映画とライフデザイン

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映画「最強のふたり」

2013-04-07 10:25:39 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「最強のふたり」は実話に基づくドラマ仕立てのフランス映画

これは日本でもヒットした。
関心はあったが、ポスターの車いす姿を見て映画の筋を誤解してしまった。偽善的な同情を誘うような展開と思ってしまったのは失敗だった。
とりあえず見てみようかと見始めたら、いきなりスポーツカーを超高速で運転する黒人が映る。横には身体障害のフィリップが座る。アースウィンド&ファイアーの「セプテンバー」が流れる中、並みいる車を追い抜く。ところが、後ろにはパトカーが。。。懸命に逃げて捲ききったと思ったら、目の前と後ろにパトカーがいる。黒人主人公が車の外に出された後、振る舞う狂言が最高だ。
「俺はこの身体障害者が急病になったので、急いでいるんだ。俺を逮捕しようものならこいつは死んでしまうぞ」と警官を脅かし、助かる。
これを見て何か違うんじゃないかと、映像を食い入るように見始める。
バックにはジョージベンソンをはじめとして、ブラックテイストの音楽が続く。黒人主人公のパフォーマンスは笑うしかない。お互いの厚情に気持ちがほんのりするが、涙がでるような映画ではない。
後味がすっきりとした良い映画だ。

ひとりは、スラム街出身で無職の黒人青年ドリス。もうひとりは、パリの邸に住む大富豪フィリップ。何もかもが正反対のふたりが、事故で首から下が麻痺したフィリップの介護者選びの面接で出会った。他人の同情にウンザリしていたフィリップは、不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てというフザケたドリスを採用する。その日から相入れないふたつの世界の衝突が始まった。クラシックとソウル、高級スーツとスウェット、文学的な会話と下ネタ──だが、ふたりとも偽善を憎み本音で生きる姿勢は同じだった。
互いを受け入れ始めたふたりの毎日は、ワクワクする冒険に変わり、ユーモアに富んだ最強の友情が生まれていく。だが、ふたりが踏み出した新たな人生には、数々の予想もしないハプニングが待っていた。。。

介護士として元々面接に通ることは一切考えていない。
ただ、失業手当支給申請用の不採用の印をもらいたいだけだ。それだけに、採用する主人に対する言葉も好き勝手なことを言う。品位はまったくない。それなのに自分と正反対の何かを感じて採用してしまう。
豪華な個室に居住して、隣室にあるご主人の面倒をみるということだ。しかも、介護の内容は下のお世話もふくんで何でこんなことまでするんだという所からスタートだ。やったことないことばかりだ。
周りは彼を雇ったことに驚く。前科があることをこっそりもらす人もいるが、主人は一向に気にしない。
そうしていくうちに少しづつ2人の間に友情が生まれる。

2つばかり印象深いシーンを

画廊で抽象画を主人フィリップが購入しようとしている。白いキャンパスに赤い絵の具だけが塗っているだけの絵だけだ。高価な購入価格を知り、ドリスは自分で絵を描いてみようとして、同じような抽象画を描く。その描いた絵をなんと主人が1万ユーロもの値で売ってしまうのだ。フィクションとはいえ、この展開はありそうだ。高価なものって、普通の人が売ろうとしても二束三文にしかならないが、高貴な人が売ろうとすると意外にも買い手がいるものである。このご主人、詐欺師の素質があるのかもしれない。

その日はフィリップの誕生日だ。弦楽のアンサンブルを呼んでいる。終わり際、ヴィヴァルディ「四季」の夏を演奏してもらおうとする。横にはドリスがいる。この2人のやり取りがおもしろい。
「四季の夏」を聞いてどう思うかい?といわれて「踊れないと何も感じない」という。
そのあとクラッシックの名曲が続く。ドリスは「これはコーヒーのCMだね」と言ったり、バッハの曲を聴いて「あの時代のバリーホワイトだな」同じくヴィヴァルディ「四季」の春が流れると、身を乗り出して「これは有名だ」どこで聴いたかというと
「こちらは職業安定所です。。。。2年間お待ちを」と職業安定所の館内放送のバックで流れたという。
これには笑いこける。
などなど笑った後に逆にドリスがアースウィンド&ファイアの「ブギワンダーランド」を流して、踊りまくる。この踊りが実にかっこいい。黒人特有のリズミカルなステップだ。そして初老の使用人たちをフロアにくり出して踊りまくる。この辺りが映画の一番の絶頂であろう。

ドリスの顔がものすごく愛嬌がある。それだけでこっちの気持ちもファンキーになる。
この映画における彼の存在は実に大きい。 

フランス映画なかなかやるねといった感じだ。
以前はインテリ筋大好き、難解な映画といった印象だったが、今はコメディタッチがお上手という印象に変わってきた。あとフランス人のディスコミュージック好きがここでも出ている。コメディタッチの映画「ディスコ」でも70年代後半から80年代にかけてのディスコミュージックを流していたが、ここでも同じ。フランスというとシャンソンのイメージをつい異国の自分は思ってしまうが、実は意外にもブラックミュージックが好きな気がする。日本の40半ばから50後半にかけての往年のディスコ世代もいきなり「セプテンバー」の展開はウキウキしたんじゃないだろうか。
フィンランドの巨匠アキ・カウリマスキがフランスを舞台に撮った映画「ルアーブルの靴磨き」も黒人の移民問題がテーマになっていた。この映画でも同じだ。現地ではかなりの社会問題なのかもしれない。

いづれにせよ予想と違う展開に楽しまさせていただいた。

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