「不運なることこそあれ、そこたちにかようにせらるべき身にもあらず」
と道長を前にした酒宴で啖呵を切ったのは藤原隆家であった。だが、さすが道長、いっこうに動ぜず、隆家の襟の周りについている紐をほどいたやったところ、「これらこそ、あるべきことよ」と機嫌をとり直していつも以上に飲み騒いだとか。
このエピソード、浪人中に予備校の古典の授業で習って、記憶に残っていたのだが、なんの出典だったかいっこうに思い出せなかった。これしかないか、と思って開いた『大鏡』にやっぱりあった。30年たっての再会ですわ、隆家どの。
今年は隆家さんを見習ってプライドを持ってがんばるのだ。
で、歌としては、兄弟の家隆のほうがおおらかで俺は好きなんだ、実は。定家と同時代でこの人もなかなかの人だったんだが、元旦の日に一首。
ながめつつ思ふもさびしひさかたの月の都の明け方の空
この歌、じつは月に住んでいる月人の思いを代わりに詠んでいるという、なんともSFなうたなのだ。月の都に住む人も、明け方の空を見るのはさびしかろう、ってことなんだが、そのとき月の人は地球をみとるんだろうねえ。でかいなあ。
と道長を前にした酒宴で啖呵を切ったのは藤原隆家であった。だが、さすが道長、いっこうに動ぜず、隆家の襟の周りについている紐をほどいたやったところ、「これらこそ、あるべきことよ」と機嫌をとり直していつも以上に飲み騒いだとか。
このエピソード、浪人中に予備校の古典の授業で習って、記憶に残っていたのだが、なんの出典だったかいっこうに思い出せなかった。これしかないか、と思って開いた『大鏡』にやっぱりあった。30年たっての再会ですわ、隆家どの。
今年は隆家さんを見習ってプライドを持ってがんばるのだ。
で、歌としては、兄弟の家隆のほうがおおらかで俺は好きなんだ、実は。定家と同時代でこの人もなかなかの人だったんだが、元旦の日に一首。
ながめつつ思ふもさびしひさかたの月の都の明け方の空
この歌、じつは月に住んでいる月人の思いを代わりに詠んでいるという、なんともSFなうたなのだ。月の都に住む人も、明け方の空を見るのはさびしかろう、ってことなんだが、そのとき月の人は地球をみとるんだろうねえ。でかいなあ。