トランプが、日本のコメ関税に不満を表明し、米国産米の輸入に制限をかけるなら、日本に対して30~35%の関税を設定すると表明した。
もちろんトランプ十八番のディールなのだが、それでも最終的に25%の可能性もある。
トランプ大統領 “日本は30%か35%” 関税引き上げ示唆 2025年7月2日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250702/k10014850801000.html
トランプは、日本がコメに対し700%の関税を課していると主張。これは、トランプの思考が1980年代のデータから進化していないことを示す。
日本側は実際には200~400%にすぎないと説明している。
アメリカにおける米の精米工場出荷価格はKgあたり200円程度。日本のコシヒカリ出荷価格は、Kgあたり500円台。(最高値が700円に迫ったこともある)
もしも、関税を撤廃すれば、ほとんど瞬時に、日本のコメ農業体制は崩壊し、コメ農家の副業である野菜生産も崩壊する。
だから、日本農業を守るため、関税は必要なのだが、一方で、農協や農林中金の隠された闇システムがあるから厄介だ。
農林中金は昨年、2兆円近い投資負債があることを表明した。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240920/k10014587181000.html
過去にもリーマンショックで、サブプライムローン債権を買って数兆円の負債を背負ったことがあるが、このときも、最初は2兆円といいながら、後には10倍になった実績がある。農林中金経営陣は、大半が農水相の天下り組だ。
https://facta.co.jp/article/202502036.html
今回も、最初は2兆円といいながら、やがて十倍に膨らむと指摘する専門家も多い。実際に、農林中金は赤字の外債が24兆円に上ると公表しているが、これがもし中国債で占められているなら、もはや中国共産党への献金に等しい。
負債は公開されていないが、海外債券の失敗というので、おそらく中国の鬼城マンション債権を高金利に釣られて買った可能性が強いのだ。
この2~24兆円という農水省天下り幹部が作った外債赤字を、農水省が農協のコメを暴騰させることで農林中金を支援させるスキームを作りだした疑いが強い。
「コメの高騰」は、農林中金の2兆円損失補填のためか?
https://kansai-sanpo.com/kome-norinchukin2025jan/
米価の異常な値上がりは、農林中金を救済するための陰謀? 2025年02月15日
https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6187936.html
トランプは、何としてもアメリカ産米を日本に押し付ける意思を見せている。
我々にとっては、コメが安くなることはありがたいと言いたいが、残念ながら深刻な裏事情がある。
アメリカの米作は、日本の10倍といわれる超合理化農業で、農業機械と化学薬品によって成立している。品種は、すべてカーギルやバイエル(モンサント)の作り出したバイオ改変米で、その長期安全性は保障されていない。
小泉進次郎セクシー農相は、米国産バイオ米を輸入しようとしているのか?2025年05月29日
https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6201028.html
日本でも、アキタコマチRがカドミウム吸収性を減少させたバイオ苗を使って安全性に疑念がもたれているのだが、米国産米は、そんな生易しいものではない。
バイオ改変問題に加えて、アメリカの土壌は、ヒ素やカドミウムなどの重金属汚染が日本よりもはるかに多い。しかも陸稲が多く水稲が少ない。
水稲は土壌を洗う作用もあるのだが、陸稲では汚染物質が蓄積しやすい。
【米から高濃度のヒ素検出】アメリカで販売中の米から発がん性物質が検出される、米調査で発覚。カドミウムや鉛などの有害金属も検出 2025/6/11(水)
https://news.yahoo.co.jp/articles/886b9bf473e2b5defcda50b0dac83b83f18f0b51
https://www.cnn.co.jp/fringe/35233033.html
FDAが品質や毒性を厳格に管理しているという建前を口にする人が多いが、実際には、抜き取り検査の確率は極めて低い。販売コストが安すぎて、日本のような厳密な稲穂等級調査、安全調査が行われていない。
今後、自民党政権が、トランプ政権の関税圧力によってアメリカ産米の輸入を激増させるのは確実だが、健康への著しい疑念があり、もうコメを主食にすることはできないかもしれない。
アメリカでも、主食としてコメが食べられるのではなく、ほとんどが畜産用や工業原料である。トランプは自分が米を食べないから、輸出を増やして手柄にしたいだけだ。
トランプの圧力で、安い米国米が食べられて嬉しいなんて勘違いをしている人も少なくないが、これは逆に、主食からコメを追放する契機になりかねないのだ。
ちなみに、カリフォルニア米が寿司米に適合しているので輸入すべきという人もいるが、これは非常に特殊な、日本と同様に手間のかかる有機栽培農家が生産しているのであって、普通はカーギル子会社の飼料用化学生産米が輸入される。
https://www.usarice-jp.com/about/process.html
なお、トランプの30~35%関税が実施された場合、帝国リサーチの分析は以下。4月段階なので、まだ24%になっている。ほとんどの経済紙が、35%ディール恫喝が、結局25%程度に落ち着くと予想している。
理由は、トランプの恫喝政策に「タコ理論」と呼ばれる一定の法則性があるからだ。
https://barrons.jiji.com/article/7248
トランプ関税が日本経済に与える影響 相互関税、実質GDP成長率を0.5ポイント下押し ~2025年度の倒産件数は3.3%上振れする可能性も~ 2025/04/16
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250416-trumptariffs/
もしも本当に日本関税が35 %になるとすれば、
トランプ関税35%の脅威、日本市場の不安をあおる最悪のシナリオ 2025年7月2日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-02/SYRBCBT1UM0W00
日本はこれまで、関税交渉で断固とした姿勢を貫いており、自動車や鉄鋼、アルミニウムといった個別分野の追加関税と合わせて、全面的な関税の撤廃を求めてきた。特に自動車関税が日本経済に与える影響は大きい。自動車産業が国内総生産(GDP)の約10%、雇用の約8%を占めるからだ。(上のリンクから抜粋引用)
日本は世界最大の対米投資国である。年間約8000億ドル(11兆5000億円)
二位はカナダで7500億ドル。3位がドイツで6500億ドル。
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/49b0f4a7f77c0f26.html
トランプは高関税や、カナダやグリーンランドの国土強奪発言で、これらのアメリカ経済を支えてきた投資国を真正面から敵に回そうとしている。
トランプの発想や知識は、1980年代の優越感に満ちた傲慢なアメリカ資本家のもので、ほとんど進歩していないように見える。
これでは、対米投資が激減することは確実で、アメリカは数十兆円規模の損失を被る可能性がある。
トランプは、世界経済が国際的規模で支え合っている現実を、まるで理解していない。
【解説】トランプ氏は米経済力の基礎に背を向けた……厄介なことになるかもしれない BBC
https://www.bbc.com/japanese/articles/cz95n40y0vpo
以下一部抜粋
【トランプ大統領は過去半世紀の貿易自由化がアメリカを「強奪した」と発言した。たとえ自由貿易の拡大が、アメリカの特定の地域や産業部門や住民グループにとって良い結果をもたらさなかったのだとしても、アメリカが「強奪」され続けたというのは、明らかに全体的な実態を反映していない。
過去半世紀、アメリカのサービス部門は繁栄し、ウォール街やシリコンバレーから世界を圧倒した。アメリカの企業ブランドは、中国や東アジアにまでつながる実に効率的なサプライチェーンを活用し、憧れのアメリカ製品を世界中で販売し、莫大な利益を上げた。
アメリカ経済は過去半世紀、とても好調だったというのが本当のところだ。問題は単純に、その富がすべての部門に均等に分配されなかったことだ。アメリカに欠けていたのは、富を国全体に行き渡らせるための、多層的な再分配と適応の仕組みだった。これは、アメリカの政治的選択を反映している。】
上の引用は、的確な指摘だ。トランプは過去半世紀の貿易不均衡、赤字で、アメリカの富が、中国や日本など外国に強奪されたと信じている。
しかし実態は、アメリカの購買力が世界経済を活性化させ、その利益をアメリカ経済が享受してきたことを、まるで理解できないのだ。
ちょうど、財務省の緊縮経済論に似ていて、経済を支える根源が「需要」にあることを、まるで理解していない。
これまで、アメリカの貿易不均衡が、世界経済を回転させる需要を生み出してきたことを犯罪だと決めつけている。
それによって、最大の利権を享受してきたのがアメリカ自身なのだが、高関税政策で、世界的需要を止めたなら、アメリカが最大の被害者になることを、まるで理解できないでいる。
私は、これを見て、ニュディール大恐慌のとき、底辺の生活者への財政投資が必要だと指摘したケインズに対し、セイの法則を信奉する資本家たちが、「労働者への消費支援などとんでもない。生産量を増やせば解決する」と主張し、米経済が地獄に堕ちていった例を思い出している。
そのとき、資本家たちは、労働者に金を渡すなど、とんでもない間違いで、底辺の労働者は窮乏させておいて、資本家に依存させなければ資本主義が回らないと勘違いしていた。トランプは、まさに、それを地で行っている。
アメリカが儲からなければ、経済循環が成立しないと思い込んでいるのだ。
こんな驚異的な17世紀帝国主義者の思想を再現しているトランプだが、今月、トランプが追い詰められ、アメリカ政治から排除されるという噂も流れている。
まだ証拠はないが、関税高騰で困り果てたアメリカ資本家や、存在基盤を奪われたイーロンマスクらが、エプスタイン顧客名簿を公開することで、トランプを性犯罪者として追放するという情報がある。
トランプ大統領、7月退陣シナリオ!政権の国内外の信頼失墜、トリプル安…個別交渉失敗の結末2025年4月15日
https://note.com/cute_plover378/n/n38fdc6ae2c17
https://www.shogakukan.co.jp/news/152687
今回の30%関税が実現すれば、もしかしたら日本の経済界が、いよいよゴルゴ13に依頼するときがくるかもしれない。
トランプは、世界を敵に回していて、生きていられるのが不思議なくらいだ。