルがオスカーを受賞した事実以外先入観なく映画をみた。

ちょっとイメージが違った。
苦学して大統領になったその人生が語られるわけでない。奴隷が強制労働されている姿もない。
1864年大統領選挙に再選され、奴隷解放のため憲法改正しようと下院可決に向けて懸命に奮闘する姿だけを映す。それはそれでよかったと思う。彼の人生すべてに焦点を合わそうとするとどうしても内容が薄くなる。アメリカ史で学んだ固有名詞ゲティスバーグ、ジェファソンデイヴィスなど会話に出てきて、北軍グラント将軍、南軍リー将軍も出演するが存在感はない。冒頭以外は戦闘場面は少ない。ただひたすら憲法改正に執念を燃やす彼の姿を描くだけである。
いろんな批評を見ると、性格描写ができていないという人がいるが違うと思う。ダニエルデイルイスの演技を通じて、リンカーンの苦悩が我々にあらわにされた。彼のアクションで我々が知らなかった性格がよくわかる。リンカーンになりきっている。さすがプロ中のプロと思わせる映画である。


1865年1月、エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が大統領に再選されて、2カ月が経っていた。南北戦争は4年目に入り、大勢は大統領が率いる北軍に傾いていた。リンカーンはすぐさま戦争を終結させるつもりはなかった。奴隷制度に永遠の別れを告げるため、合衆国憲法修正第十三条を下院議会で批准する前に戦争を止めるわけにいかなかった。上院では可決できた後下院での通過が必要だった。
リンカーンは国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)を介して、下院の議会工作を進めるべく指示する。同じ共和党の保守派プレストン・ブレア(ハル・ホルブルック)を使って党の票をまとめても、成立させるためには20票足りなかった。リンカーンはあらゆる策を弄するように命じ、スワードはW.N.ビルボ(ジェームズ・スペイダー)をはじめとするロビイストを駆使して、敵対する民主党議員の切り崩しにかかる。

奴隷解放急進派のタデウス・スティーブンス(トミー・リー・ジョーンズ)は状況をじっと見守っている。

リンカーンは長男のロバート(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)とはぎくしゃくしていた。リンカーンの妻のメアリー・トッド(サリー・フィールズ)の強硬な反対を押し切って、ロバートは正義感で北軍に入隊しようとする。リンカーンは息子を戦争で亡くしている。父としては長男を戦場に行かせたくなかったがやむを得なかった。
大統領周辺による多数派工作が進む中、成立は微妙な状況だった。リンカーンは1月25日、下院議会に合衆国憲法修正第十三条に提出するが。。。

「ギャングオブニューヨーク」や「ゼアウィルビーブラッド」でのダニエルデイルイスは荒れ狂う野獣のようである。その演技を連想すると若干違う。このころの大統領は常にさまざまなことに悩まされていたのだ。終戦のタイミング、法案の成立、妻や息子との葛藤など。波状攻撃で死ぬ直前まで落ち付かなかった。大統領としての権限で一部激しく主張する場面もあるが、あとは冷静沈着である。リンカーンの性格が温和だったというのがよくわかる。そして、ダニエルデイルイスは徹底的にそれを研究していたと思われる。

あと抜群にうまかったのは妻役のサリー・フィールズだ。南部出身と言われる妻はある意味出しゃばり女だ。周辺の議員に絡むときに示す強い意志ばかりだけでなく、母として夫アブラハムが息子を戦場に送らないように懸命に訴える姿を演じる部分を通じて妻の性格も浮き彫りにされた。

民主党の反対派の論点はもし奴隷制を止めたら、400万人に及ぶ黒人奴隷が解放されてしまい、白人の雇用も圧迫されるのではないかということだ。なるほど、その影響はあるけど人道的には違うよね。
自由貿易、保護貿易をめぐる南北の対立の話は知っていたけど、北軍側でこんな権力闘争があるとは知らなかった。反対派を口説くのは職を与えることだった。民主党議員は選挙で敗れ、職を失う可能性すらあった。そこを突いた共和党の面々は彼らにポストを用意した。なるほどうまいやりかただ。勉強になった。

議案が通るか微妙な状況で、多数工作で揺れ動いた議員が次々に法案に賛成する。反対演説をした議員までが賛成に回る場面は爽快な気分になった。
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映画「ジャッキー・コーガン」 ブラッド・ピット

2013-05-02 05:31:30 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ジャッキー・コーガン」を劇場で見た。

ブラッドピット主演の殺人鬼というと、興味を覚えさせるのでみたけど、これほどつまらない映画も珍しいなあ。普通だとブログアップしないんだけど、みんな見に行ったらたぶんがっかりすると思うので、あえて取り上げる。

刑務所から出所したばかりの若者フランキーと犬泥棒をして生計を立てるイカレた男ラッセルは、獄中で知り合った男ジョニーから持ちかけられた強盗計画を実行に移し、大金を奪うことに成功する。

ターゲットとなったのは雇われ支配人マーキーが運営する犯罪組織の賭場だが、彼らには組織の追跡を逃れる勝算があった。

組織の連絡員、通称"ドライバー"(リチャードジェンキンス)は凄腕の殺し屋ジャッキー・コーガン(ブラッド・ピット)に事件の解決を依頼。マーキーの自演を疑っていた組織は彼を痛めつけて犯行を自供させるつもりだったが、ジャッキーは彼を殺すべきだと言ってゆずらない。そこにはジャッキーならではの哲学が存在した。

強盗を成功させ浮かれるフランキーとラッセル。しかしふとしたことから彼らの犯行が組織にバレてしまう。 依頼人の"ドライバー"にジャッキーは言う。「おれは標的を優しく、殺す。」
ついにマーキーの殺害を実行に移すジャッキー。
マーキーは自分に危険が迫っていることを、まだ知らない。
ジャッキーは強盗の犯人たちをジワジワと追い込んでゆく。
金に狂ったギャング、エージェントの背後の影、同業者たちの思惑と裏切りが複雑に絡み合った時、ジャッキーが辿り着いた結末とは・・・。
(作品情報から引用)

思わず作品情報引用したが、映画のストーリーを文面にしづらい。こんなことめったにない。
登場人物が常にらりっているような奴ばかりで、不愉快な感じにしか見えない。それに加えて、わけのわからないことばかりしゃべっている。そのセリフが不必要に長い。タランティーノの作品で似たような展開のものがあるが、それと比べてもまさに意味不明だ。長いセリフの間についウトウト。。。

ジャッキーがマーキーを殺害するシーンにはさすがにうなる部分も少しあるけど、それ以外は??
主人公ジャッキーに困難が何もない。普通であれば、ゴルゴ31でも絶体絶命のようなシーンがある。それで見るものをヤキモキさせるんだけど、要は簡単な仕事にしか見えない。終わる時これで終わるの?と思ってしまう映画あまりないのでは。
他の映画見ればよかったと反省した。


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