四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

ゴマダラチョウ

2012-09-29 20:14:00 | 西湘・箱根
林縁を歩いていると、ゴマダラチョウがゆるやかに飛んできました。ゴマダラチョウは珍しい種類ではありませんが、何故かじっくりと対面するのは初めて。会うのは類縁種のアカボシゴマダラばかりです。


ゴマダラチョウ♀(9月21日、小田原市にて)



一旦高い位置に止まったのち、エノキの葉の上に下りてきて、産卵行動に入りました。



緩やかに飛んで少し休憩。今度は位置を変えて食樹かどうかを確かめます。しかし、どうみてもエノキではない葉も丹念に調べているので、「それはエノキじゃないよ」などと声をかけてみる。



また、正しくエノキの葉に止まり、産卵しました。



ゴマダラチョウの卵です。

エノキを食樹とする蝶には、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、テングチョウが知られていますが、近年、人為的に持ち込まれた中国産のアカボシゴマダラが猛威を奮い、ゴマダラチョウを圧迫しているとも言われています。この美しいゴマダラチョウにはいつまでも生存していて欲しいと願っています。


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畑のウラナミシジミ

2012-09-24 17:24:00 | 南多摩
畑の広がる谷戸のインゲン畑に行くと、多数のウラナミシジミが飛び交っていました。


インゲン畑

大凡5×15m位の広さで、一度に見える数だけでも10頭以上でした。20分程ウラナミシジミたちの元気な姿を眺めていると、彼らの色々な生活シーンを見ることができました。


インゲンマメ

ぼやけて写っているのは速いスピードで飛ぶ個体(多分雄)だと思います。


ウラナミシジミ♂(9月20日、13:15)

雄が盛んに飛び周り、雄同志の追飛も頻繁に見られ、めったに休止しませんでした。やっと撮れた雄の開翅シーンです。


ウラナミシジミ♀

雌が内側の葉上に休止。雌の方がよく休むようでした。


ウラナミシジミの交尾

交尾中のペアが2,3度場所替えしたものの、撮影しやすい位置に長時間留まっていました。


チョッカイを出す雄

その間、何度か別の雄がチョッカイを出しにやってきました。


産卵シーン

雌が蕾に産卵する光景が見られました。


吸蜜シーン

株の内側に入り込んだので見ると、インゲンの花で吸蜜していました。

ウラナミシジミは、南西諸島、九州・本州の南の縁、房総半島・伊豆半島南端などの温暖な地方でのみ越冬し、春から秋にかけて世代を繰り返しながら北進し、北海道南部まで達します。しかし、北進した世代は寒気の到来により死滅する運命にあります。この辺では、8月頃から見られます。
幼虫は、エンドウ、ダイズ、インゲンなどマメ科植物の蕾・実を食します。

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ニラの花に集まる蝶たち

2012-09-22 16:47:00 | 西湘・箱根

イチモンジセセリ(9月9日、小田原にて)

秋口に一番多く見られるのがこのイチモンジセセリ。春からいることにはなっていますがめったに出会いません。8月から9月にかけて急に数が増えだし、住宅地の庭でも普通に見られるようになります。



ニラの咲き乱れる草地を通りかかると、15頭以上のイチモンジセセリがあちこち飛び回り、蜜を求めていました。


キアゲハ♀


キアゲハ♀(同一個体)

キアゲハも熱心に花から花へと飛び回わり、美しい姿を見せていました。

キアゲハの近縁種のアゲハチョウは住宅地で普通に見られますが、このキアゲハは、丘陵の谷戸や河川の流域など湿地で多く見かけます。都市公園の花壇や彼岸花にも飛来します。


ヒメアカタテハ

ヒメアカタテハも2頭、ニラの花に来ていました。
ヒメアカタテハも春先から見られる蝶ですが秋に多くなり、公園や畑のキバナコスモスなどに好んで集まります。
ヒメアカタテハは、チョウ類の中でもっとも広い分布を示し、ほとんど世界中で見られる汎世界種(cosmopolitan species)として知られます(日本産蝶類標準図鑑、白水隆著、保育社(2006))。

今日の合唱練習の帰りに、ピアニストのshokoさんが蝶の写真をみたいと言って下さったので、最近見られる蝶3種類を載せてみました。

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ヒカゲチョウの手乗り

2012-09-22 16:46:00 | 相模原公園・北公園
公園の坂道を上っていたら、ヒカゲチョウが右の植え込みから飛んで来て手すりに止まりました。


ヒカゲチョウ(9月18日、105mmマクロレンズ、フラッシュ撮影)

そこでカメラを構えて撮影。画面で確認すると、翅(ハネ)の上端付近が少し欠けていました。



どうせなら美しい姿をカメラに納めてあげようと、手懐けていると慣れてきました。そこで、一旦飛び立たってもらい(邪魔をしてしまいました・・・)、もう一度止まったところを撮影。反対側の翅には欠けたところがなく、試みは成功しました。



ヒカゲチョウは、人の汗を好むようなので指を差し出したところ、ジャンプして手首の辺りに着地しました。口吻(ストロー)を伸ばし汗を吸うので少しくすぐったい感じです。



飛び立つ素振りも見せないので、手をひねって何度目かにやっと横向きの手乗り姿を画面に収めました。歩いても飛び立たない。連れて帰るわけにも行かないので、そこでお別れする。

ヒカゲチョウ:平地~山地の雑木林に見られる。この辺では、多摩丘陵や自然公園・都市公園の雑木林のササ周辺、樹液の出るクヌギ周辺に多い。花には集まらず、樹液や獣糞で吸汁する。出現時期は、6~7月と9月。


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アカボシゴマダラが我が家に飛来

2012-09-19 19:56:00 | 相模原・県央
昨年末、近くの緑道のエノキ小木にアカボシゴマダラの幼虫が育ち、やがて越冬し、終齢幼虫になるまでを観察しました。緑道沿いには、エノキの小木が点々とあり、あちこちに幼虫が育っていたようです。


自宅庭に飛来したアカボシゴマダラ(9月2日撮影)

9月2日、外出先から帰ると、自宅庭のエノキ小木近くのシダの上にアカボシゴマダラがいました。自宅で目撃したのは初めてです。


もう1頭のアカボシゴマダラ

植木の少し高い所にもう1頭が休止していました。こちらは大きいので雌だと思います。

今年の初夏に植木屋さんが見えた時に、蝶の食樹だからエノキ小木を切らないようお願いしたのですが、とうとう我が家にもアカボシゴマダラが来てしまいました。どうしてここにエノキがあるのを知ったのか、その能力には驚かされます。


アカボシゴマダラの幼虫

今朝、庭のエノキを見ると、アカボシゴマダラの幼虫が4頭もおり、エノキの葉のあちこちに食痕がありました。9月2日に飛来したアカボシゴマダラが産卵した卵が孵化し、成長しているとも考えられますが、4頭の大きさがまちまちなので、複数の親がここに来て少しずつ産卵していったのかもしれません。
数日前も自宅前でアカボシゴマダラの成虫を見ているので、そのような可能性も十分あると思います。

今関東で見られるアカボシゴマダラは、残念ながら中国産のものを誰かが持ち込んだ個体が起源で、1998年に藤沢市で初めて記録されて以降、神奈川県・東京都・千葉県・埼玉県などに広がり、近年、静岡県でも認められています。分布拡大の勢いは著しく、同じエノキを食樹とする在来種のゴマダラチョウが追いやられることも懸念されています。

我が家に来たアカボシゴマダラ成虫や幼虫を見るにつけ、今少し複雑な気持ちでいます。
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