四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

七国山と薬師池公園

2011-04-28 20:45:00 | 南多摩
4月28日、初夏の陽気。七国山と薬師池公園を散策しました。
七国山方面の様子は2カ月前と比べてすっかり様変わりし、春本番の田園風景が広がっていました。



七国山に向う尾根から左に張り出した丘にカントウタンポポが一面に咲き、ベニシジミがあちこちに飛んでいました。そこから雑木林を抜けて下りたところは谷戸(やと)。多摩丘陵や三浦半島の谷あいのことを地元では谷戸と呼んでいます。



谷戸を上って行くと一番奥の所が菜の花畑になっていました。写真は尾根道から谷戸を見下ろしています。2月にはこの辺りで梅が咲いていました。



菜の花畑の左にある草の斜面にツチイナゴが飛んできて着地しました。草をかき分けても逃げないので撮影できました。
ツチイナゴは草の茂る野原にいます。バッタの仲間では唯一成虫で冬越しします。これは越冬個体。涙目をしています。



クロヒカゲ。4月下旬~5月上旬出現。
羽化したばかりと思われます。薬師池公園の林内で目の前を横切り、ドクダミの葉の上でずっと静止していました。



新緑の薬師池公園



ホタルカズラ(ムラサキ科)。日当たりの良い山野の斜面に4,5月に咲きます。
万葉草花苑にて。



コミスジ。4月より出現。ミスジチョウの仲間では春もっとも早く現れます。
旧荻野家付近を飛んでは地面に止まることを繰り返していました。地面の上では保護色になると思っている様子。写真は偶然近くの葉に止まったところです。
コメント (10)

小山田緑地(4月24日)

2011-04-24 19:02:00 | 南多摩
未明の嵐も去り、快晴の朝、小山田緑地の本園にやってきました(4月24日)。

みはらし広場の草原ではタンポポが前回(4月13日)にもまして一面に咲き、ベニシジミとクマバチが多く見られ、アゲハチョウも飛んでいました。前回はクマバチを見ていません。

雑木林内では前回咲いていなかった多くの花が咲き始めていました。



アカネスミレ スミレ科
尾根道の明るい林内で咲いていました。



フデリンドウ(筆竜胆) リンドウ科
尾根道の明るい林内を午前中に通った時には咲いていませんでしたが、12時過ぎには太陽が当たり、咲いていました。



チゴユリ(稚児百合) キンポウゲ科
雑木林の下で群生していました。球根ではなく地下茎を伸ばして新しい世代を作ります。



ヤブキリ(キリギリス科)の若齢幼虫
雑木林の道端の低い草の上やタンポポの花の上などあちこちに静止していました。ヤブキリの卵は4月に孵化します。孵化後の日数が浅くまだあまり捕食されず数が多いのだと思います。



若齢幼虫は花粉や花弁などを食べる草食性です。6回脱皮し6月に成虫になります。成虫は雑食性で他の昆虫も食べます。



ミヤマセセリ。前回はあまりきれいに撮れませんでしたが、今回は歩道に止まり翅を広げたところを撮影できました。テングチョウも歩道で翅を広げていました。



4月13日に咲いていた山桜や大島桜は終わり、ウワミズザクラ(上溝桜)が咲き始めていました。



イチリンソウ(一輪草) キンポウゲ科
谷あいに群生していました。近くにニリンソウも咲いていました。
谷あいでは前回同様スジグロシロチョウが元気に飛んでいました。

前回から11日しか経っていないのに次々に新しい花が咲き、クマバチが飛び、新緑が萌えています。季節の移ろいを追うのも面白いものです。

愛用のズームレンズのオートフォーカスが故障してしまいました。何とかしないといけません。

コメント (8)

くずはの家の新緑

2011-04-23 20:26:00 | 丹沢周辺
秦野市の「くずはの家」は、神奈川県のナショナル・トラスト緑地第1号として1987年に指定された「葛葉緑地」の中心にあります。ここは、クヌギやコナラなどの広葉樹林が葛葉川に沿って帯状に残され保全されています。

新緑がとてもきれいでした(4月20日)。



くずはの家付近の風景 



くずはの吊り橋から葛葉川と新緑を見下ろす



けやきの道のクマシデの若葉



金毘羅宮近くから葛葉川の下流方面を見る



斜面の上から見たどんぐり広場。4月22日掲載のカラスの行水はここで観察しました。



どんぐり広場の若葉の中でキタキチョウが花を求めて緩やかに舞っていました。これは越冬個体で、翅が少し傷んでいます。



クヌギの花穂



コナラの花穂

コメント (2)

くずはの家の鳥

2011-04-21 20:02:00 | 丹沢周辺
4月20日、秦野駅のホームに降りたら、電線にイソヒヨドリ♂が止まっていました。



イソヒヨドリは本来、海岸の崖地や岩地に見られる鳥です。冬に暖地で過ごした個体が北へ渡る途中の可能性があります。雄は色彩豊かですが、雌は暗褐色で地味です。



その後、線路の向こう側に舞い降り、段々近くまで下りてきました。結構サービス精神に富んでいます。
気が付くと一緒に電車を降りた乗客はホームに一人もいません。珍しい鳥なのに興味を持つ人は意外と少ないものです。

くずはの家の「ほたるの道」や「うぐいすの道」の木が鬱蒼とした所でウグイスが囀っていました。その声に混ざってガビチョウがウグイスよりも大きな声で啼いてます。ガビチョウはウグイスの真似もするそうですが、今回は本来の囀りだったのだろうか。
「ウグイスの道」では3,4羽が道を横切り、藪の中に小走りに潜り込むのを目撃しました。



「ほたるの道」で見かけたガビチョウです。
くずはの家の職員に「ガビチョウが多いですね、ウグイスよりも大きい声でした」と話をしたら「そうですね、もう少し遠慮して啼いてくれるといいのですけどね」と。このままでは野鳥の生態系が破壊される恐れも感じられました。

<カラスの行水シーン>
くずはの家をひと通り巡った後、園内の「どんぐり山」のベンチで昼食を摂っていたら、水浴び場にハシブトカラスがやって来て水浴びを始めました。

行水1回目




水の中に下りると、5,6回水中で羽ばたきをし、水しぶきを上げます。それを何回か繰り返し、それから10m位右にある木の枝に止まります。

行水2回目




顔を水に付けて羽ばたいたり頭を上げたりを繰り返します。そして木の枝に移動します。

行水3回目




一心不乱に水浴びをしています。また木の枝に移動します。
行水は3回繰り返され、開始(13:01)から終了(13:09)までは8分でした。「カラスの行水」は入浴時間の短いたとえですが、このカラスは3回も出たり入ったりして入念に水浴びし汚れを落としていました。



やがてカラスは僕の座るベンチの隣まで飛んで来て止まりました(13:15)。全身水に濡れ気持よさそうです。「カラスの濡れ羽色」ですね。



近くの木に移り、翼の水気を振い落しています。



一段落着いた様子です。水浴び場から適度に離れた所で食事したのが幸いして面白い場面に遭遇できました。

<シジュウカラ>
くずはの家ではシジュウカラの巣箱のライブ中継をしています。その様子を見せてもらうと、シジュウカラは雄・雌共に留守で、産座には動物の毛が被せられていました。
職員の方は「今日までで毎日1個ずつ、合計9個の卵を産みました。今は鹿の毛と犬の毛が被せられて卵は見えません」と言って9個の卵の写った写真をみせてくれました。
「産卵が今日で終わると今日から抱卵し始め、14日後位に孵化し、雄と雌が交代で餌をやり、5月20日頃巣立つのではないかと予想しています」「すべての卵を産み終わらないと温め始めません。抱卵は雌が行い、雄は外で見張りをします」
「昨年は、巣立ちの予想日に少し早めの8時半にここに出勤しましたが、すべて巣立った後でした。今年はもっと早くここにこないとだめですね」
と丁寧に説明していただく。シジュウカラへの愛情にあふれた笑顔が印象に残っています。
今日届いた情報によると昨日も産卵し卵は計10個になり、抱卵を開始したそうです。

帰り際にツグミを見かけました。そろそろ北へ帰る季節です。

コメント (6)

くずはの家の蝶

2011-04-21 11:49:00 | 丹沢周辺
4月20日、秦野市のくずはの家にツマキチョウを見に出かけました。



ナノハナ、オオアラセイトウ(諸葛菜、ムラサキハナナ)、ハマダイコンの咲く所で、シロチョウ科の蝶が何頭も飛んでいました。近づくとツマキチョウ、スジグロシロチョウ、モンシロチョウが乱れ飛んでいます。



ツマキチョウ♂です。別の場所では雌しかいませんでしたが、ここでようやく雄に会えました。



ツマキチョウはモンシロチョウやスジグロシロチョウよりも小さく、動作は緩やかなので翅を開きかけたところを撮影。



セリバヒエンソウで吸蜜するツマキチョウ♀です。雌は前翅先端の橙黄色の色彩がなく地味な印象です。
ツマキチョウとモンシロチョウまたはスジグロシロチョウが絡みあって飛ぶシーンも見られましたが、直ぐに別種と気付いたのか分かれていました。



飛翔するモンシロチョウ。上下左右に飛ぶところを何とか画面に収めました。



飛翔するスジグロシロチョウです。



ハルジオンで吸蜜するベニシジミ。前翅基部の赤色が鮮やかです。



ハマダイコンで吸蜜するベニシジミ。この個体は後翅橙色帯の上にブルーの斑点が見られます。斑点の有無は遺伝によるものです。



斑点部を拡大すると、一分上下2段になっています。



ヒメウラナミジャノメ。後翅表の眼状紋が2個あります。



この個体の後翅表の眼状紋は3個です。眼状紋の数には個体変異が大きく、5,6個有するものもあるそうです。

くずはの家は、昨年のアサギマダラ観察の時以来でしたが、お目当てのツマキチョウに会え、他のシロチョウ科の蝶と入り乱れて飛ぶシーンも観察でき幸運でした。
ベニシジミやヒメウラナミジャノメの個体変異なども興味深く観察しました。
コメント (3)