トゥールで乗り換えて、ローカル列車で約20分。
アンボワーズ城のある、アンボワーズにやってきました。
駅を出て、キョロキョロ。
街の中までどうやっていくんだろ?
そ。大抵、フランスでは鉄道の駅って、街中の中心から離れたところにあるものなのです。
地図を見つけて、とりあえず道を確認。
1キロくらいあるのかなぁ…。
本当に歩けるのかしらん?
ふと見回すと、駅で一緒に降りたはずの子供達の団体もさっさとどこかへ行ってしまったらしく。
駅の周辺にはだぁれもいない。
ただ、タクシーが1台、「コイツは乗るだろう」と思って見ている?
乗りませんよ~!
…毅然とした態度で歩き出しました。
が。
歩いているうちに、段々心配に。
本当にこの道でいいのかしらん?
だって。
あまりにフツーの何もない住宅街なんだもの。
心配しながら、歩くこと暫し。
追いついた土地のおばあさんらしき人に、聞いてみる。
「アンボワーズ城に行きたいんですけど。この道でいいでしょうか?」
「いいですよ。」
そして、重そうな荷物を下に下ろすこともなく、丁寧に道順を教えてくれました。
お礼を言って、先を急ぐ。
10分くらいしっかり歩いたところで、ロワール河にかかる橋が見えてきました。
と。
河の向こうに、アンボワーズ城も見えます。
あぁ、そうだった!こういう街並みだったんだ。
そ。
実は、私、今回ツアーで行くシュノンソー城とアンボワーズ城は、5年くらい前に来たことがあるのです。
しかし。
その時と言うのは、車で、いくつもの古城を一度に巡るために連れてきてもらったので、お城のみの印象しかないのですよね。
そして。
その翌日、ツアーでお城を訪れる際には簡単な説明をすることを引き受けた、というのは何度か書きましたが。
その一度訪れた時に、シュノンソーについては、ちゃんとした(?)本も買っていたので、まぁ、事前に行かなくてもいいかな。と。
でも。
このアンボワーズ城は、街が気に入った覚えはあったのだけど。
お城自体についての本などは、何も買ってなかったし。
ネットで探しても、なかなかお城での説明につながりそうなヒントがなかったものだから。
実際にもう一度見て街を把握し、ガイド本を買ってオベンキョーしよう、と。
そういう心算だったのであります。
しかし。
観光客らしい人が、意外にいないもんだなぁ…。
ちょっと訝しく思いつつ、橋を渡って、街中に入りました。
早速、お城のまん前に入り込む。
城下のお店もまだ開店準備中。
観光客なんて殆どいない。
それでも。
1台だけ、日本人用の観光バスが着いたようで、お城に向かって団体さんが歩いていくのが見えました。
う~ん。どうしよう。
まぁ、ほぼ1日、アンボワーズで時間を割くことに決めたのだから、ちゃんと自分のための観光もしよう!
そう思って、観光案内所に先ずは行くことにしました。
しかし。
観光案内所が何処にあるんだろ?
開店の用意をしていたオネエサンに聞いてみる。
ここでも親切に教えてもらいました。
が。
ありがとう、とお礼を言って、振り返りつつ歩き出した途端に。
相変わらず寝ぼけていた目に入らなかった車止めのオブジェに、思いっきり左足腿をぶつけてしまった。
あまりの痛さに、しっかり目が覚めました(苦笑。…青痣が残ってしまいました。)
暫く痛さに身悶え…。
ソロソロと、案内所に向かって歩き始めました。
所詮小さい街だし、観光所の係りの人は一人。
先客だったインド人ご夫妻との対応が終わるまで、気長にお土産などを眺めながら待ちます。
そして、私の順番。
「今日1日、ここで過ごすつもりなんですけど。何処を観光したらいいですか?」
でも。
結局、お城とクロ・リュセ(晩年のレオナルド・ダ・ヴィンチの住まい)くらいしかないらしく。
とりあえずは、地図とレストランガイド(笑)をもらい、その2箇所の入場券を買い。
お薦め通り、先ずはお城の見学へと向かったのでした。
お城に入る際に、翌日のために日本語のパンフレットを14枚もらい、背中の荷物を預けました。
は~、ヤレヤレ。
これで心置きなく、お城を見て回れるわ!
入口を通って、更に上ると、お城の庭に出ました。
と。
なにやら、ガイドツアーの看板が目につきました。
次のガイドツアーは、いつなんだろう?と、その看板の周りをうろうろしていたら。
近くにいた、多分係りのオバサマが、
「今さっき始まったばかりのガイドツアーが、お城に入ったところよ。未だ間に合うわよ。」と教えてくれたので、お庭の見学は後にすることにして。
ガイドツアーを慌てて追いました。
そ。
こういうところ、フランスの観光地っていいなぁ、と思うのです。
勿論、全部の観光地でやっているわけではないけれど。
無料のガイドツアーというのが、結構あるのですよね。
そして。
無料だからと言って、説明が手抜きなんかではなく、ちゃんと面白いことを色々話してくれる。
だから、私は時間がある時は、必ず参加させてもらうようにしています。
小走りにお城の中に入ると。
あぁ、いました、いました。
ガイドのオネエサンが、約20名くらいの人にアンボワーズ城の歴史を語っているところでした。
ふむふむ。
そうか…。
で。
思いつきました。
そうだ、明日のために、少しメモをしておこう!
本より、面白い話が出来るかも。
…部屋を移動しては、すぐに説明が始まるし、人も写り込んでしまうから、私は写真も撮らず。
とにかく、他の人の邪魔にならないよう端っこの方で、真剣に聞いて、覚書をメモ帳に。
ところが、です。
4部屋目くらいだったでしょうか。
私が一番最初に、ガイドさんの後について、次の部屋に入りました。
すると、彼女が聞いてくるのです。
「どうして、貴方はメモをしているの?」
私は正直に答えました。
「明日またここに、友達と何人かの日本人で来る予定なんだけど。説明も少ししてほしいといわれているから、事前に来てみたんです。」
と。
彼女は、いきなり怒り出しました。
「一体、何?あなた、私の説明をメモして、それでガイドをするって言うの?」
私は、そんな反応が返ってくると思っていなかったので、吃驚りしてしまいました。
「いえ、だから、ガイドなんてことは、そもそもしませんよ。ただの素人ですから。つれてきて、ちょっと説明するだけです。」
しかし。それが更に怒りを買ったようで。
「本物のガイドなら、まだわかるけど。素人が、そんなことをやるなんて、更に悪いわ!私達ガイドの仕事を取らないで欲しいっ!しかも。他人の説明を使って、ガイドなんて!」
私は呆気に取られて、
「そんなたった1回、説明を聞いたからって、私がガイドの代わりになれるわけもないし…そんなつもりもないです」
と言いかけても。
もう聞く耳持たず。
他のお客さんもその部屋に入ってきて、不思議そうに二人のやりとりを見始めたので、私は黙りました。
そして。
それ以降、一切、メモを取るのをやめ、静かに聞くだけにしました。
…勿論、写真も撮りません。
しかし。
彼女は、私の方は一切無視。
ただ、たまに面白い話をしかけると、私の方を憎憎しげな視線でチラッと見る。
…折角、純粋に自分の興味から、このお城の話を聞きたかった気持ちもすっかり失せてしまいました。
一通りガイドツアーが終わって、皆は三々五々離れていく。
…どうしようかな、と思ったけど。
フツーこういうガイドさんには、最後心づけで、2€くらい渡すようにしているので。(←渡す人と、渡さない人がいます。)
近づいていって、ありがとう、と言って、渡しました。
彼女は私の顔を見ないで、何も言わず、お金だけ受け取りました…。
何だか、サビシイ人だなぁ…。
私は気を取り直して、もう1度、お城を見直そうかと思いましたが。
所詮、とっても小さいお城。
ガイドブックを買ったほうが効率的かなと。
未だその日、歩き回っていなかったお庭を散歩することにしました。
小さなチャペル。
そこに、レオナルド・ダ・ヴィンチが眠っています…。
ひとしきり、散策し、お城のブティックで、適当と思われるお城のガイドブックを
買いました。
それから、入口に戻り、荷物を引き取り。
明日、又来て、彼女に顔合わせるのはいやだなぁ、と思いつつ、お城の坂を下りてていきました。
さぁて。
これからどうしましょ?
時計を見ると、まだ11:00前です。
クロ・リュセは、以前来たとき、とっても面白かった覚えがあるので、どうせ今日は時間があるから、ゆっくり見たい。
かと言って。
今、お昼ご飯を食べるには、幾らなんでも早すぎる。。。
実は、起きたのが朝早かったし、結局食べたのクロワッサン1個だけだったし。既にお腹が空き始めていたんですけど、ね(笑)。
で。
結局、お腹には我慢してもらうことにして。
それから、クロ・リュセを見に行くことにしました。
。。。。。
しかし、意外にクロ・リュセまでがお城から遠い。
って。
全然、遠くないのですが、何しろ、その日は暑くて、既に午前中から暑くなり始めてた…。
さらに。ナンと言っても、背中の荷物の重みが、ズシリと。
お昼ご飯とまでは行かなくても、街中でお茶でもしてくれば良かった。。。
そう思っても後の祭り。
何もお店のない通りを、目的に向かって汗をカキカキ、ノソノソ歩きました。
ふぅ~っ、やっと着いた!
入口のところで、「荷物を預けたいんですけど」
と言うと。
「ここは、預からないんですよ。」との返事。
一気に体中の力が抜けた気が…。
とりあえず、すぐに入るのは止めて、庭の木陰に座り込みました。
汗をふきふき、荷物をマジマジ。
むぅ。これ持って、観て回るのかぁ…
となると。
庭の散策は出来そうにないなぁ。。。
そう。
ここは、お庭が結構広くて楽しいのです。
何しろ、ダ・ヴィンチの発明したモノの体験道具がそこそこに配置されているのですから。
庭を見れないと、結局、時間も余るかも。
…ま、そうなったらお昼ご飯をゆっくり食べて、どこかのカフェでお茶もして。
明日の説明の準備でもすればいいや。
よし、それじゃ、とりあえず内部だけでも見学しよう。
と立ち上がり、再び入口へ。
彼の住んでいたという建物に入りました。
ところが。
中は、引率の先生に連れられた子供達の団体がそこここに。
どうも、夏休み前で、社会科見学のようなことを行う学校が多いようです。
確かに。
お城なんかより、子供達にはこういうところのほうが遥かに興味深いでしょうし、ね。
静かに見て回れると思ったのも、肩透かし。
まぁ、でも、うるさいところ(失礼)は、そこそこに観て。
一番、お目当てだった、彼の発明した数々の道具・機械などの模型と説明の場所をゆっくり見ることにしました。
その時です、携帯が振動しました。
慌てて外に出て、電話に出ると。
ツアーを連れて来た、その時分、モン・サンミッシェルにいる友達でした。
「明日の古城案内は、よろしくね。ひょっとしたら、僕はお城に行かれないかもしれないから。」
「え?どういうこと?」
で。
その時、聞いたのが(既に書きましたが)、
ツアーのお客様の一人が、
お母様の危篤のニュースで、すぐに日本に帰りたい、ということらしい。
未だその時には、飛行機のチケットなど手配中で、いつ帰れるかも確定じゃないけど。
という話で。一報を連絡してきてくれたのでした。
私は頭が混乱して、電話を切って、庭のベンチに腰掛けました。
私がツアーを引き連れて、古城を回る?
いや、確かに、前々から、私がお城の説明をする、ことは請け負っていました。
でも。
彼がいなくて、私が全てを引き受けて案内する?????
それは、どう考えても無理です。
確かに。
恐らく、問題は起こらないでしょう。
特に、余裕のあるスケジュールだし、たかが2つお城を見るだけ。
しかも、移動は全て、貸切バスです。
でも。
万一、何か不測の事態が起きたときに、4人くらいのグループとか、人数多くても友達関係なら、何とかなります。
が。
12人…。
日本への連絡先やら、フランス現地でのやりとりも全く知らないだけでなく、とにかくノウハウというものがない私に、それはどうしたって無理!
友達に電話をすることにしました。
「私一人では、何かあったときにどうしても無理。古城の説明は前々から引き受けていたのに申し訳ないけど、私が、彼女を送りに飛行場まで行くから!」
そう。
お願いではなく、なんとしてもそうしてもらうつもりで、話をしました。
でも、私の言わんとしていることは、彼もわかってくれたようで、
「わかった。じゃ、もし、明日、パリから飛行機に乗ることになったら、うさが、そっちについていく方向で考える。」と言ってくれました。
あ~、良かった!
…一時はどうなることか、と思った。
が。
ん、ん?
私ったら、何で今日、わざわざアンボワーズに朝早く起きて、来たんだろう?
と思うと。
また、ドッと疲れが出るのを感じたのでした。
照りつける太陽の下で、殆ど無気力状態になってベンチに暫し座って。
…漸く力が湧いてきました。
そうよ!今日は、自分自身の観光のための一日よ!!!
何もかも忘れて、楽しまなくっちゃ!
見終わってなかった展示を見るために建物に戻りました。
それから、庭も頑張って散策。
汗ダクダクになって、2:00近く、街の中心地に戻ってきた時は、お腹がペコペコでした。
そ、今日は自分のヴァカンスなんだから。
贅沢しちゃうもんね♪
ん?
でも。
夕飯は、古城ホテルのディナー。だなぁ…
むぅ、どうしましょ?
何軒かのメニューを丹念に見た挙句(笑)、ワインレストラン・バーに入ることにしました。
「前菜を2品でもいいですか?」
「もちろんです。」
その言葉に、レストランの中に入って、席に座りました。
「ツナ・サラダと、キッシュをお願いします。そして、先ずビール!!!!!そして、その後、ロワールの赤ワインを一杯。」
うふふ。
普段は、レストランでサラダを取ることは、まず、ない私。
だって。
サラダなんて家で、幾らでも食べられるますからね。
折角、お金出すからには、何が何でも調理してあるもの。
なるだけ、家で作らないもの。と考えるわけですが。
その日は、あまりの暑さに、新鮮な緑の野菜がどうしても欲しかったのでした。
それに。
ワインバーだから、グラスワインを飲む気だったけど。
何を置いてもビール♪…という状態だったのであります。
ビールが運ばれて来るなり、クィ~っ!
プハ~っ、美味しいっ♪
殆ど一気飲み状態で。
続いてやってきた、サラダとキッシュを食べ始めました。
選んだ赤ワインも運ばれて。
うふ、しあわせ~っ!
時間を気にすることなく、ゆっくり昼食を堪能♪
さぁて、これから何をしよう?
炎天下の中、荷物を背中に歩き回る気はすっかり失せて。
…トゥール行きの電車までには時間がありすぎたものの、とりあえず駅に戻って、近くのカフェで、さっき買ったガイドブックでも読んで過ごそう、と思いつきました。
重い腰を上げて、駅を目指して歩き出す。
…途中、寄ってみたい場所を見つけたけど、あまりの暑さに行きかけて断念。
とにかく駅に着いた時は、再び汗ビッショリ、ヘトヘトでありました。
キョロキョロ。
しかし、そうでした。
駅の周りは、お店がなかった…。
でも。
幾らなんでもカフェの1軒くらいはあるよね、と思ったのが間違いだった?
申し訳ないけど、切符の窓口にいる人に聞いてみることにしました。
が。
その前に、
。
なんと、アンボワーズの駅に、小さいながらコインロッカーがあるのに気がつきました。
なんてことでしょう!
それさえ使っていれば、その日一日の疲れは、だいぶ軽減されていただろうに。。。
でもね、まさか、この駅にコインロッカーがあるなんて、考えもつかなかったのです。
というのは。
基本的に、フランスの鉄道駅にコインロッカーはない。(少なくとも、私がよく旅行をしていた2004年頃までは、主要駅にもなかった…)
それに。
私の持っていた古い「地球の歩き方」(2002年版)に、トゥールの駅にはコインロッカーがないという記述があり。
トゥールにさえなければ、アンボワーズにあるわけがない、と端から思い込んでいたんだもの…。
ふぅうううう。
気を取り直して、駅員さんにカフェがあるかと聞いてみました。
駅前に1軒、カフェはある、という。
その言葉を信じて行って見ると。
そ、確かに駅側からは見えないけれど、裏側に回ると、カフェらしい看板がある。
良かった~!
というわけで、お店に入るも無人。。。
でも、勝手にテーブルについて、扇子で煽いでいたら、お店のママさんが出てきました。
「ビールをお願いします」(←またビールかい?という突っ込みはなしでお願いします、ペコリ。)
私の様子があまりに暑そうだったのでしょう。
ママさんは、お店の天井に付いている扇風機を作動させて、ビールを注いで、持って来てくれました。
わざわざすみません、と言うと。
「そうね、今日はとっても暑いものね。でも、私達は慣れているから、普段は滅多につけないのよ。」と。
そして。
扇風機で送られてくるユルユルした風と、窓からの外気との流れが出来、私の汗も次第にひいていくのでした…。
只管、ぼ~っ…。
なんと、のどかな時間でしょう。
…電車まで、まだ時間もあるし。
と、結局、もう1杯ビールをいただいて。カフェを後にしました。
ホームに行くと、既に何人かのお客さんが待っていました。
五分位してから、定刻どおり、私の待っていた列車が入線。
その頃には、夕立が来そうな雲行きになっていました…。
そして。
電車に乗り込み、すぐに発車。
窓側にすわり、ボ~っとしていたら、スゴイ勢いで雨が降ってきたのでした。
…良かった、雨に合わなくて。
20分というのはあっという間で。
しかし、豪雨は、僻地的通り雨、だったのでしょう。
トゥールも少し雨が降っていましたが、豪雨はすっかり通り過ぎた後でした。
小雨の中、駅を出て、以前一度来たことがある観光案内所に行って、市内地図をもらい。
目当ての古城ホテルに行くには、タクシーしかない、という確認をもらい。
駅近くのスーパーで、部屋で飲むためのワインを1本とスナックを買い。(笑)
タクシー乗り場へ急いだのであります。
タクシーの運転手さん曰く、50分くらい。
確かに。
あまり飛ばさなかったせいもあり、小一時間で到着。
ツアーの皆さんも、数十分前に、モン・サンミッシェルから貸し切りバスで着いたということで。
皆のチェックインを済ませた友達が、そこに待っていてくれました…。
え~っと。
…例によって、あまりに長くなったので。
やっぱり、ここで区切ることにします。
ハイ、今度こそ!
最終回にして。終わりたいものであります…。