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精神科医師のブログ。
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これからの病院情報システム

2006年10月27日 | Weblog
 とほほな某F社のオーダリング(ですらない、物品発注システム)を補完するためだろうかクローズドな院内ネットワークに、なんとかボウズというグループウェアが導入されている。

 しかし運用方法が定められていなかったため思ったほどの効果はあがっていない。会議室の予約や院内メールで少々つかわれてはいるようだが、職員の数にくらべ端末がすくないこともあり「1日1度は○○○ボウズキャンペーン」をやっても毎日見ている人はあまりいない。病院マネジメント層に院内メールを直接だしても返事がくることはなかった。クローズドなシステムなので自分にフィットするようにカスタマイズされたパーソナルコンピューターででファイルを作成できないのも痛すぎる。

 結局、伝達事項は紙でまわってくるし(しかしモレモレ)、グループウェアの掲示板で熱い議論がかわされてもそれが病院運営の意思決定に反映されることはない。当直表ですらグループウェアでみることができない。結局どこを見ていれば必要な情報がえられるのかが全く分からない。

 医局員の会議も医局員全員が入れない部屋で行い、出席できなかった人へのフォローもない。重要なことはいつの間にか決められ、その伝達が不十分で現場が混乱している。そもそも情報伝達や共有の仕組みが不十分なのだ。

 せっかく導入されたグループウェアを使って業務をうまく行おうといろいろやっていたら、グループウェアはセキュリティが不十分で職員はだれでも見れるので患者さんの名前等個人情報は載せてはいけない!いわれた。(鍵をかけたりできるはずだが。)
 共有ファイル上にエクセルファイルをおいて入退院を情報を医事課やMSWと共有するのですらダメらしい。院内報などの原稿はつい先日までフロッピーで提出!!と言われていた。あきれてものも言えない。

 結局、院内をメッセンジャーが紙ベースのものを運搬し、メールボックスにはさまざまなお知らせプリントがあふれ、掲示板に掲示があふれる。伝達は情報の発信から数日おくれる。

 
 医師が一つ何かを頼むのにも端末の前に座りオーダーを出し、シールで印刷したものをプリンタまでとりに行き、紙切れや紙詰まりを直し、カルテに貼り、サインをして、パートの看護師を探し、口頭で指示をだす。とえらい騒ぎだ。病棟スタッフのオーダーだけでももう少しシステムでできればいいのだろうが結局カルテに書いた指示を拾い集めノートに転記してそれを口頭で送るという伝言ゲームを繰り返すうちに内容がかわってしまったりする。結局、コンピュータに入力する手間がふえただけ。泣きたくなる。
 カルテが手元にないときに、そのオーダーや検査結果のあとで多少見えるくらいのメリットしかない。

 検査結果の伝票類やX線写真やMRIなどの画像もメッセンジャーが院内を駆け巡った挙句、やっととどく。すぐに見たいときに読影のために放射線科にあるのか、メッセンジャーが運搬中なのかわからず追いかけっこをすることもある。伝票類は手作業でカルテに糊ではる。入院退院にあたり書類が山のようにありオーダリングからの入力は可能だが、それぞれに書かなくてはならない。入院時のスクリーニング系の書類、褥創や栄養などの評価票や、転棟や在宅登録のプロフィールなどはネットワークで自動であつめられず、紙で打ち出したのをメッセンジャーが運んでそれをまたエクセルなどに入力している始末。テンプレート類のテキストの右端を主導で改行しないと印刷時に切れてしまうのは仕様らしく3年も治る気配がない。

 病院がこれだけひろくてみんなばらばらで動いているのだから、なにか束ねるツールがないとどうしようもないのだが・・・。PHSばかりが使われ、それほど緊急でもない用事に、こっちが何をしているかお構い無しに直接PHSに連絡が入り仕事が中断される。

マジでブチ切れ5秒前だ。

これからの病院情報システムにあらまほしき機能として以下をあげる。

 ・情報共有、タスク管理の機能。
 ・ユーザーが必要な情報のみフィルタをかけて表示できる機能。
   (ユーザーごとのコクピットページ)
 ・未来へのプロジェクトマネジメント機能。
 ・地域との連携機能。(保健、福祉)
 ・コミュニケーションのためのグループウェア機能。
 ・アウトカムのデーターベースとの連携。
 ・使う人にあわせたカスタマイズ機能。
 ・知的財産管理機能。
 ・患者さんが利用できる機能。
 ・しっかりとしたセキュリティ。
 ・メンテナンス性のよさ。
   (ローカルにはデータを残さない)

 セキュリティと使い勝手のよさは相反する部分もあるが、これらを考えるとやはりWEBベースのものということになる。Googleの一連のソフトウェアのような使い心地のものならよいのだが・・・。
しばらくは院内のシステムはあきらめて、自分の周りのチームでは結局インターネットのメールやグループウェアを中心に利用していこうと思う。個人的に使う道具はFileMakerなどで開発していけばよい。それなりのものはできるだろう。

 オーダリングシステムの導入は苦労だったとは思うが、どうも使いにくいシステムなのは、それまでITと縁がない世代がマネジメントの中心にいるのこともあるだろうし(重視していない)、結局使う人がシステムの導入、運営にタッチしていないからこういうことになるのだろう。いきなり電子カルテにするとついていけない人がたくさん出てくるからとのことでオーダリングのみの導入だったのだが・・・。結局業務量がふえただけのような(少なくとも医師にとっては)結果になってしまった。

 これまでの病院全体のシステムと情報システムが切り離され、統合した動きができず、屋上屋を架したようになっているためだろう。電子化にあたってはITと病院の業務、組織のマネジメントなどを理解できるマネージャーが必要なのだろうがなかなか難しいですなぁ(´・ω・`)。