「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

Genome ヒトゲノム Long Good-bye 2021・11・27

2021-11-27 05:47:00 | Weblog


  今日の「 お気に入り 」は 、昨日の続きで 、ノンフィクション作家 ビル・ブライソンさん の

 著書 " The Body ― A Guide for Occupants " の 一節 。

     " All of the components of the genome have one single-minded purpose—

     to keep the line of your existence going. It’s a slightly humbling thought that

     the genes you carry are immensely ancient and possibly—so far anyway—

     eternal. You will die and fade away, but your genes will go on and on so long

     as you and your descendants continue to produce offspring. And it is surely

     astounding to reflect that not once in the three billion years since life began

     has your personal line of descent been broken. For you to be here now,

     every one of your ancestors had to successfully pass on its genetic material

     to a new generation before being snuffed out or otherwise sidetracked from

     the procreative process. That’s quite a chain of success. "


    ( 筆者註 : 文中の genome は ヒトゲノム のこと 。耳で聞く発音 は 「 ジノム 」みたい 。
          インターネットのフリー百科事典「 ウィキペディア 」日本語版 によると 、
          「 ヒトゲノム は 、その名の通りヒト ( Homo sapiens )
           のゲノム、すなわち 、遺伝情報の1セットである 。ヒトゲノム は
           核ゲノム と ミトコンドリアゲノム から成る 。」

          「 核ゲノム は 約31億塩基対 あり 、細胞核内で 24種の 線状DNA に分
           かれて 染色体 を形成している 。
           最も大きいものが 2億5千万塩基対 で 、最も小さいものが 5500万
           塩基対 である 。」

          「 染色体 は 22種類の 常染色体 と XとYの2種類の 性染色体 に分類され
           る 。核を持たない 赤血球 をのぞく 体細胞 は 2倍体 であり 、同じ種類
           の 常染色体 を 2本ずつ 、性染色体 を 2本( 女性は XとX 、男性は Xと
           Y )の 合計46本 の 染色体 を持っている 。生殖細胞 は 1倍体 であり 、
           常染色体 を 1本ずつ 、性染色体 を 1本の 合計23本 の 染色体 を持っ
           ている 。なお 、細胞核中の ゲノム は( フラクタル構造の一種である )
           ヒルベルト曲線と類似した 、コンパクト形に折りたたまれていることが
           近年になって判明した 。
           ミトコンドリアゲノムは 16569塩基対 の 環状DNA で ミトコンドリ
           ア の中に多数存在している 。
           体細胞 も 生殖細胞も約 8000個ずつ持っている 。
           近年の研究では 、ゲノム中のほとんどの ノンコーディングDNA が 生化
           学的活性( 遺伝子発現調整 、染色体の構造形成 、エピジェネティクス
           のコントロールなど )を持っていることが示唆されている 。」
           と解説されています 。体の中は 、無限に広がる 「 小宇宙 」 。)   

   まるで チンプンカンプン の 解説 と違って 、ブライソンさん のは 、素人にも 分かるような 、

  本質をついた 説明で 読者を置いてけぼりにも 飽きさせもしません 。翻訳本の該当部分の邦訳も

  なかなかのもんです 。
  
   「 ゲノムのあらゆる成分は 、ただひとつの目的を持っている 。

    あなたの 存在 を保ち続けることだ 。

    体に備わっている 遺伝子 が悠久の昔から受け継がれ 、ひょっとしたら

    ── とにかく 今のところは ── 永遠に続いていくかもしれないと考え

    ると 、 少しばかり謙虚な気持ちにならないだろうか 。

    あなたは いずれ 死んで 消え去るだろうが 、遺伝子 は 、あなたとその

    子孫が子どもを生み続けるかぎり 、ずっと ずっと 生きていく 。

    そして 、生命が生まれて以来 、三十億年のあいだ 一度たりとも 、あな

    たを終点とする血筋が途絶えなかったというのは 、間違いなく驚嘆に値

    する 。あなたが ここにいるのは 、先祖たちが ひとり残らず 、殺され

    るか 何かの理由で 生殖のプロセスから弾き出されることなく 、遺伝子

    材料を新しい世代にうまく受け渡してきたからだ 。

    すばらしい成功の連鎖といえるだろう 。」

      ( 出典 : ビル・ブライソン著 桐谷知未訳 「 人体大全 ― なぜ生まれ 、
         死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか ― 」新潮社 刊 )



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