金髪の運転手

何処か判らないが大きなビルの前にタクシーが停まっている。
母と弟がすでにタクシーの後部座席に座っていて、
私が助手席に乗り込んだら、一緒に帰ろうとしていて、
父は姿が見えないが、大きなビルの中にいて、後に残るらしい。
が、私は乗り込もうとして、ふと運転手を見ると、
金色に髪を染めている若い男（似てる俳優など思いつかない）だったので、
何か不吉な予感がしてしまった。
そこで、
「お父さんが何か用があるって呼んでるよ。」
と、言い、母と弟をタクシーから降ろし、建物の中に導く。
もちろん父は呼んでいなかったし、
せっかくタクシーを捕まえたのにと母と弟は不満そうである。
が、運転手に何か不吉なものを感じたと説明すると、
母も金髪に髪を染めたタクシーの運転手というのは
あまり好感が持てないと感じたらしく、納得してくれた。
改めて帰ろうと、外へ出るといつしか雨が降っていて、
なかなかタクシーは捕まらなかったので、
２人に悪いことをしたかなと思いつつ、
そのまま、歩いて家へ帰りついたらしい。
家の前にタクシーが停まっているのに気が付く。
さっきのタクシーのようである。
母に「住所とか言ったの？」と聞くと、
「そんなことは無い。」と言うので、
なんとなく嫌な予感を感じていると、
車の中から、運転手が出てくる。
さっきの運転手のようだが、髪は金色に染めていない。
そして「さっきは上手く逃げたな。」と言う。
どうやら、我が家の誰かに恨みを抱いた男で、
さっきは金髪のカツラで変装していて、
なにか危害を加えようとしていたのはないかと気が付き、
とっさに母をかばうと、男が詰め寄ってくる。
無我夢中で、男を投げ飛ばして、
弟と必死で押さえつけていると、
近所の人らしい人達が集まってきてくれる。
警察を呼んでくれたらしく、やってきた警察官に
男を引き渡し、ほっとしているうちに、目が覚めた。



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