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精神科医師のブログ。
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「不登校を考える県民の集い」に参加

2012年12月11日 | Weblog
2012年12月8日、文化の香りが漂う、でもとっても寒いあがたの森文化会館で「第3回不登校を考える県民の集い」が開催された。

この会は主に不登校児をもつ親などの有志による実行委員会形式で始まったものだが、県政への提案や各地での活動の広がっている。不登校経験者の若者もくわわったボランティアで運営がおこなわれ今年で3回目になる。

私自身、児童精神を専門にしているわけではないが不登校児の相談も増えていることもあり、昨年ははじめて勉強のために参加させていただいた。
その縁もあり今年は実行委員から相談と座談会に専門職のアドバイザーとしての参加を頼まれた。


(あがたの森文化会館)

午前中は予め予約を受けていた家族の相談を5件ほどうけた。
相談というのは診察室よりやや閾値が低く、ポジションも微妙に違う。たまに診察と勘違いして来る人もいるが精神医療との出会いの一つとして非常に意味のある取り組みである。

午後は10ある座談会のテーマのうちの一つで「医療との関係」という座談会にアドバイザーとして参加した。
「上手に医療と係るためにはどうしたらいいのでしょうか。」というサブタイトルだった。

「不登校は医療機関にみせるな」というような声もある一方、養護の先生などは「医療につかがったらお任せ」となってしまう現実もある。
昨年は医師とスクールカウンセラーの連携はどうなっているのか?言うことが違うなどという意見も出た。

まず、医療をどう使えばいいのか、使わないほうがいいのか。
医療を使うとしても医療機関や医師もいろいろで、どこにどうかかっていいのかが難しい。
医療につながっていても医師との相性もあるし、医師が高圧的であったり逃げ腰だったりする。
そして薬を使うことや精神障がいとして支援を受けることにまだまだ抵抗があったりする。

不登校支援において医療にできることは果たして何であろうか。
医療は本人の病態、発達特性、家族との関係、周囲との関係などこんがらかった状況を整理し診たてることのお手伝いはできるだろう
そして診断により治療や支援の方向性を示しうるということはある。
さらに付き合い続けることで小中、中高の連結をこえて医療は長い目で見た支援の連続性を担保しうる存在になりうるかもしれない。
本人が受診するのが難しければば家族や支援者のみの相談し機会をうかがうことも意味はあり、家族が焦らずに余裕をもって本人に接することができることが何より大切である。
不登校であっても先を見据えた支援、発達や成長を保証することが必要。しかし中学を卒業するととたんに支援が乏しくなり、地域に多様な場が求められている。
本人や家族が集まれる場をつくり育てて支援していくという役割もある。
街の保健室や電話での相談、フリースクール運営などの活動をしている方も参加されていたが、学校を離れて支援活動をするようになって、はじめて不登校児の居場所がないというニーズや医療の役割を認識したという方もいた。



最後に不登校経験者の青年たちのスピーチがあったが、これは親や支援者たちに希望を与える素晴らしいものであったと思う。


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