ゴールデン・リタイアーズ

S20年生、後期高齢ゾーン、人生最終コーナー「遊行期」の
徒然残日写真録

121124 土と釉薬と炎と空気と灰との絶妙の統合芸術、登り窯を一昼夜40時間体験!

2012年11月24日 | 趣味と交遊

朝8時、小石原にむけ出発、いよいよ待望の登り窯実習。9時にT窯につくとすでに準備が始まっており、組まれた作業台に成形されたメンバーの作品が並べ始められていた。

けじめとして9時過ぎ朝礼、会長から挨拶があり作業が始まる。固まっている釉薬を水を加えて溶きほぐす作業を手伝う。大きなバケツに10数種類の釉薬が用意されているが底に固まっているのを解きほぐし成形品にかけ流せるようにしてゆく。

夫婦茶碗は艶あり黒、ぐい飲みは艶消し黒、皿は白に決める。まだ底に破水剤(釉薬をはじき、棚板にひっつくのを防ぐ)を塗っていない茶碗と果物皿に筆で塗布する。乾いた成形品を高台をもって、ひしゃくでまず内側にかけ流し、そしてじゃぶっとバケツに2~3秒突っ込み、そして釉薬を落とす。それを板に乗せて、指のあとがついている個所を筆で補整する。釉薬をかける前に紙やすりで成形品の表面をきれいにする作業はし忘れ。あとでネットでみて知る。まあ素材のあらけずり感そのままでいいか。できあがったメンバーの成形品を高さをそろえて3番窯に先輩がそろえてゆく。狭い窯の中での作業は大変そう。

三時半、3つの窯への窯入れが終了。窯焚き神事がはじまる。お酒や供物、塩などが窯におかれ、窯元頭首が火打ち石で点火するはずだったが残念ながら火打ち石器の不調でライターで着火。お盆での迎え火や送り火で炎には神聖な感じがするがこの登り窯でも焼き物の出来栄えはまさに神の領域、よい作品ができるのを祈りつつ薪をくべ続けるしかない。

炉の上にはなぜか沖縄のシーサーがおかれていたがじっと見守ってくれそう。3つの窯のその下にある窯に火がつけられれ大きな丸太が数本奥に入れられていたがこのあぶり工程がじゅうようとかで一晩かけて明朝8時ごろに一番窯が1000度になるように薪を順次いれてゆく。急激に上げ過ぎてはいけないということで交替で仮眠をとりながら続けて行くことになる。

最初は大変な作業になるのかと思っていたが初日は泊まり込みのメンバー6人と窯元の先生一家と飲んだり食ったりしながらワイワイ楽しい雰囲気で時間が推移。出していただいたイノシシや鹿の肉が大変美味で酒もうまかった。それに私は東峰村の星空を撮影するつもりで楽しみにしていたがまことに残念ながらくもり空で何も見えず雲の間から10分ばかり月が見えた程度でがっかり。前の晩は見事の星空だったと聞かされよけいに残念な気分。まあまたの機会に残しておこう。

窯元さんのお宅の立派な岩風呂に入らせていただき久しぶりの熱い湯で非常n刺激的。薪で焚いた風呂というのもすごいね。薪ストーブも大変暖かい。暑いぐらいである。一番窯の23時ごろには400度になっており随時薪がほりこまれる。

1M位の太い薪がほりこまれる。扉を開けた時の熱風がだんだんすごいものになってくる。興奮していたせいか、工房の薪ストーブのきいた部屋でしばし仮眠のつもりが結局ほとんで寝ずじまいで夜をすごす。深夜3時には700度、明け方の6時には900度まで上がっていた。

1000度近くになるとすごいね。炉のなかの炎はまさに渦巻いている感じ。

 

8時、一番窯が1000度になる。これであぶり工程が終わり扉がしめられ、次に一番窯の薪の投入口の煉瓦が取り外され、1250度になるまでこれからは5分おきぐらいで薪が投入続けられる。窯の上に設置されている温度計をみながらの作業。温度計のセンサーは窯の天上部につけられているので実際は1300度くらいまで上げないと成形品が置かれているあたりでは1250度にならないらしい。

先般準備した薪がどんどん消費されてゆく。

10時半ごろには1200度を超えた。陽をあびた窯の上部から煙が立ち込める。シーサーがじっと見守っている。

12時半ごろやっと1250度になる。3つの窯をだいたい4時間づつくらいで1250度まで上げて行くのが基本らしい。深い緑色の織部という釉薬などは上げるスピードが速すぎると緑色がとんでしまうとか。それぞれの釉薬による温度特性があり、なかなかむつかしいところだが予想外の色がでることもあるのが登り窯のおもしろさとか。一番窯の薪の投入口がしめられドベで封印されてゆき2番窯にうつる。このとき2番窯は900度をこえていた。ここでも投入口の煉瓦がとりはずされる。一番窯から炎が上がってきているのがみえる。上の窯になるほど余熱で熱せられているのでここで10分間隔での薪投入となる。

1.5Mくらいの長い薪が4~5本、5~60センチの短い薪が1000度になるまでは奥と手前に2~3本投入、13時半、1000度を超えたあたりから奥に3本、真ん中に2本、手前に4本と投入されてゆく。14時1056度、14時35分1135度、14時50分1150度、15時30分1200度、15時50分1212度、16時20分1235度。このあたりで2番窯の投入口がふさがれ、ドベで密封され、いよいよ我々の作品が入れられている3番窯の薪投入口が開かれる。センサーが2番から3番にセットしなおされ、この時の窯の温度は895度。登り窯最上部で煙突とも近いため排気口の調整がなされる。2番窯同様10分おきに薪が投入され35分後の17時に1000度に到達。19時まで時間をかけて1250度まで上げて行くことになる。5日後くらいから窯出しが可能となるらしいが我々の作品の窯だしと鑑賞会は1週間後となる。さてさてどんな作品が出来上がっているか緊張の瞬間が待ち遠しい。今回は5~6年ぶりの徹夜になったが素晴らしいメンバーの方々とともに貴重な体験をさせていただきました。感謝!!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする