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精神科医師のブログ。
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ガイドという職業について徒然

2009年10月28日 | Weblog
書きかけていた台湾の旅行の雑記ののこりをば・・・。

台湾は観光に力を入れていて、国外からの旅客数は年間384.5万人、うち日本からは108.6万人の入り込みがある。。

また台湾からは、ほぼ同じ人数の台湾人が日本を訪問している。
人口は日本が台湾の約5倍だから、人口あたりで考えるといかに多くの台湾人が日本に来ているかわかる。
たしかに札幌雪祭りなどでは中国語が飛び交っていた。
雪のないところに住む人には雪があるだけで大喜び。

その土地にある、何でもないもの、時には厄介なものが観光資源になる。
ツーリズムとは不思議なものだ。

台湾には最近は中国からの観光客が増えていて、日本からの観光客に迫る勢いだそうで、故宮博物館では、ガイドに率いられた中国語の団体がたくさんいた。

今回の台湾旅行はガイドもいる団体ツアー(フリーの日もあり)のプランで行った。
これはわりとよかった。

ガイドは許(きょ)さんという70代?の男性。

現地のツアー会社に現役で勤めている。
なんとなく古い固い日本語を使うが、またそれが味になっている。
「~ね。ハハハ。」という終わり方が印象的であり、憎めないキャラクターだった。

幼い頃に日本語を学び、日本にも友人は多く、孫は日本にいるそうだ。
毎朝、朝食前に1時間ほど散歩し、友人たちに会い挨拶をしてかえるらしい。
こういうのがその健康の元なのだろうか。

台湾の観光ガイドは国家の試験が毎年あり、歴史や文化、語学など割と厳しいものらしい。
言葉は「日本語、中国語、英語」の3種類でそれぞれガイドのネームプレートにガイドできる言語が書いてある。
橋渡しをするガイドは両方の文化と言語に精通していないとできない。
試験は一度だが更新の申請は、また3年間、ツアーの案内の実績がないと資格はなくなってしまうとのこと。

ガイドの資格をしっかり国家が認定することで質を保証する。
これは日本でも考えてもいいと思う。
日本も観光庁をつくって観光に力を入れるべきだ。
日本でも国家資格として旅行取り扱い主任という資格はあるが、海外から来た観光客に日本の文化や歴史を伝えるという質を語学力も含めて保証するものではない。
台湾からの日本へのツアーでも台湾のガイドが着いてきたりする。
これは自国の文化を自分たちで伝えられないということで非常に残念なことではある。

さて日本でも旅行のツアーガイドはわりと人気の仕事であるが、最近は大変らしい。
当地もそれなりの観光地であるので救急外来で観光客をつれてきたツアーガイドに話を聞く機会もある。
バスツアーなどダンピングが盛んで、添乗員も派遣で薄給なのに、かなりの責任をおわされたりで、かなりひどい状態らしい。

ここでもモンスターツアー客が増えているのだろう。

ガイドは尊敬すべき人。
パートナーとして上手に使えばいいものなのにサービスの提供者、受給者との関係、主人と召使いの関係になってしまうからおかしなことになるのだと思う。

話は変わるが学生時代に、子供たちに星や自然を教えるボランティアをしていた。
そのときに自然のガイド、特にインタプリター(特に自然のメッセージを伝える人。これも広い意味での通訳)という仕事があることを知った。

そういう仕事に憧れていたのだが、考えてみれば医師という仕事もガイドやインタプリターみたいなものである。
人の生き死にをすこし詳しく知っているものとして体の声を聞き、それをわかる言葉に翻訳して伝えるインタプリターである。
そして病気を上手に経過させるのを付き添うガイドである。

日々の生活では、病気にならないように危ないところではリスクを下げる算段を行う。
ライフサイクルに応じて相談に乗る。
高齢者とはまた冬や夏という山場がこせたことをともに喜び、春や秋の季節の変わり目では体調の変化に注意する。

精神医療やプライマリケアの場でおこなっていることも、救急や麻酔などの場面で刻々と変化するバイタルサインを読みながら必要な処置をするのと、そのペースが異なるだけで基本は変わらない。

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