ショップ ダンケ

ドイツ雑貨「ショップ ダンケ」のオフィシャル・ブログ

心の砕ける音 運命の女3

2005-02-23 15:00:00 | 映画&ドラマにハマル!

彼女は、一家をナイフで殺した強盗殺人犯の娘であり、彼女自身も、父親から、虐待を受けていた。

彼女の背中の傷を、耕介が、指でなぞり、このうえもなく優しくキスしたところは、非常に意味のある象徴的なシーンだったということが、後からわかる。

耕介は、彼女を痛ましく思い、自分たちから去った理由にも思いをはせただろう。
それでもなお、兄も、自分も、それぞれの思いで、彼女を愛したことは真実だったと思ったに違いない。

だから、耕介が、やっと早紀が働いているラブホテルを探し当て、また後ろから彼女を抱きしめて、「兄さんは、あなたを愛していました」
そこに、吉岡さんの絶妙のナレーションで、「本当は、僕がそう言いたかった」とかぶる。心憎い演出だ。

でも、もうこの時点で、二人には距離がある。
この恋に、成就というものはない。

「さよなら」を言うために、彼女を探してたと、実際ナレーションがあるのだけど、「うーん、なるほど」と脚本のうまさに舌をまいた。

人生は、多くの場合において、自分の力だけでどうすることもできないことがある。愛する人の存在はなおさら。彼女の生き方を、止めることはできない。

耕介は、彼女を探すプロセスで、自分も見つめなおすことになった。
今ある自分の運命を、前向きに受け入れていくことができたら、それは、「それでいい」ということに気づいた。

かす漬けの重石をとって、桶を置き換える作業を、耕介がする場面があった。
「なんのため?」と早紀に聞かれて「バクテリアが、息ができるように」と
耕介が答えるのだった。

耕介は、重石に押さえつけられるような孤独感をもって生きてきた。
登場人物は、みんな悪い人でもないのだけど、愛情を、うまく表現できなない不器用な人たちなのだ。

早紀は、彼にとって、自分に深呼吸をさせてくれた存在だったのかもしれない。

お互い、もうこれで会わないとわかっている別れの時、早紀のほうは、耕介より吹っ切れた表情をしていたのが印象的だった。京香さんも芸達者。

自分なりの生き方を貫こうと、また赤いスーツケースを引いて歩いていく姿が、たくましくかっこよかった。

救いのある終わり方だったと思う。静かななかに、詩情があり、宝石のような作品だ。カッチイのなかでは、永久保存版だ。吉岡さんの当たり年になる幕開けの作品だね。


心の砕ける音 運命の女2

2005-02-23 13:00:00 | 映画&ドラマにハマル!

耕介は、兄に対して愛情と遠慮がすごくあり、兄が、どんどん、早紀に傾斜していくのを見るのは、内心つらい。

鈴木京香さんが、水原早紀を演じているのだが、この女性が、魅力的でないと、お話はなりたたない。

京香さんは、蓮っ葉な女性を演じつつ、吉岡さんのナイーブさに合わせる女性像を作ろうと工夫したと、特番のインタビューで答えていらした。耕介の誠実さや実直さを見つめているときの年上の女性の表情がよかった。

自分の複雑な過去を耕介に告げはしなかったが、早紀は耕介の内面の痛みを、直感的に感じるところがあって彼女も、また彼を愛したのだ。

後ろから抱きしめるラブシーンが、あんなにステキだというのを初めて知った。(目が、ハートだよん)
あの細やかな切なさは、吉岡さんならでは。本当に壊れ物を抱くかのように大事そうに早紀を、優しく抱きしめる。このシーンの美しさは、吉岡ファンの私(たち)へのサービスかと思うほど(笑)

吉岡さんは、物静かな男性が秘めている情熱のほとばしりと抑制を、極力大げさにならないように抑えた演技から、滲み出していた。うまい!!

兄は、早紀にプロポーズを決意した日に、何者かに殺される。早紀は、姿を消していた。その前の夜、耕介が、早紀に、駆け落ちしてでも「あんたと暮らしたい」とドア越しに、最高のプロポーズを言った直後のことだった。

早紀を誰よりも愛しているのに、兄の死の間際には、耕介が「兄さんのこと愛してるって言ってたよ」と言ってあげるところは、なんで、そこまで兄に対して優しくなれるのだろうと、カッチイにはちょっと不可解だった。

兄へ独特の気遣いするというのが、耕介のキャラクターの特徴なんだよね。
耕介というのは、つらいことも、相手にぶつけるのでなく、自分で抱えて、孤独になっていくタイプ。

彼女を探しに、耕介は、家を出る。
奥さんが怒るのも当然で、常識では考えられない。彼にとっても、今までしたことのない大胆な行動だった。

ドラマは、港町での出来事と、失踪した彼女を耕介が探すストーリーが、交互にはさまれるミステリー仕立てになっていて、その展開に、見ているものは、引き込まれていく。

耕介は、早紀の過去を知るために、東京を歩き回り、核心にヒントを与える弁護士に出会う。知れば知るほど、早紀の過去には、仰天するような事実が待ち受けていた。


心の砕ける音 運命の女1

2005-02-23 00:00:00 | 映画&ドラマにハマル!

またまた吉岡秀隆さんネタです。
「WOWOW ドラマ 心の砕ける音」に、2月20日ご出演!
ファンサイトで、熱く盛り上がっていた作品で、ご好意にあづかり、1日遅れで見る機会を得た。

「半落ち」の佐々部監督、鈴木京香、吉岡秀隆、香川照之と、おりしもアカデミー賞がらみのそうそうたる面々が集まった。

トマス・H・クックの名作ミステリーを、「血と骨」「レディ・ジョーカー」など次々と話題作を手がけてきた鄭義信が、設定を、日本に置き換えて、脚本を担当した。

この作品は、吉岡さんが、大人の役者であることを、見せつけた作品であり、吉岡ファンとしては、誠に嬉しい!
ケッコン!とびびりまくっていた「Drコトー診療所」のコトー先生は、どこにもいなかった!純君を卒業して、こんな大人の男性もやれるようになったんだと感慨深い。

「北の国から」の純君時代をよく知っている佐々部監督は、こういう大人の役をやることで、34歳になった吉岡さんを、次の飛躍のステップに引きあげたいと思ったんだろうな。
吉岡さんが本質的に持っているナイーブで繊細なところを、最大限に引き出してくれて、監督、ありがとう!

とある港町、製造販売をする「かす漬け」屋さんの耕介(吉岡秀隆)は、後妻の連れ子という設定で、その母は亡くなり、父と兄(香川照之)と、血のつながりはない。

真面目で実直な耕介は、遊び好きな兄より、実質的には、専務として家業を切り盛りしているが、父は、兄ばかり可愛がり、兄は、弟を時に、揶揄する。

自営業の家のなかの難しい立場で、耐えなくていけないことも多い。奥さん(鶴田真由)は、カラオケ好きで、ちょっとノーテンキ。

地方都市で、自分の運命をあきらめて、我慢をしながら、もくもくと働く男性。
こういう人って、けっこう多いのかもしれないと思う。

そこへ、謎めいた女性、水原早紀(鈴木京香)が、彼らの加工工場に、ふらりと現れて働きはじめることで、兄弟の運命の歯車が狂いだす。

陽気で、刹那的な愛しか知らなかった兄の洋介は、早紀を運命の女と思いこんで、愛していく。妻子もちの耕介も、年上の彼女に振り回されながらも、惹かれていく。吉岡さんの、まったりした金沢弁も、無理がなくて、自然だった。この人は、もう声だけでトクしてるから(笑)