四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

越冬中のウラギンシジミ(3)

2012-01-25 22:03:00 | 
前の晩に大粒の雪が降った翌朝、久し振りに気持ちの良い晴れの天気になりました。自宅前の雪掻きを済ませてから、雪景色を見に多摩丘陵へ向いました(1月24日)。



街中では数cmの積雪でしたが、丘陵の平原は一面の銀世界でした。



傾斜地の畑も真っ白です。



越冬ウラギンシジミのいるヒサカキの木を訪れると、ここ数日間の雨や雪の寒空を堪えて、7頭が無事に同じ葉裏に留まっていました。周りは雪景色です。
このヒサカキの上には落葉樹の大木があり、その枝に積もった雪が融けかかってバサバサっと落ちてきていました。それが葉に当たると、大きな衝撃があるはずですが、越冬するウラギンシジミたちは、葉から脱落することなくやり過ごしている様子でした。



ウラギンシジミは、重たい雪の直撃を避けうる葉裏にいますが、止まる位置は、葉の中央ではなく縁にかなり近い位置を選んでいます。
その位置は、葉の表と縁を滴る水滴を舐めることのできる範囲内なのではないかと推測しました。
また、日向側の縁に寄っているのも共通していました。見ていると、脚を固定したまま時々体を傾ける動作をします。そうすることで、日陰から翅の一部を日向に出しているのではないかとさえ思えてきました。



別の場所のツバキの葉裏を探していたら、新たに2頭を見付けました。
ツバキの咲く頃まで無事に越冬し、ピンク色の花とともに撮影できれば最高だなと期待しています。

<追記 ウラギンシジミの越冬術について 1月27日>
ウラギンシジミが身につけている越冬術は、気が付くたびに絶妙なバランスで成り立っていると感心させられます。秋の季節に、ウラギンシジミが葉裏に止まる瞬間を目撃したことがありますが、飛んできて直ぐに止まっていました。一瞬の判断で、葉裏の明るい方の縁近く、しかも胴は葉の陰になる位置を選択し、葉先に頭を向けている。これを本能で決めているんですよね。どのように止まる場所選択に関する遺伝情報が書かれ伝わっているのか本当に不思議です。

今日は寒い強風の中を歩きましたが、体も目も疲れました。ウラギンシジミの越冬は、何も食べないうえに寒さと乾燥との戦いになります。どのような体のしくみが備わっているのかこれも不思議でなりません。
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越冬中のウラギンシジミ(2)

2012-01-20 11:08:00 | 
2週間前に見付けた越冬中のウラギンシジミの様子を見に行きました(1月18日)。

前回の記事はこちら(1月5日



前回、5頭(No.1~No.5)が同じヒサカキの木にいましたが、今回新たに2頭を発見し、合計7頭になりました。後で述べる理由から、2頭は前回見落していたのだと思います。
写真(↑)の手前がNo.1、奥がNo.2とNo3、右の方にNo.6がいました。



No.6の右にNo.7がいました。



今回発見のNo.7です。
1,3,4,5,7は破損がなく、2,6は翅に破損が見られました。

越冬中のウラギンシジミは♀が多いことが知られています。そこで今回、手の届く個体の性別を調べてみると、No.1(140cm、♀)、No.2とNo.3(160cm、♀)、No.4(240cm、性別不明)、No.5(210cm、性別不明)、No.6(160cm、♀)、No.7(170cm、♀)という結果でした。数字は、地表からの高さです。
手の届いた5頭はすべて♀でした。

clossianaさんは、越冬ウラギンシジミの性別を調べ、2010年11月19日から2011年1月4日まで総数を減らしつつも♂♀性比が凡そ1対3を保っていたと報告しています。すなわち♀ほど多くはありませんが、♂も越冬態勢をとるということです。
♀が越冬するのは、春になって産卵する仕事がまだ残されているからです。それでは、♂はもう用なしということなのでしょうか。♂が越冬完遂したとなれば、春になってからその♂が交尾する可能性も否定できません。
今回、まだ越冬する♂を確認できていないので、さらに越冬個体を探して♂がいないか調べたいと思います。

次に、越冬中にウラギンシジミが静止したままであるのかどうかを調べました。

No.1

1月4日撮影

1月18日撮影

No.4

1月4日撮影

1月18日撮影

No.1とNo.4の1月4日、1月18日の写真を比較すると、2週間経ってもNo.1、No.4ともに脚の位置がまったく変わらず、一歩も動いていないことが分かりました。
神奈川東部では12月14日以来降雨が観測されず、乾燥注意報が1月18日まで33日間連続していました。その間、ウラギンシジミはただひたすら同じ葉の裏につかまってじっと耐えていたことになりますが、昨夜ようやく雨となったので、葉を濡らす水滴で水分補給ができたのではないかと思います。

5頭のウラギンシジミが前回と同じ葉の裏に静止していたことから考えると、この寒さの中でどこか別の場所に飛んで移動することは考えにくいと思います。なので、新たに見付けた2頭は別の場所からやってきたのではなく、元々いたのに見落としたのではないかと考えます。

しかし、観察時に一部日が当たって体が少し温まったのか、脚を固定させたまま体全体を左右に動かす仕草は見られました。完全に意識を失っているわけではなさそうです。

今日(1月20日)は雪になり、明日、明後日も寒い雨模様が続く予想です。この厳冬期を乗り越えられるか、見守っていきたいと思います。

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北鎌倉古刹の初詣

2012-01-16 14:41:00 | 湘南
鎌倉古道を歩く企画で、北鎌倉の古刹、東慶寺、浄智寺、建長寺、そして鶴岡八幡宮へ初詣しました。

<東慶寺>


東慶寺は、覚山志道尼の開山によるもので、「縁切り寺」「駆込み寺」として知られています。
臨済宗のお寺で、創建は弘安8年(1285年)。



境内には蝋梅が咲き、甘い香りが漂っていました。

<浄智寺>


浄智寺の山門。2階の花頭窓の内側に梵鍾があります。
浄智寺も臨済宗のお寺で、創建は弘安4年(1281年)。



仏殿。
浄智寺の境内には、鎌倉七福神の布袋尊が安置されていました。

<建長寺>


建長寺の山門。後深草天皇筆と伝えられる額「建長興国禅寺」が掲げられています。
建長寺も臨済宗のお寺で、創建は建長5年(1253年)。
年号を寺号とするのは、国家的な事業として創建されたことを意味するそうです。



法堂の天井の雲龍図。この雲龍図は、建長寺創建750年記念事業として小泉淳作が描いたもので、80畳の広さがあります。
小泉淳作筆の雲龍図は、京都の建仁寺にもあります。
臨済宗黄檗宗各派本山 雲龍図

<鶴岡八幡宮>


大分日が西に傾いた頃、鶴岡八幡宮をお参りしました。

今年こそ穏やかな年でありますように。

<追記>silkcottonさん、建仁寺にも小泉淳作筆の雲龍図があることを教えていただき有難うございました(1月17日)。
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がってん・蛾展

2012-01-12 16:38:00 | 


春野蝶多さん主催の「がってん・蛾展」を見に行きました。



会場には、春野さんが南米や東南アジアに遠征して採集した数多くの蛾の標本が並べられ、蝶や蛾を愛する人たちが大勢お見えでした。


ベトナムフタツメヨナグニサン♂

世界最大の蛾といわれるヨナグニサンの1種、ベトナムフタツメヨナグニサン♂です。


Cocytius cluentius (仮称 ストロースズメ)

フレンチギアナ(南米)で採集された蛾で、口吻(ストロー)が20cm以上もあります。どういう花で吸蜜するのかを伺うと、ランとのことです。入り口から蜜源までの距離が長い種類のランに適応したのでしょう。普段は、口吻をゼンマイのように巻いているそうです。


オオツバメガの1種(南米産)

アオスジアゲハを思わせるような美しい蛾で見とれてしまいました。



ミイロタテハを思わせる、赤色と緑青色の美しい蛾。
春野さんに「蝶のように美しいですね」というと直ぐに「蝶よりも美しいですよ」と返されてしまいました。



Tさんが賛助出展した、小型蛾類の標本です。下の段、右から2つ目のアヤホソコヤガがその中でも一番小型で、ボールペンの軸の太さ位の小ささでした。
Tさんは、微小な蛾の採集の仕方、展翅の仕方について熱く説明されていました。

地球上にはこんなにもヴァラエティに飛んだ大きさ・形の蛾がいることや、何とも美しい蛾がいることを知ることが出来ただけでも大きな収穫でした。

春野さん、素晴らしい展示を見せていただき有難うございました。
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越冬中のキタテハ

2012-01-09 15:04:00 | 
町田の谷戸の風景です。



真冬の太陽は低いので、谷戸には影が広がっています。



谷戸の溜池には薄く氷が張り、青い空が氷で柔らかく反射していました。


キタテハA (1月4日撮影)

それでも谷戸の陽だまりは暖かく、枯れた草斜面の窪みの奥にキタテハが静止し越冬態勢に入っていました。日中でも半日陰で、雨の当たらない場所に頭を下にし前翅と後翅を少し離し4本の脚で止まっています。


キタテハB

近くに別の個体が静止していました。



その拡大写真です。4本の脚で枯れ草の茎を抱えるように止まっています。原色日本蝶類生態図鑑には「触覚を翅の間に入れて越冬する」との記載がありますが、この個体は触覚を翅の外に出していました。暖かいので目覚めているのでしょうか。また次の機会に触覚の位置を確認したいと思います。

昨年の9月に多数のキタテハを目撃したカナムグラ群落付近も訪問しましたが、越冬中のキタテハを見付けることはできませんでした(1月8日)。

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