うさたろうの 気儘なフランス散歩

2年の予定が丸7年。赤貧学生としてのフランス生活にも終止符。約4年8ヶ月続けてきた日記、改め、気儘なフランス散歩…

なんちゃって寿司屋、初体験

2006-02-18 19:01:33 | フランス(食べ物・飲み物)
今日は日本人のお友達と、念願の「なんちゃってお寿司屋さん」に行ってきました。

一度、どんなものか行ってみたい!と、今日の連れのお友達(10年以上こちらに住んでいる)に漏らしたところ、つきあってくれる、とのことだったんです。

…既に昨秋からのお約束。
私の一時帰国の直後にそんなお店でいいの?と心配されましたが、構いませんとも。
とにかく興味津々、初体験であります。

オペラ座界隈と違って、どのお店もほとんど同じ概観・ネーミング・メニューディスプレイ。
どこがよいのか判断しかねます。

友達に聞いてみたものの、「どこも同じよ~!全部同じ経営者かも、って言う話もあるくらいよ。」
ふ~む、そうであったか

それでも興味深げな私に気を使ってくれた彼女は、お目当ての通りを端から端まで歩くことを提案してくれました。

改めて歩いてみると、数十年前には日本食モドキのレストランなんて1軒もなかったというこの通り、よくこれで商売が成り立つなぁ…と思うほど雨後の竹の子状態です。
しかも。
アジア人はあまりこちらに来ないせいか、お店の前に立ち止まると、ドアが開き呼び込みされたり、通りの反対側からお店を一瞥した私と目があって手を振られたり。
一体この世界はなんじゃい?という感じであります。

一通り歩いた後戻って、理由もなく、道半ばのそれほど新参組ではなさそうな、大き目の1軒をチョイス。
入店しました。

タバコを吸うかどうかを聞かれ、吸わないというと、奥のほうへ案内されました。
うわ~、こんなに広かったの?というくらい奥行きがあります。
しかも、案内されたほうの部屋?はほとんど満席。
夜の7:00過ぎなのに。
フランス人にしては早くない?

4つテーブルの並んでいる2人席の1つに案内されました。
…私は通路側に座ってしまったので、観察はこの並びの他の3卓に集中することになります。

コートを脱ぎながら、隣のテーブルのカップルの食事が目に入り、既に目は点。
お茶碗に盛られた白いご飯にお醤油をじゃぶじゃぶ、七味唐辛子をワッサワッさ振り掛けています。
「ね、ね、見て!すごいよ!」
と興奮する私に、友達は
「そう、皆するの。味がないと食べられないんでしょう。」
…周りはフランス人ばかりなので、日本語で言いたいことが言えます。

メニューを改めてみると、お寿司か焼き鳥、そしてそのセットメニューであります。
「意外と安いのねぇ。でも、これで足りるかなぁ?」
だって、例えば、結局私たちが頼んだセットメニューは、お寿司5巻に、焼き鳥4串。(これで12ユーロ弱)
そんな私に訝しげな視線を友達は投げかけ、
「足りなかったら後で追加を単品で頼みましょ。」

「お酒は、白ワイン?ロゼ?」
「焼き鳥だから、ビールにしようかと思って。」
「あ、そうか、確かにビール、よね。」と言いながら、酒飲みの私は後で頼もうとワインを密かにチェックしていたのでした。

オーダーして、ほどなくして運ばれてきたのは、キャベツの千切りサラダ、とシャンピニョン入りお澄まし(と呼べるのか?)。
ビールで早速乾杯し、サラダを食べ始めます。
「うっ。甘っ…」
ドレッシングで和えてあるのですが、それが酸っぱさよりかなり甘々なのです。
「確かに他のお店より甘いかも。でも、フランス人は酸っぱいのだめでしょ。でこのドレッシング結構人気なのよ。日本食材屋さんで売っていますか?ってよく聞かれるもの。」
ふ~ん…(ちっとも美味しいと思わなかったウサ。。。)

おすましもどきをチリレンゲで1口。
「うわっ、塩からい。…なんか思いっきりインスタントの味がするんだけど。。。」
「ホンとねぇ。シャンピニョンも生を切って入れただけみたい。」
…半分くらいでやめてしまいました。

そして次にやってきたのは、お寿司とお茶碗に盛られたご飯!
お寿司に、ご飯、ときましたか…
う~む。焼き鳥用とはいえ…
これは足りないことはないだろうな、もし全部食べたら、ね。

いつのまにかビールを飲み干した私は
「ワインを頼んでもいい?ちょっと飲まない?」と甘く誘ってみました。
あまりお酒を飲まない友達は
「一口くらいならね。」

喜び勇んで、ミュスカデを1本頼みました。
とてもこういうお店で日本酒は頼む気にならなかったもの。

そして、ワインとつまむお寿司は、思ったよりまぁまぁでした。
美味しいとは、言えないけれど、それなりです。
スーパーとかで売られているテイクアウト寿司より上格、かな。


それにしても驚くのは。
他のお客さん(私が観察できる範囲)は、どの組も一切アルコールなしなんです。
飲み物は、ただの水、あるいはコーラ、オレンジジュース。(お寿司に?と思うウサ。。。)
ですから食べるのが結構早いわけで、フランスには珍しく、テーブルはドンドンお客さんが回転していきます。
(普通フランスでは客の回転なんて考えない、もののようです。時間制限なんてないし。ハシゴなんて概念ありませんもの。)

いずれにしても、これじゃお店は儲かるわぁ
何しろ、いつのまにやら、隣のテーブルは3組目!!!でしたからね。



そうこうしている間に、焼き鳥がやってきました。

つくね。
なんだか給食を思い出させるような、どーでもいいお弁当にはいっている肉団子のような。

フツーの焼き鳥は、まぁまぁ、こんなもんかなという感じ。
そして、チーズの牛肉巻き。
流石フランス、ですねぇ。


お寿司も食べ終わり、焼き鳥もほぼ終わりに近づき、しかし酒飲みはもちろんワインがある限りは飲み続けます。
「ねぇ何か食べない?」と聞いてみました。
「そうねぇ、お腹はいっぱいだから、お刺身でも?」

お寿司に乗っていなかったネタ、ぼら・たこ・しめ鯖の中からどれを選ぶか?です。
ぼらとタコは即刻却下。
というわけで、消去法により、しめ鯖を追加注文しました。

出てきて、また
斬新な(?)きり方。なんですよ。
なんだかお刺身なのに、ゴロゴロって。ふ~む…
とりあえずパクッ。
…味が、あんまりしない?



友達の報告(?)によると、私の背中側に座っているお客さんたちは結構ワインとかも頼んでいたそうです。
子供連れもいましたし。
…改めて驚くのは、こんなにもお店が繁盛しているということと、お箸を使って食べる人がやっぱり殆どだ、ということ。
それとお客さんにアジア人が全くいなかったということ。
美食好みの日本人がいないのはわかる気がするとして、中国人・韓国人も皆無。
中国人が経営しているというのにねぇ。

で、そう考えながらハタと思いました。
外国で、その国の料理のみならず、中華料理や韓国料理にも足を運ぶ日本人。
翻って、彼らは決して(独断ですが)自分の国の料理以外のアジアレストランには行かない気がする。
…なんか面白いもんですねぇ。

それはともかく。
今日の感想。
「なんちゃって寿司屋」も意外と捨てたもんじゃないな、って。
お寿司やお刺身を食べに来るわけじゃない。
ただ、例えば、何となくそういうものが食べたくなったときに、何となくそんな気持ちを紛らわすことができるんじゃないか、と思った次第です。
何しろ、お値段が本物の和食屋さんに比べて格安だし、お店も大いに賑わっていて、皆それはそれで楽しそうに美味しそうに食べているから、気分的には結構楽しいです。
観察するのもおもしろいし。
…もちろん、美味しいものしか嫌だ!という方には全く向いてませんけど、ね。