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軽井沢の堀辰雄文学記念館 「風立ちぬ、いざ生きめやも」 美しい村に建つ堀辰雄終焉の家はとてもシンプル

2016年09月29日 | 旅行記

軽井沢と言えば、堀辰雄。


風立ちぬ、いざ生きめやも・・・。


初めて読んだのが、中学生の頃でした。

サナトリウム、リルケ、バルコン、ヴィラ、ニイチェアン・・・

ちょっとハイカラでセンチメンタルなストーリーは、多感な中学生に大きな影響を与えました・・・。

風立ちぬ、いざ生きめやも。

Le vent se leve・・・

フランスの詩人ポール・ヴァレリー「海辺の墓地」の一節です。

ヴァレリーは、マラルメに師事した象徴派の詩人であり思想家・・・。

その堀辰雄がこよなく愛した軽井沢、信濃追分・・・。

その地に堀辰雄文学記念館があります。

堀辰雄終焉の家を中心に、書庫や展示室などで構成されています。

30歳の時に婚約した矢野綾子・・・翌年に死去。

そこから代表作「風立ちぬ」が書かれます・・・。

34歳の時に、加藤多恵と結婚・・・軽井沢に新居を移します。

 

堀辰雄直筆の文学碑

春の大和に往って

馬酔木の花ざかり

を見ようとして途中

木曽路をまはって来たら

思ひがけず雪がふっていた

昭和18413日 堀辰雄

 

信濃追分、軽井沢・・・東京生まれの堀辰雄が愛した土地でした。

東京帝大時代には、室尾犀星、芥川龍之介に師事・・・室尾犀星に誘われて、19歳の時に、はじめて軽井沢の地を訪れます。

堀辰雄が最も影響を受けたのが、天才詩人萩原朔太郎。

「青猫」「月に吠える」などに強烈なインパクトを受けたようです。

(「青猫」は、小職が最も大切にしている本の一つです・・・)

個人的に思うのが、堀辰雄は天才肌ではなく、自然叙述的な表現を丁寧に、丹念に、努力を積み重ねていく作家・・・朔太郎のアプローチとは、対極的なポジショニング。

それゆえ、堀辰雄に惹かれるのかもしれません。

 

堀辰雄の代表作は、「ルウベンスの偽画」、「聖家族」「美しい村」「風立ちぬ」「菜穂子」「大和路・信濃路」などがあります。

どの作品も、少しセンチメンタルで私小説的・・・。

あまり小説は読まないのですが、堀辰雄の作品はたまにページをめくります。

 

代表作の「風立ちぬ」。

聖子ちゃんの「風立ちぬ・・・」や宮崎アニメの「風立ちぬ」など、堀辰雄をモチーフにした曲や映画があり、堀辰雄本人もびっくりしていると思います(笑)。

 

ここにも「夢の箱」。

野外図書館がありました。

小ぶりながらも秀逸なネーミング・・・昇進橋。

堀辰雄は、晩年・・・といっても49歳で亡くなるのですが・・・

人生の晩年には、日本の古典に回帰していきます・・・万葉集、伊勢物語、更科日記・・・

経営コンサルタントが、晩年、神かがったスピリチュアルや宗教に走るように・・・

名経営者が、晩年、東洋史や西洋史に走るように・・・

日本人作家は、晩年、古典に引き込まれていく人が多いように思います。

 

堀辰雄の書庫・・・小ぶりながら素敵な教養空間です。

「美しい村」の冒頭より

6月10日 K・・・村にて

ご無沙汰をいたしました。

今月の初めから僕は当地に滞在しております。

前から僕は、こんな初夏に、一度、この高原の村に来てみたいものだと言っていましたが、

やっと、今夏、その宿望がかなったわけです。

堀辰雄ファンの聖地・・・堀辰雄文学記念館。

旅と文学・・・やっぱり調和します・・・。

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