肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『キサラギ』、観ました。

2007-08-02 22:10:46 | 映画(か行)
P250kisaragipo
監督:佐藤祐市
出演:小栗旬 / ユースケ・サンタマリア / 小出恵介 / 香川照之 / 塚地武雅

 『キサラギ』、映画館で観ました。
焼身自殺で最期を迎えてしまったD級アイドル<如月ミキ>。ファンサイトで知り合った
彼女を愛してやまない男たち5人が、彼女の1周忌に集まった。それぞれに彼女との
思い出を語る彼ら。しかし、本当に自殺だったのか? その事に疑問を感じていた彼らは、
それぞれの事件当時の記憶を頼りに検証し始めるが……。
 何ヶ月も前から雑誌やネットで話題沸騰、7月もやっと終わる頃になって、ここ豊橋の
映画館でも上映開始されたのだが、「何を今さら…」なんて想いもないワケじゃーない。
例えるなら、すでに“型遅れになった携帯電話”を仕方なく定価で買わされたような…、
そんなカンジ。もう完全に乗り遅れたゼ(笑)。
 ともあれ、映画は“低予算”ならではのアイデアがいっぱい。出来自体も申し分無い。
D級グラビアアイドル…、自殺の真相…、ネット掲示板で集まったキモいオタクの面々…、
“チープな題材”ゆえに興味をそそる(笑)。いや、しかし、こいつが単なる“カルトな
楽しさ”だけを追求した只のおバカ映画かと言えばそうとは限らず、様々な伏線を
散りばめながらも、次々と浮かび上がってくる自殺の疑問と、次第次第に明らかになって
くる真相の数々……、脚本の出来がモノをいう“密室推理もの”だけあって、ナルホド、
さすがにこれは良く練り込まれている。しかも、一見、ハチャメチャな展開に思わせて
おいて、最後はホロリ、感動の涙まで…。出演陣も奮闘し、監督の演出もなかなかの
ものだが、トータルでみれば…、これはやっぱり“脚本の勝利”だね。
 と、ここまで書いてきて、改めて映画を検証してみると、観始め当初は“単なるお遊び”
としか思えなかったことが、実は後になってそれが重要な意味合いを持っていたことに
気付かされる。いや、その前に、そもそもこの映画における“アイドルとそのファンの
関係”って‥‥??、それから“ネット掲示板の書き込み仲間の関係”って何だろう??、
その両者に共通するものは、相手の本当の姿(実体)を知らないまま、両者が見えない
糸で繋がっている……、いわば、その相手は自分のアタマの中で勝手に作り出した
“虚像”に過ぎないのだ。そして、いつしか彼らは、その虚像を“実像”だと思い込み、
それを“心の支え”として生きていく。しかし、ここでよく考えてみて欲しい。ボクらは
そんな彼らを笑うことは出来ない筈だ。なぜなら、ボクらが常に信じてはばからない、
“未来”も、“夢”も、それに“希望”だって、やはり自分が勝手に思い描いた“虚像”に
過ぎない。本当にあるのかどうか、本当に来るのかどうか分からない明日にすがって
生きていくしかないのだから。そう考えれば、「人間なんて、なんと哀しい生き物だ」って
思えてくる(涙)。でも、ボク達は“ほんの僅かばかりの夢”があるだけマシかもしれない。
だって、本当に哀しいのは“たった一つの虚像”さえ見向きもせず、“目の前の実像”しか
信じられない人なのだから。



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