「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

例の 暗い行列 Long Good-bye 2021・11・18

2021-11-18 05:09:00 | Weblog


   今日の「 お気に入り 」は 、アメリカの詩人 エミリー・ディキンソン( Emily Dickinson 、1830 - 1886 )

  さん の 「 お向かいの家に 、死人が出た 、" There’s been a Death, in the Opposite House , "

  という タイトル の 短詩一篇 。

   以下に 、訳詩 、原詩 の 順に 引用します 。


     「 お向かいの家に 、死人が出た 。

      ほんの今日のこと ――

      わたしには分かります 、そういう家に

      いつも生まれる ―― 麻痺した表情から ――


      ご近所が忙しく出入りする ――

      お医者さんが ―― 馬車で去る ――

      窓がエンドウ豆の莢 ( さや ) のようにあく ――

      不意に ―― 機械的に ――


      誰かが敷布団を抛り出す ――

      子供たちはあわてて通りすぎる ――

      この上で ―― 死があったんかと思いながら ――

      子供の頃 ―― わたしがよくそうしたように ――

      

      牧師さんが ―― しゃちこばって入っていく――

      この家は自分のものとでもいうように ――

      いまは ―― すべての会葬者はわが配下 ――

      おまけに子供たちも ―― とでもいうみたい ――


      それから帽子屋 ――

      そして恐ろしい商売の人が ――

      『 』の寸法をとりに来る ――


      例の暗い行列があるでしょう ――


      ふさ飾りの ―― 馬車の ―― 行列が間もなく ――

      看板のように一目瞭然 ――

      直観で分かるニュースです ――

      ちょっとした田舎の町の ――         」



     「 There's been a Death, in the Opposite House,

      As lately as Today ――

      I know it, by the numb look

      Such Houses have ―― alway ――


      The Neighbors rustle in and out ――

      The Doctor ―― drives away ――

      A Window opens like a Pod ――

      Abrupt ―― mechanically ――


      Somebody flings a Mattress out ――

      The Children hurry by ――

      They wonder if it died ―― on that ――

      I used to ―― when a Boy ――


      The Minister ―― goes stiffly in ――

      As if the House were His ――

      And He owned all the Mourners ―― now ――

      And little Boys ―― besides ――


      And then the Milliner ―― and the Man

      Of the Appalling Trade ――

      To take the measure of the House ――


      There'll be that Dark Parade ――


      Of Tassels ―― and of Coaches ―― soon ――

      It's easy as a Sign ――

      The Intuition of the News ――

      In just a Country Town ――    
 」


    ( 出典: 亀井俊介 編「 対訳 ディキンソン詩集 ―― アメリカ詩人選 ( 3 ) 」 岩波文庫 )


     コロナ で 変わる 葬儀 の かたち 。

     本人頼みもしないのに 、向こうから 出張って来る お坊さま や 牧師さま に 、エミリさん は 不満そう 。

     ご近所に 不幸があった時に覚える 、身が引き締まるような 不思議な 感覚 、

     子供の頃 を 思い出す 、・・・ 今は昔 ・・・ ( ^ω^)・・・ 。


     翻訳の妙

コメント
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