60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

文字の読み取りと理解

2008-12-23 22:35:02 | 視角と判断

 視線を動かさずにものを見続けていると、眼筋の調整が利かなくなり、二重に見えたりぼやけて見えるようになったりします。
 文字を読む場合は、一つ一つの文字が読み取りにくくなるだけでなく、文字のまとまりを一目で読み取ることが難しくなります。
 図の二番目のブロックは文字が二重に見えている例ですが、一つ一つの文字は読みにくいとはいえ、何とか読み取れます。
 しかし、この文全体をぱっと見て意味を理解するのは困難です。
 一番上の正常に見える文ならば、文字を一つ一つ見ていかなくても、全体を一見しただけで大体意味がわかります。
 これは「台風」とか「日本列島」、「上陸」といった語が瞬間的に読み取れるので、語の読み取りが自動的にでき、注意を個々の文字に向けなくてすむからです。

 文章を読む過程は、一つ一つの文字を目で見て確認し、文字の集まりを組み立てて単語を確認し、さらに単語を組み立てて文章を理解するというふうに考えられます。
 しかし、実際にはそうしたやり方をしていては時間がかかるだけでなく、意味を理解することがとても難しくなります。
 実際に読んでいるときは、単語や文字句を瞬間的に読み取って文章の意味を理解しています。
 単語や文字句が瞬間的に理解できるのは、それらが記憶されていて、見た瞬間に照合できるからですが、文字がぼやけたり二重に見えたりしてしまうと、自動的な照合ができなくなってしまいます。
 自動的な照合ができないと、文字をひとつづつ読み取って、アタマのなかで組み合わせて単語や文字句を組み立てなければならないので、脳のエネルギーをそうしたことに使ってしまうことになります。

 文字がぼやけるとか、文字が小さすぎたりすれば、文字を読み取ることに集中しなければならなくなり、その結果文字を凝視することになり、そのことが目を疲れやすくさせ、さらに文字を読み取りにくくするという悪循環となります。
 老眼になっても離せば焦点が合うので、文字が見えるといいますが、離した場合は文字が小さく見えるようになるので、読み取りにくくなります。
 焦点が合っても細かい字を読もうとすると、読み取りにくくなり、そのため目を凝らすようになるので、文章は理解しにくくなり、目も疲れるということになります。
 最近は高齢化対応なのか、新聞も書籍もやや活字が大きくなったので、かつてに比べれば読みやすくなっています。
 そういう意味では字形が複雑な漢字が制限されたり、旧字体から新字体に変更されたことは時宜にかなっているといえます。
 漢字を多くしてそのうえ旧字体を使い、さらに振り仮名までしたのでは、高齢者だけでなく、若い人の目にも負担になってしまいます。


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