日経ビジネス誌2019.4.22号の特集は、給料。
「強くなれる給料 日立、ユニクロ・・・あの企業も動いた」
面白く読みました。
1989年、平成の時代は、バブルの崩壊とともに始まりました。
この30年間、サラリーは、ずっと横ばい・・・サラリーマンにとっては、耐え忍ぶ30年間だったように思います。
平均すると定昇・ベアで1%といったところだったんじゃないでしょうか?
その間、日本という国の世界的なプレゼンスは低下し続け、経済パワーも成長力も伸び悩んだ「失われた30年」ということも出来ます。
その間、成果主義人事制度、業績主義人事制度、役割給、コンピテンシーなど欧米からカタチだけ真似して取り入れたものの、会社に働く社員のモチベーションを下げるだけだったように思います。
日本の給与水準はOECD35カ国中18位・・・下から数えたほうが早い状況。
一体なんでこんなことになったんでしょうか?
今回の日経ビジネスの特集は、3つのパートで構成されています。
PART1 日本の給料 落日あらわ
PART2 社員の納得、どう引き出すか
PART3 会社の負担は増えるが・・・全世代に報いる妙手は?
PART4 日本経済の成長は給与変革から 変える会社が生き残る
賃金制度、人事制度などベストなものはありません。
あくまで「決め」の話ですので、経営理念、ビジョンを実現するために、社員のモチベーション、働く意欲をいかに高めるかという一点に集約されると思います。
この特集で指摘しているのが、デキる若手の早期抜擢、内部留保だけではなく社員への還元、働く仲間への称賛、福利厚生の工夫、シニアの活用といったところ。
企業事例、ケースも紹介されています。
日立製作所・・・世界に向き合う制度に グローバルグレード制度
伊藤忠商事・・・年収の半分が業績連動
メルカリ・・・全社員に株式付与
サイボウズ・・・プロ野球型で交渉 転職市場連動型
伊那食品工業・・・年功序列にこだわる 急成長は社員を不幸にする
ユニクロ・・・初任給を2割アップ
各社とも、自社の業種業態、組織風土、組織文化に合わせながら、さまざまな工夫をしていることが分かります。
人事制度では、平等、公平といったことが必要だと言われていますが、その実現は、実務的にはほぼ無理。
しいて言うと、納得、納得性は何とかなるように思います。
本人が納得し、同僚が納得し、部下や後輩が納得し、経営や上司も納得する・・・そんな人事評価制度、賃金制度は実現可能だと考えます。
そのためには、透明性、見える化、ガラス張り、世間相場といったキーワードが重要。
要は、経営ビジョンの実現に向けて、経営目線で成果業績に結び付く日々の行動に対して高い評価をあたえていくことが求められていると思います。
その結果、組織内にも格差社会が生じてくることになります。
働く人の9割以上がサラリーマンの日本社会。
少子高齢化、AI社会、ロボテックやIoT、RPAなどと相まって、デキる社員とそうでない社員の差は広がるばかり・・・。
あと10年もたてば、わずか2%のホワイトカラーを超えるゴールドカラー社員と、その他98%の社畜で構成されるのがニッポンの会社ということになるのではないでしょうか?
ゴールドカラー社員は日本人とは限りません。
たぶんアジアやインドの人たちになる可能性が高いと思います。
日本人ではなくアジア人として生きることができれば経済的には恵まれる時代に移行すると思います。
誰もがサラリーマンになる時代。
個人的には、開業率の低下、起業しない国民性が、この国の活力をそいでいると考えています。
サラリーマンも、どの会社に入るかで、人生の大半が決まってくると言えます・・・なかなかのギャンブル。
勝ち組、負け組という言葉は使いたくないのですが、正解や模範解答のない時代は、自分をいかに経営していくかということになるのではないでしょうか。