「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

ディキンソンさんの安息日 MY SABBATH Long Good-bye 2021・11・20

2021-11-20 05:15:00 | Weblog


   今日の「 お気に入り 」は 、アメリカの詩人 エミリー・ディキンソン( Emily Dickinson 、1830 - 1886

  さん の 短詩一篇 「 教会へ通って安息日を守る人がいます ―― 、" Some keep the Sabbath going to Church ―― " 」 。

   以下に 、訳詩 、原詩 の 順に 引用します 。


     「 教会へ通って安息日を守る人がいます ――

      わたくしは守ります 、家にいて ――

      ボボリンクが聖歌隊員 ――

      果樹園が 、ドームです ――


      白い法衣を着て安息日を守る人がいます ――

      わたくしは翼をつけるだけ ――

      礼拝式のため 、鐘を鳴らす代わりに 、

      わが愛らしい堂守りは ―― 囀 ( さえず ) ります 。


      神さまが説教します 、有名な牧師さまです ――

      ご法話はけっして長くありません 。

      だからやっとのことで天国へ 、行き着く代わりに ――

      わたくしは はじめから 、通い続けているのです 。 」


     「 Some keep the Sabbath going to Church ――

      I keep it, staying at Home ――

      With a Bobolink for a Chorister ――

      And an Orchard, for a Dome ――


      Some keep the Sabbath in Surplice ――

      I just wear my Wings ――

      And instead of tolling the Bell, for Church,

      Our little Sexton ―― sings.


      God preaches, a noted Clergyman ――

      And the sermon is never long.

      So instead of getting to Heaven, at last ――

      I'm going, all along.
 」


    ( 出典: 亀井俊介 編「 対訳 ディキンソン詩集 ―― アメリカ詩人選 ( 3 ) 」 岩波文庫 )


    ( 筆者註:  ボボリンク ・ bobolink は 、北米産の小鳥 。文庫本にある訳註 には 、
          「 Bobolink 、ボボリンク ( 米喰い鳥 ) 。ボボリンク と聞こえる美しい声
          で鳴く北米産の鳥 」と 解説されています 。

          Chorister は 、教会の 聖歌隊員 、あるいは 聖歌隊指揮者 ( choir leader ) 。

          Surplice は 、聖職者・聖歌隊が儀式に着る袖の広い白衣 のこと 、サープリス 。

          wear my Wings は 、翼を身につける 。自分も鳥の仲間に加わっている感じ 。
          wear my Wigs じゃありません 。

          Sexton は 、教会の使用人 、寺男 、堂守 のこと 。鐘をつくことも仕事としている 。

          Clergyman は 、聖職者 、牧師さま 。

         all along = all the time はじめからずっと 。

         文庫本にある訳註 には 、「 ディキンソンは教会の形式化した礼拝に参加すること
         を嫌っていた 。自然と交わることによって 、直接的に天国へ到る思いをうたっている 。
         ニューヨークの週刊誌 The Round Table ( 1864年3月12日 ) に " My Sabbath " と題して
         発表された 。」と 解説されています 。

         " God preaches, a noted Clergyman ――
         And the sermon is never long. " について 、 
         「 自然の中では神がみずから語るような思いがする 。」と 脚註 が 付けられています 。 )  




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