四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

狭山丘陵(2)

2011-05-27 13:00:00 | 武蔵野
5月25日(続き)

赤坂谷戸で昼食。カルガモの番が水浴び・毛繕いをしていました。



赤坂谷戸の上流方面です。



赤坂谷戸の近くの笹にオオミズアオ(ヤママユガ科)が止まり、笹を動かしてもビクともしませんでした。



反対側から表を撮影。日陰とはいえ、山道に面した場所で眠っているのか、かなり目立ちます。オオミズアオの学名は Actias artemis。属名のartemisは「月の女神」という意味。ヨーロッパや北米に似た種類がいて、"Luna Moth"(月の蛾)と呼ばれているそうです。灯火によく飛んできます。



六地蔵。近くの札に「明治30年8月から11月にかけて赤痢が大流行し、中藤・横田・三ッ木・岸の四ヶ村合わせて51人が死亡したので、念仏講中の人々が供養のために浄財を募金し造立したものです」と書かれています。
六地蔵の向こうに、東西に伸びる尾根を辿る遊歩道があり、ウォーキングする人が何人もいました。遊歩道が埼玉県所沢市との境界線になっています。



六地蔵を囲む生垣の内側でシオカラトンボ♀(ムギワラトンボ)が草に止まり、風が吹いても接近しても逃げませんでした。親しみを感じます。



キツツキの啄く音を聞きながら森の中を行き、堂山(おびときやま、おいどのやま)の手前の谷戸に下りる。大きな岩が無造作にあり、庭園のような落ち着いた空間になっていました。以前はここに湧き水が流れていたそうですが今やその水は枯れています。雑木林の景観を残す形の公園とはいえ、強度な伐採などの影響もあったのだろうと感じました。



タツナミソウ(立浪草)シソ科
谷戸に群生していました。



森から出た道路脇の木に、アカボシゴマダラ春型が止まっていました。

今回散策したのは狭山丘陵の西端にある都立六道山・野山北公園の一部です。六道山・野山北公園は都立最大の公園で、開園予定地を含めると東京ドームの約56倍、260ヘクタールもあります。里山民家や多くの谷戸があるので、どんなところなのかまた訪問しようと思います。

<追記> その他確認した蝶:ダイミョウセセリ、サトキマダラヒカゲ
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狭山丘陵(1)

2011-05-26 16:30:00 | 武蔵野
5月25日 
梅雨入り前の貴重な晴れの日に狭山丘陵を散策しました。

多摩都市モノレール上北台駅-(武蔵村山市内循環バス)-峰停留所-都立野山北・六道山公園管理所-エケ入谷戸-赤坂谷戸-六地蔵-堂山-峰停留所

狭山丘陵は、武蔵野台地の真ん中に島のように残された丘陵です。2歳までの乳幼児期を過したのはここ狭山丘陵の近く・・・15年ぶりの訪問になりました。



狭山丘陵の森の手前に茶畑と製茶工場がありました。原発事故の影響でお茶の栽培や製茶が今後どうなるのか大きな不安を抱いていることだろうと案じながら通りました。

ナガサキアゲハ白化型なのかアカボシゴマダラ春型なのか、白っぽく大きい蝶が飛翔していました。



管理所に寄った後、エケ入(エゲイリ)谷戸(↑)に下りました。途中の草地ではヒメウラナミジャノメが多く見られました。谷戸でクロヒカゲを見る。



キセキレイが木道で餌をくわえ直していました。



尾根道は整備され、標識も分かりやすく設けられています。森ではホトトギス、ウグイス、ガビチョウが囀り、キツツキの木を啄く音が響いていました。



この時期、花は少ないですが、コアジサイが何箇所かで咲いていました。エゴノキは散り始めています。



展望デッキから細田山方面。



デッキ脇にホウノキがあり、花の内部を覗くことができました。



陽の光を受けるクロヒカゲ。その他、アオスジアゲハ、黒いアゲハの飛翔を見かけました。
この辺りでは、六地蔵を中心に、尾根が指を広げたような形で張り出し、その尾根の間に谷戸が何本かあります。地図を確かめながら道を探すのも楽しいものです。(続く)

<追記>ちょうど同じ25日に狭山丘陵で蝶の観察をした「ゆたかの自然散歩。」のゆたかさんより「狭山丘陵でここ2,3年黒のナガサキアゲハを見るようになりましたが、白化型は見たことがありません。25日、アカボシゴマダラ春型を数頭みました」との情報をいただきました。
本文中記載の「白っぽく大きい蝶」はアカボシゴマダラ春型の可能性が大です。ゆたかさん、有難うございました。
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町田の谷戸と尾根道の散策

2011-05-22 20:15:00 | 南多摩
5月19日 晴れ 

朝から暑い日でしたが、町田市の谷戸と尾根道を散策しました。今日は訪問していない谷戸を巡るコースです。

コース : 小山田緑地-多摩丘陵病院近くの谷戸-丘陵の頂上-小野路城址-長尾根-白山谷戸



出発地点の小山田緑地のイチモンジチョウ。他にクロヒカゲも地面に止まっていました。



東谷戸の入り口に行くと犬が吠えていたので、1本北の谷戸(多摩丘陵病院近くの谷戸)に入りました。田んぼには水が張られ、苗代が準備されていました。



谷戸の最奥部に畑があり、3人が作業していました。その一人の話を聞いたところ「多摩川の方の畑からこちらの畑に引っ越してきた。3年目にして漸く良い作物が収穫できるようになった」「ここの畑にはキジもタヌキもやって来るよ」とのこと。ジャガイモやインゲンなど30種類栽培しており、ちょうどスイカの苗を定植中でした。

この先整備された道はなく、笹薮の中をかき分けて上り、尾根道に辿り着く。一旦多摩市の住宅街に下り、再び町田市側の森に入る。



尾根道を南下する途中の畑です。
小野路城址に着くと遠足に来た幼稚園児たちに会いました。園児も先生も元気一杯です。「おじさんカメラマン?」と聞くので「そうじゃないよ、趣味だよ」と答える。可愛いもんです。



乗越八幡跡から長尾根に入り、なだらかな下り道の林内で昼食にする。さわやかな西風が吹き抜けて心地良い。



長尾根の中程で左に白山谷戸が見えてきたので下りる。ここは段々畑が耕作放棄され草地になっていました。シオヤトンボがいましたが、蝶の飛ぶ姿は見当たりませんでした。



下って行くと葦の原があり、その下は階段状の田んぼです。



ヤマサナエ。あちこちで見かけました。



サトキマダラヒカゲ。今年初めてです。



小山田緑地に戻る途中の五反田谷戸で休憩していると少し年輩の男性が来ました。彼は柿の木を探して撮影しているようです。谷戸を訪ねる目的も様々あるものだと思いました。



五反田谷戸から森の中を抜けて隣の神明谷戸に下りると、1時間半前に小野路城址で会った園児たちにまた会い、再び「あ、カメラマンだ」と声を掛けられました。年中組と年長組、園児達が細い農道を一列になって帰っていきます。心の和む良い風景ですね。
畦は草刈され、一部水も張られています。そろそろ田植が始まりそうです。

東谷戸には再度挑戦したいと思います。
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ジャケツイバラ(蛇結茨)

2011-05-22 10:41:00 | 南多摩
5月18日(続き)

大地沢のツツジ近くで蝶を撮影していたら、年輩のご夫婦が「もう少し上の方でジャケツイバラが咲いていますよ」と教えてくれました。
ジャケツ? Jacket? どんな花か想像が付きませんでしたが、わざわざ声をかけてくれた位だから見応えのある花なのだろう。左右を見ながら歩きましたが見付かりません。諦めて戻ると、やがて左の上の方に見事に黄色い花を咲かせる大木?が目に入りました。





黄色い房状の花が藤とは反対に上向きで咲いています。





花弁の1枚に赤い模様が付いています。

その直ぐ下の道路際に看板があったので、そのまま引用します。

「蛇結茨(じゃけついばら)」
マメ科の落葉蔓性植物で、蔓や葉軸に鋭い鈎状(かぎじょう)のトゲがあります。種子は有毒だが、マラリア・駆虫などの薬用植物です。
川の向こう側から炊事場の屋根の上にある木に巻きつく蔓の木は「蛇結茨」と言い、5月中旬に山吹色の花が咲きます。
蔓から葉っぱまでトゲがありますので、昔は、山仕事の邪魔になり切られていました。
大地沢の近くの山に、これだけ太い蛇結茨は、ないと思います。

大木ではなく、藤のような蔓性の木だということが分かりました。
色々な場所に行くと思わぬ発見があるものです。

自分の目には蝶やトンボは直ぐに気が付きますが、大地沢では小さい昆虫も沢山飛んだり止まったりしていました。77歳になるという男性は、カメラを草の葉に近づけて色々な昆虫を撮影していました。「小さい昆虫を撮影してそれをカードにして楽しんでいます」と言って、アカガネサルハムシ(5.5~7.5mm)、アトジロサビカミキリ(8~11mm)のカードを手渡してくれました。

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大地沢の昆虫

2011-05-20 11:23:00 | 南多摩
5月18日(続き)

大地沢の谷戸ではウスバシロチョウの他にアオスジアゲハがハルジオンで吸蜜あいていました。ハルジオンやヒメジョオンは耕作放棄地に最初に侵入する植物ですが、ハルジオンはこれらの蝶にとっては貴重な蜜源になっています。



アオスジアゲハは、僕のブログに最初に登場した、特別の思い入れのある蝶です。2005年に港区の神谷町で多数のアオスジアゲハを観察したのは真夏で、ハルジオンもヒメジオンも咲いておらず、吸蜜現場を仲々目撃できなかったことを思い出します。



アオスジアゲハは吸蜜中でも細かく翅を振るわせるので撮影し難かったのですが、午後になり曇り空の下、動きが緩やかに。



ミヤマカラスアゲハ♀
ツツジの花の所でしきりに雄が雌を追いかけていましたが、動きが激しくて雄はピンボケでした。天候は再び晴れ。ミヤマカラスアゲハは初見です。
いつかもう少し時間をかけて撮影したいと思います。



オナガアゲハ。翅を透かしてツツジの赤色が見えています。



ダイミョウセセリ。第1化は5月。あちこちで見かけました。



ハンミョウ(斑猫) コウチュウ(甲虫)属ハンミョウ科
川の近くの歩道でハンミョウが歩いていました。図鑑では見ていましたが実物は初めて。実にカラフルです。



見る角度が変わると微妙に色が変化しています。
ハンミョウの翅の発色は、色素によるものではなく翅の構造によるものなので、色褪せることはありません。部位ごとに翅の多層構造の厚みを異ならせて赤・緑・紺・白などの色が反射するように設計されています。
※詳しくはこちらをご覧ください。



ニホンカワトンボ♂ 橙色翅型(未熟)
橙色翅型の未熟な個体は翅中央付近が白色ですが、成熟するとその部分も橙色に変わります。



ニホンカワトンボ♂ 橙色翅型(成熟)


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