能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 帝国データバンクと東京商工リサーチ協力の泥沼再現ドラマ本です

2018年09月24日 | 本と雑誌
会社は、つぶれるように出来ています。
毎月1日、マイナスから始まります。
家賃や人件費、法定福利費、税金などの固定費、原材料費や水光熱費などの変動費・・・。
1日ごとに売上が上がっていき、やっとのことで損益分岐点を超え、粗利益が上がってくる・・・。

ただ、今のご時世、そんなに簡単にはいきません。
さらに、突然訪れる「想定外」が、会社の不安定さを加速させます。
会社は、つぶれるように出来ているのです。

本当に、経営のかじ取りは大変です。


なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 
帝国データバンクと東京商工リサーチ協力
日経トップリーダー編  日経BP社  1600円+税

この本、売れているそうです。
経営者の悩みは、深いです。
同書は、倒産した23社の企業・・・基本、実名で、倒産に至る道筋が語られています。
実際の倒産現場は、怒号が飛び交い、修羅場になっているのでしょうが、
同書では事実に基づき、淡々と語られていきます。
なかなかリアル・・・。

目次
第1章 急成長には落とし穴がある
第2章 ビジネスモデルが陳腐化したときの分かれ道
第3章 リスク管理の甘さはいつでも命取りになる

同書では、破綻の定石として、11の切り口を提示。
こうすれば、倒産しますという一種の失敗カタログです。

破綻の定石1 脚光を浴びるも、内実が伴わない
破綻の定石2 幸運なヒットが、災いを呼ぶ
破綻の定石3 攻めの投資でつまづく
破綻の定石4 世代交代できず、老舗が力尽きる
破綻の定石5 起死回生を狙った一手が、あだに。

破綻の定石6 負の遺産が、挽回の足かせに。
破綻の定石7 危機対応が後手にまわる
破綻の定石8 売れてもキャッシュが残らない
破綻の定石9 1社依存の恐ろしさ
破綻の定石10 現場を統率しきれない
破綻の定石11 ある日突然、謎の紳士が・・・

そういえば、日経プレミアム文庫の「あの会社はこうして潰れた」もロングセラーになっています。
こちらも、帝国データバンク情報部の藤森徹さんが書かれている名著です。
巻末にあるチェックリストからは、多くの学びをいただくことが出来ます。


マギル大学のヘンリー・ミンツバーグ博士が言われています。
「経営は、サイエンスであり、アートであり、クラフトである。」と・・・
そういった意味で、倒産のケーススタディは、サイエンスの範疇にあるように思います。

失敗は、同書にあるように、ある程度類型化でき、シミュレーションのパターンとしてとらえることが出来ます。
特に、人・物・金・情報という経営資源に大きな制約がある中小企業は、兆候や事象に敏感にならなければなりません。

休みの日の昼下がり・・・ちょっと暗くなっちゃいましたが、経営の失敗事例をたくさん学ぶことが出来ました。


同書の各賞の最後に、倒産した社長のメッセージが載っています。
これもなかなかリアルで、教訓になるので、ちょっとご紹介。

「事業縮小を嫌がる社員たちを説得できなかった・・・」

「もっと早く本業を磨けばよかった・・・」

自分自身の性格や考え方、癖やステレオタイプに引っ張られないよう気を付けなければなれません。
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