坂東三十三観音霊場・第17番札所の満願寺(出流観音)を参詣する。
近年は、家を出発する時間が遅い。早朝だとバテてしまうからである。8時半に家を出て、北千住駅から東武線の特急に乗り、栃木駅に着いたのが正午前だった。
栃木駅からコミュニティ・バスで1時間10分。山の中に入り、途中、石切場を通り、行き止まったところで下りる。
バス停からも坂道を上がらなければならない。仁王門が見えたときはホッとした。道筋はそば屋が並んでいた。
仁王門から本堂まではまだ距離がある。
本堂。護摩の最中だった。ここは真言宗智山派の寺院である。由緒によれば、もともとは役小角が創った寺院であるが、深山幽谷の寺社というと、役小角が創始したという伝説が多い。山岳信仰の修験者が建てたのだろう。
深山幽谷に建てられる場合は、奇岩や滝の近くであるのが普通である。満願寺の場合は、滝である。奥の院に大悲の滝がある。自分は体力に自信がないので奥の院には行かなかったが、特徴のある奥の院らしい。
境内は苔むしていた。寺務所の建物は結構古びていて、手入れが行き届いていない。参詣者が少なくなっているのではないか。歴史のある寺院だが、アクセスが不便すぎる。
帰りのバスは15時45分で、待ち時間が長かった。待ち時間が長いと、どういうわけか、旅情を感じる。一人、ポツネンとバスや列車を待つ時間に旅に出たという実感が起きる。旅行会社のツアーでは味わえない感覚である。