ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

永遠の0

2010-09-10 05:00:00 | 読書
8月には戦争を扱った本を読むのが恒例となっている年果(日課に対して)ですが、一応持っていったのですが、田舎に帰っている期間にも読むことが出来ず、帰ってから読み出したのが、この『永遠の0』です。

著者の百田尚樹は、私は観てないのですが映画にもなった『ボックス』の作者、なかなか売れっ子の小説家のようです。

主人公の佐伯健太郎とその姉が特攻で亡くなったという祖父の姿を求めて、祖父を覚えている戦友に話を聴いていくという粗筋、随分都合よく年代順に話を聞けていますが、話が前後するよりは解り易いです。

10人の戦友から話を聞けていますが、戦後60年経って10人もの戦友の話が聞けるのは多い方だとは思いますが、話の構成上10人要ったわけですね。

太平洋戦争で何が悲惨だったのか、陸軍の話は何度か読みましたが、これは海軍の話。タイトルにある0は、開戦当初無敵といわれた零戦のゼロ、健太郎の祖父・宮部久蔵はその零戦の辣腕パイロットだったのです。

             

妻や娘に会うためにも、絶対に死なないという覚悟で闘い、戦友にも「死ぬな」と優しく声をかける宮部は、激戦の舞台では変わり者・臆病者と思われ、その飛行技術の卓越さから憎まれもしたのです。

そんな祖父の姿を最初は期待を裏切られた思いで聞いていたのですが、聞くことを重ねるうちに信頼感に変っていきます。

10人の話はよく調べられていて、戦争の惨劇を知るには格好の書だとは思うのですが、生き残った戦士が60年も経った人の話を本当に、正確に覚えていられるものなのか・・・記憶力の乏しい私には無理なことですね。

そして10人の語り口が口語調ではなく、文語調になってしまっているのが、この物語の欠点だと思うのです。

そして最後の証言者、何故実の祖父が特攻で死んで行ったのか、その答えは今の祖父が知っていたのでした。


児玉清氏が泣くのを堪え切れなかったと帯に書いてありますが、私はそんなことなかったなぁ。穿った思いかもしれませんが、ストーリーとしては、うまく出来すぎなのです。

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