癒しの庭Ⅲ

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手間暇を惜しまぬ美しい手仕事

2015年12月22日 | ガーデニング

 

 

この白い花は

秋になると

ブルーの実になって

サワフタギの木を美しく彩ります。

 

このサワフタギが

鹿角の紫根染・茜染の媒染剤に使用され

下染120回をくり返すことで

崇高優美で鮮やかな色を

長い年月を経てもなおいっそう美しい色に保つのです。

 


 

手間暇を惜しまない

人間の手仕事の美しさここにありです

 90年経てなおこの鮮やかで雅な色を放つ

栗山家の茜染と紫根染です。

 

 

こちらの渋い色合いのグレーのストールは

庭師お気に入りのもので

南部紫根染の第一人者

流霞道澤口ハル先生からプレゼントされたものです。

実はこのストールは

紫草の葉っぱと茎を使って染めた

「西根むらさき染」で

かつて「安家染め」といって

南部のお殿様が身につけた着物を染めたものと

同じ技法によるものです。

素敵でしょ

 

 ところが

南部のお殿様がこよなく愛したこの安家染めが

現在は一枚も残っていないそうです。

古代の紫根染や茜染が正倉院などに残っているのにね。

その理由を

ハル先生は

安家川の砂鉄を使って媒染するからだと話しておられました。

 

 

 

 

明礬もいけない。

化学染料もだめ!

そう言いながらこのぼろぼろになった財布を見せてくれました。

天然のサワフタギやサカキの灰汁と

南部の紫根を使って染め上げる

ハルさんのこだわりです。

 

 

 

 染料や顔料のもとになる

化学物質を製造する約40人規模の工場で

退職者1人を含む男性労働者5人が

相次いでぼうこうがんを発症していた。

こんなニュースに驚きました。


 5人は発がん性が指摘される

化学物質「芳香族アミン」の一種を扱っていたという。

 どんな染料や顔料なのでしょう?

 悲しむべき事態ですよね。

 

草木染でも

 鉄媒染や酢酸アルミ媒染などで

手軽に染める人もいますが

こんな悲しいニュースを聞くと

ついつい考えさせられてしまいます。

 

 

 

 昨年大館市にある高校の科学部で研究してくれた

鹿角のサワフタギについてまとめた文章が

心に染み入ってきます。



研究のまとめにはこのように書かれております。

 

►栗山家で長年使ってきたサワフタギの灰汁は
成分分析を行った結果
天然の媒染剤でありながらも
アルカリ媒染剤と金属イオン媒染剤の両方の性質を併せ持っていた。
 
►これらの灰汁のPHは10~12と強いアルカリであり
またアルミ成分を多く含むが
特にサワフタギは
可溶性成分のカルシウム、カリウム、リン等も含む。
それらが溶解することによりアルミニウム成分が濃縮し
上澄みの液性もアルカリとなったと考えられる。
 
►錯体形成反応(シコニンとアルミ成分が配位結合し
新たな錯体が作られことで紫色に染まること)は
PHが高くなることで起こりやすくなることからも
サワフタギが媒染剤として最適であったことを結論としている。
 
► 加えて、酢酸アルミニウムなどの酸性媒染剤は
発色がよく手軽に使えるが
長年の保存によって繊維自体が酸に冒されてしまう。
サワワフタギや椿などの灰汁を 用いることで手間はかかるが
深みのある美しい紫を保つことが出来るとともに
堅牢度が高くなり長期保存にも耐えうるものとなる。
 
 
 
 
                       ブルーの実をつけたサワフタギ

 


庭の工房で染めがやれるようになるのは

まだまだ遠い先のことです。



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