60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

視野と注意の集中

2008-08-26 23:29:50 | 視角と判断

 上の図では内側の四辺形の色は同じ濃さの灰色ですが、背景の色の濃さが違うため右に行くほど色が薄く見えます。
 背景の色との違いが際立つように見えるため、背景が明るい色であれば実際より濃く見え、背景が暗ければ実際より薄く見えるのです。
 ところで下の図は上の図と同じなのですが、横に棒が渡され四つの四辺形がつながって見えます。
 こうした状態で一番目の四辺形と二番目の四辺形を見比べるとほとんど同じ濃さの色に見えます。
 同様に二番目の四辺形と三番目の四辺形を見比べると同じ濃さに見え、三番目の四辺形と四番目の四辺形も同じ濃さに見えます。
 その結果いちばん左の四辺形といちばん右の四辺形は同じ濃さの色のように見えます。
 もともと同じ濃さの色なので同じ濃さに見えて当然なのですが、上の図ではかなり濃さが違って見えたのですから、見え方が違っているのです。

 下の図では横棒で四つの四辺形がつながっているので、全体が一つの図形に見えます。
 そのため図形を見るとき四つの四辺形をつなげた全体に注意が向かうので色の濃さも同じように見えるのです。
 上の図の場合は一つ一つの四辺形が離れているので、一つ一つを別に見るように注意が向かうので、それぞれの背景との比較で色が濃く見えたり、薄く見えたりするのです。

 ここで上の図のいちばん左の四辺形の内側にある小さな正方形に注意を向けてジッと見つめて見ましょう。
 そうするとこの正方形の色が薄くなり、正方形の外側の四辺形も色が薄くなって見えます。
 つぎにいちばん右の四辺形の中の正方形部分に、同じように注意を向けてジッと見続けると、こちらのほうはだんだん色が濃く見えるようになります。
 つまり狭い範囲に注意を向けて集中視すると、背景の影響が少なくなるので、実際の色に近づいて見えるようになるのです。
 
 上の図ではいちばん左の四辺形といちばん右の四辺形とを同時に注意を向けて見るのが難しいのですが、下の図はつながって一つの図形に見えるために、両端の四辺形を同時に注視することができます。
 そのため両端の四辺形が同じ濃さの色に見えるのですが、視野が狭いとどうしても両端の四辺形を同時に注視することが出来ません。
 注視というと、どうしても一点に注意を向けて見ようとしてしまうのですが、つながった四つの四辺形全体を眺めるようにして、注意だけを両端に向ければ両端の四辺形の色が同じように見えるようになります。
 狭い範囲を集中視するのと、視野を広げて見るのとでは、一点集中のほうがやりやすいのですが、目は速く疲れます。
 視野を広げてみるほうは慣れないとやりにくいかもしれませんが、眼は疲れにくいので、文字を読むときも視野を広げる見方が出来ることが必要です。


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